二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2015明治安田生命J2リーグ第41節 栃木vs京都

2015-11-15 | 蹴球

栃木SC●0-1○京都サンガF.C.
       23'金南一
       (↑FK山瀬功治)


[警告・退場]
・栃木
26'山形辰徳(C1)
44'松村亮(C2)
・京都
45+2'下畠翔吾(C1)


【全体の印象】
序盤から攻勢に出たのは、J2残留の崖っぷちに立たされている栃木だった。しかし京都がフリーキックのワンチャンスをモノにして先制。失点後栃木には隙も出ていたが、京都は攻め手を欠く。後半は栃木ペース。京都は前線にボールが収まらず、栃木に容易にボールを動かされ、裏を衝かれて攻勢を浴び続けたが、菅沼、バヤリッツァの個の能力とGK清水の奮闘で牙城を死守。攻撃面は伊藤の単騎突破が効いていたがゴールは脅かせず。出来は悪かったが、勝ち点3を得て今季の15位~19位が決まった。


【雑感】
■作れない攻撃の時間
 守備に回る時間の多かったこのゲーム。全体的に運動量が少なく、プレスもかからず、相手の攻撃に晒されるうちに陣形も間延びしていった。そうなってくると奪い所も定まらず、後ろ、後ろでの対応となる。表裏一体なのが、自分たちの攻撃の時間を上手く作れなかった点。石丸監督就任以降、良い時には敵陣にボールを運んでは高い位置である程度ボールを保持し、最終ラインがしっかり押し上げることで陣形を縦に圧縮し“奪う守備”を実現していたのだが、前線で時間が作れなくなると途端に、後ろで対応する守備になってしまう。そして、こうした状況が頻繁に起こるのは、前線で身体を張るタイプではない大黒を1トップで起用する時。それは当然だ。大黒は敵に身を晒して犠牲になる選手ではない。最前線で漂って敵から瞬時に消えて、呼び込んだボールを点で合わせることに最大の特徴があるのだから…。

■訣別の時
 大黒に点を取らせるサッカーは、去年の時点で限界が見えていた。もちろん、大黒の動き出しの鋭さや得点感覚に疑いはない。しかしフィニッシュワークに特化したストライカーの存在は、えてして攻撃パターンの選択肢を狭め、良くも悪くもフィニッシュに入ってしまうためプレーの連続性を奪い、攻守の連動においてチーム全体の活力を低下させた。
 去年~今年と2年連続で低迷したチームが今後変わっていくために、最初に手を付けるべきことは、大黒との訣別だ。実際、石丸監督就任以降はスタメンから大黒を外すことで、駒井、宮吉、有田、伊藤らの連動性は格段に高まり、攻守に切れ目のない連続プレーを発揮できたゲームも多くあった。魔境J2を勝ち抜くために必要なのは、チーム全体の走力であり、運動力であり、献身性。絶対的エースにボールを集めるだけでは勝てないことは、他ならぬ京都サンガというチームが2年にわたる長編の低迷により証明した。今後目指すべき方向性は明々白々。2年間の大低迷時代に君臨したエースと訣別し、この迷走に「けり」を付けたい。