モンテディオ山形●1-2○京都サンガF.C.
44'中島祐希
87'久保裕也
90+4'工藤浩平
■スピード
この日早朝に行われたチャンピオンズリーグ決勝を見て、ドルトムントとバイエルンのスピード感に圧倒された。とにかくボールを持ってからの判断が速い。いや、彼らは判断を下す前からある程度オートマチックに動いていて、奪う瞬間直前に次のルートを判断してボールを動かし、それが次から次に連動するから、「考える時間」が短縮されて速さが出る。
決してスピード面でJが欧州に劣ってるとは思わないけれど、7時間後に見た山形と京都の試合は、比較対象とするには余りにもスピード感や疾走感に欠けていた。それでも山形の方は奪ってからはそれなりに速く、奪って即FWを走らせるショートカウンターは直線的で冴えがあった。先制点に至るまで、山形は何度も似たような形でショートカウンターを重ねていたのだ。京都はバヤリッツァを中心によく耐えていたが、前半終了間際の中島祐希は見事だった。姜成浩のフィードが横谷繁に収まらないところを奪い、そのままダイアゴナルに突っ切り、染谷悠太を鎧袖一触で置き去り、福村貴幸を躱して、フェイントをかけてドン。奪ってからの切り替えの速さ…ってのは京都の十八番だったはずなのだが、相手にしてやられてしまった。原因はハッキリしている。京都が遅いからだ。遅いから読まれて奪われるのだ。
■時間
時間は誰にでも平等に与えられている。けれど、24時間を上手く使える人と、24時間を無駄に過ごす人がいる。サッカーの90分も同じで、時間を無駄に費やすことほどもったいないことはない。例えば56分。左サイドの敵陣深くで三平和司がボールを受けたが、そこで時間がかかってチャンスは広がらなかった。この日横谷繁は下がり目でよくボールを受けていたが、横谷が受けてもそこから先に流れていかない場面も目立った。もし、横谷を追い越す人がいれば横谷がタメた時間は有効になったのだが、前に回っていかなければ浪費に終わる。もっと根源的な所では、秋本倫孝や姜など中盤の底から前に出す所で迷いがあり、考える時間が長かったり、バックパスを選択したり。京都はこんなにボールを持ってから無駄な時間が多いチームだっただろうか。開幕のガンバ戦で見せていた疾走感今いずこ?という感じだ。
だけども今朝のCL決勝でもそうだったが、「内容がいいので勝つ」「内容が良くないから負ける」がイコールでないのもサッカーの面白さ。結局勝ちを引き寄せるのは「勝ちたい」と思う気持ちだったりする。山形が70分前後にしての逃げ切りを図る交代をしたのに対し、京都の途中投入の久保裕也と駒井善成はなかなか上手く行かずに不格好だったけれども、アグレッシブだった。特に決勝点につながった駒井のチェイシングはどれほどの賞賛を送っても惜しくない。「じぇじぇじぇ!駒井かっけー!」みたいな?
〈京右衛門的採点〉
オ 6.5 …安定感のあるセーブで危なげなし。失点場面はノーチャンス。
安藤 6.0 …前半はキレを欠いたが、疲れる時間に前に出て反撃の一翼を担った。
染谷 5.5 …大過はなかったが、クロスへの対応などピリッとしない場面も。
バヤリッツァ 6.5 …奪って、跳ね返して大活躍。出羽三山のように立ちはだかった。
福村 4.5 …あっさりかわされる場面散見。終盤になって前に出たが、積極性も希薄だった。
秋本 5.0 …前に後ろに広い守備範囲をカバーするも、それがゆえに穴を作ったのが失点場面。
姜 4.5 …判断力が遅く、単純なミスや雑なクリアが目立つ。悪い意味で存在感があった。
山瀬 5.5 …周囲と呼吸が合わず。ボールを持てば違いを見せたが。シュートも枠に飛ばず。
工藤 6.0 …守備はともかく、攻撃に有効に絡めなかったが、最後の最後で決勝点。
横谷 5.5 …下がりながらよくボールを収めファウルをもらいまくったが。決定機は決めたかった。
三平 5.5 …ボールの引きだしやポストプレーに見所あるも、周囲とイマイチ合わず。
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駒井 6.5 …よく走るも空回り気味だったが、諦めない姿勢からボール奪って決勝点アシスト。
久保 6.0 …全ての流れを断ち切る同点弾の一撃は、飢えた目をした飛び道具。
原川 6.0 …それまで欠けていたボールを速く前に運ぶ意識があった。山瀬との関係も良。
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大木監督 5.5 …交代で入れた選手は活躍したが、中盤の構成やスピード感のなさは要再考。