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京都サンガF.C.○2-0●東京ヴェルディ
23'山瀬功治
(↑アンドレイ)
63'堀米勇輝
(↑エスクデロ競飛王)
[警告・退場]
・京都
なし
・東京V
なし
【全体の印象】
まず主導権を握ったのは、立ち上がりから鋭いプレスをかけてきた東京V。20分ごろまでは2度ほど決定機も作られたが、徐々に失速。京都は引くところは引いて跳ね返し、相手ミスを回収する落ち着いたゲーム運び。山瀬の先制ゴール後も、調子に乗って攻め急いだりすることもなく、集中してよく対処した。後半にはアンドレイの配球からイヨンジェ→エスクデロ→堀米と流れるような連携で追加点。酷暑の中プレー精度を落とした東京Vに対して、京都は体力配分もしっかりマネジメントしながら勝ちきった。
【雑感】
■ベターな選択
戦端が開かれるやいなや、猛プレスを仕掛けてきた全力緑軍団。前回の対戦で苦杯を舐めさせられた「乱戦上等」の構えにも似た積極性で、序盤は京都を圧倒。11分の南の決定機を沈めていれば、冨樫監督の思い描いた先制特攻作戦は実ったかもしれない。しかしそこに立ちはだかったのは守護神菅野。頼もしいGKの存在に呼応するように副将・染谷の読みやラインコントロールも冴え、緑の特攻モードを凌ぎきった。やはりいいGKは、守備からゲームを作る。
ヴェルディが見せた出足の鋭い積極プレスは、本来は褒めるべき戦いぶり。しかし戦いの場は、灼熱多湿の暑京極だ。開始時直前まで35℃あったという猛暑の中で見せたハイプレスは、諸刃の剣のようなもの。暑さが緑軍から運動量も判断力も容赦なく奪い取る一方で、紫軍団は、「受け」に回りつつも肝心なところは自由にさせないという戦い方を見せた。一見消極的に見えても、派手さは控えめでも、真夏の猛暑という環境であることを念頭に置けば、ベターな戦いぶりだった。
■天・地・人
ここ何試合か(前節のセレッソ戦、前々節の山口戦)、相手のストロングポイントに付き合ってしまう、というゲーム運びでの課題があった。このゲームも、前半と後半の立ち上がりに緑が仕掛けてきたハイプレスに応戦してしまえば、また同じように相手ペースに巻き込まれて勝ち点を落としていたかもしれない。だが今回は乗らなかった。監督や佐藤、下畠らは試合後のコメントで、「持たせている」感覚と語っている。中盤では深追いプレスはせず、相手に持たせて体力を温存し、締めるところ締めるというゲーム運びだった。
似たようなコメントが出ていたのが18節の山口戦(○3-0)で、「やらせるところはやらせて危ない所を締める」という大人なゲーム運びを見せた。ここ数試合バタつく試合が続いたところで、もう一度落ち着いたゲーム運びに立ち戻れたことは、地味だが大きな一歩。相手を泳がせ、疲れさせ、隙を衝いて勝つというのはいつでも成立する戦い方ではないが、「天の時(相手の出方)」に応じて、「地の利(夏の西京極)」を味方に付け、「人の和(組織の意思統一)」で掴んだ戦略的勝利と言えるだろう。