二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2016明治安田生命J2リーグ第36節 京都vs岐阜

2016-10-17 | 蹴球

  京都サンガF.C.1-0●FC岐阜
90+6'アンドレイ
  (PK)

[警告・退場]
・京都
なし
・岐阜
54'レオミネイロ(C2ラフプレー)
60'野垣内俊(C1反スポーツ的行為)
90+5'鈴木潤(C3異議)


【全体の印象】
 序盤から京都がスピーディにボールを動かして岐阜陣内に攻め込むも、岐阜は素早いプレスで囲い込んで前向きな防戦。イヨンジェ・エスクデロへの厳しいマークを徹底し、前線にアバウトなボールを入れてレオミネイロを走らせる「岐阜の狙い通りの流れ」になった。岐阜は後半運動量が落ちるとバイタルエリアを固めてリトリート気味に防戦。京都は途中交代の内田と石櫃を攻撃的両翼に上げて攻め込んだがなかなかこじ開けられず、最後はキロス大作戦。なりふり構わず攻めたアディショナルタイム、吉野の速攻FKリスタートからアンドレイのシュートがこぼれ球になり、諦めずに詰めた石櫃に対し、即席DFの瀧谷の足が出てPK。これをアンドレイが決めた瞬間にタイムアップという、劇的ながらも幸運な勝ち点3を拾った。


【雑感】
■封じられた縦
「精度よりも速い縦パス」―前節はボールを縦に速く動かすことで千葉を凌駕することができた。今節も同様の出方から岐阜を押し込んでみせたが、次第に岐阜のイヨンジェ潰しが機能しはじめ、縦への攻撃の糸口を失った。鳥栖尹晶煥監督の元でコーチを務めた吉田監督率いる岐阜は、特に自陣中央の球際の強さが際立っていた。かつての鳥栖を彷彿とする激しいプレスの前にヨンジェ、セルがいい形で受けられなくなると、京都の組み立てはサイドへ。ボランチからの横パスが増えることで前節よりも一手二手、手数の多い(遅い)攻めになっただろうか。
 そもそも相手がいる競技である以上、前節のような注文通りの展開になることは希。一方でボールの動かし方も無限にあるのもサッカーの面白さだ。そこは相手をよく見て、適宜判断するしかない。中央が封じられているならサイド、という考え方は決して間違いではないし、パスの長・短含め、あの手この手でこじあけようとした京都の戦いぶりは自体は悪くはなかった。悪くはないのだが、どの攻撃パターンも、もう一段階物足りない。サイドから中央に折り返した時にあと1人入ってくれば…とか。そこは練習から意識して突き詰めていくしかない。


■ラストピース?
 8月19日に左膝半月板の手術をしていた石櫃がこのゲームで復帰。怪我上がりとは思えぬ運動量で右サイドを上下動し、推進力をもたらした。90分以上走り続けた後にさらにひと踏ん張り駆けてPKを得た積極性など、フィジカル面、意識面では充実ぶりを見せつけたが、気になったのは判断面、試合勘の部分。駆け上がって敵陣深くまで進出はできるのだが、そこから先がクロスなのか、味方に預けるのか、モタつくシーンも見受けられた。
 もちろんこれは受け手側の動きの質もある。復帰戦ということでまだ外(石櫃)と中の感覚のズレもあったが、クロスへの入り方やサポートの動きを改善していき、石櫃が迷いなくガンガンクロスを上げられるようになれば、待望の「右の砲台」が復活する。圧倒的なストライカー不在のチームが敵ゴールを陥れるための近道は、とにかくチャンスの数を増やすこと。右の攻撃的砲台から放たれるチャンスメイクが、このチームに足りなかった“ラストピース”になれるか。いや、ラストピースに、俺はなる!と信じている。