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森の空想ブログ

「楮(コウゾ)」を移植し、その枝から繊維を採り出し、糸を作る。 [友愛の森/里山再生プロジェクト<31>]

小雨の降る一日。
どこかに温みを感じる春の雨である。
この雨の中、10人の参加者が集まってくれて、コウゾ(楮)の移植を開始した。
この群落は、10年ほど前、ヤマメ釣りの帰りに引き抜いてきて、植えておいた一株が増えたものである。これを間伐された森に移植。森は立ち木の間に日光がほどよく差し込む、半日陰というほどの樹林帯である。適度の湿気もある。このような環境をコウゾは好むらしい。由布院盆地の周辺で大群生地を見たことがある。



・森へ行く。この森に楮を移植。簡易蒸し器(ドラム缶)が据えられ、火が焚かれている。

コウゾは、古名を「栲(タク)」といい、その繊維または繊維から得られた白い布を「木綿(ユフ)」と呼んだ。神を呼び、神の依り代となる聖なる繊維である。布の起源、紙の発見などと関連している。「神楽」で用いられる御幣、神官が持つ祓い幣などの源流である。

私どもは「由布院空想の森美術館」を運営していた頃から由布院の地名の起源ともなった「木綿(ユフ)」の復元に取り組み、「楮布(こうぞふ)」の再現を行なってきた。宮崎へ移転した後もこの仕事を継続し、一時は由布院や米良の山中まで楮の採集に出かけていたが、ある日、茶臼原の森にも自生地があることが分かった。その場所は、友愛社児島草次郎理事長が「宇宙の泉」と名付けた湧き水の出る辺りで、そこからは石器や土器の破片も出土する。この地が古代人が暮らした地域であることをイメージしながら、以後、移植や布作りを継続してきたものである。楮布は「自然布」と呼ばれる、山野から得られる素材で作られた布を代表する布であり、「自然布」こそ、日本列島に暮らした先人たちが用いてきた庶民の「衣」なのである。





コウゾを掘り出す。コウゾの根は浅く、地表近くに広く張り巡らされている。この根は生命力が強く、森が杉などの常緑樹に覆い尽くされても数十年は生き延びていて、森が切り払われたり野火で焼けたりすると真っ先に芽吹く。「縄文植生」すなわちこの地の先住植物である。



コウゾを蒸す。




蒸しあがるまでに森の周辺から食材を採集して「風の木料理店のおひるごはん」。この日はフキノトウ、ヨメナ、ヨモギ、ニワトコ、カラスノエンドウ、椿の花びらを天ぷらに。ノビルは酢味噌と醤油に漬け込んだピリ辛ソースに。




午後、移植が順調に進んだ。ここが「楮の林」になる日が目に浮かぶ。





焚き火の周りでコウゾの皮を剥ぐ。これで繊維が取り出されてゆく。

*このあと、作業は
◇コウゾの繊維を雑木灰のアクで煮て「叩く」(3月3日)
◇寒に晒す
◇縒り合わせて糸を作る(3月11日)
◇織る(日程を調整しながら進行)

と継続してゆきます。
途中参加ご希望の方は090-5319-4167(担当・高見)へお問い合わせ下さい。

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