もう一度、同じ画像を掲載。以前発表したものを、今回、展覧会として公開しているので、同じ画像や文が重複しています。ご了解ください
左半分がサンカが付けて神楽を舞ったとされる仮面と同様式の仮面をドローイングの上に置き、サンカ文字を書き込んだ作品。右半分は「トヨクニ文字」と仮面。仮面と画面やトヨクニ文字との関連はありません。画面構成上のイメージです。
これが「トヨクニ文字」のアップ。大分県に伝わる謎の古文書「上記(ウエツフミ)」はこの文字で記録されている。古事記・日本書紀を上回る膨大な情報が秘められているが「偽書」扱いされてきた。近年、それを見直し、新たに研究する人たちが表れてきた。上掲は大分県国東半島の突端の山頂にある巨石に刻まれた文字(筆者転載)。トヨクニ文字とサンカ文字との共通点がみられる。
その後、現地を訪ねて土地所有に関わる関係者と遭遇。現在インターネットなどで流れている文面の解釈は何の根拠もなくでたらめである、という感触を得た。右から読んだり左から読んだり一字飛ばして読んだり、各地の古代文字を組み合わせて読んだりしている。これは古代文字の読み取りの基本から大きく外れていると言わざるを得ない。今後の検討課題としておこう。
・仮面写真のアップ。
サンカの伝承やトヨクニ文字などの古代文字を「虚構」、「偽書」、「闇の文化史」などと言っている人たちは、国学や国家神道系の人、古事記・日本書紀を絶対のテキストとする立場の人が多い。そしてデータは概ね100年も前の調査・研究を基としている。それゆえ、論議はどこまでいってもかみ合わない。21世紀のいま、列島基層の文化を掘り起こし、自分たちの立脚点・アイデンティティ―について考えようという人たちは、着実に増えてきているのだ。この地平に立てば、多くのデータや素材が見えて来る。ここから出発できる考証はあるのではないか。とりあえず、私はアートの領域からアプローチを試みているのである。