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森の空想ブログ

きのこの森に分け入った日 [空想の森から<48>]

由布院から宮崎へと帰る一日。
山脈が果て、里山道を走り、次の山系へとさしかかる地点。
小松林を見つけたので急停車。
そろそろハツタケやアミタケなどが出る季節だ。

予想通り、イグチを発見。落ち葉の間からやっと頭を出したばかりの幼菌だ。
茶褐色の笠にねっとりとしたヌメリがあり、笠裏に細かい網目のあるこのキノコは少しエグ味があり、大きくなりすぎると少々不気味なので、きのこ山では蹴散らして通ることもあるが、バター炒めだと案外美味しいのである。この秋一番の収穫としてまず籠に収める。
松の低木と小笹の藪を分けて進むと、アミタケが見つかった。イグチよりも笠裏の網目が粗いのですぐに見分けがつく。老母(90歳)が、若い頃を過ごした山の村の味として恋しがっていたきのこである。私は、冬山にタケノコ掘りに行った孟宗ほど孝行息子ではないが、アミタケを見つけると、母の喜ぶ顔と山の村が二重写しに目に浮かぶから不思議だ。煮付けにすると、適度のぬめりとシャキシャキした食感が楽しめる。







その林は、深い森へと続いていた。
大きな赤松が何本もあり、コナラやクヌギ、山桜などが混生する原生林である。
すぐにハツタケを発見。
やった、とばかりに採り進むと、その笠にほのかな紅(ベニ)色が差しているものが混じっていることに気づく。
はてな?
この妖しい紅色は何だろう?
ハツタケは、薄い茶系の笠に紫がかった斑紋が混じる。その斑紋に当る部分に紅色が差しているのは見たことがない。
さらに進むと、紅の色があざやかで、薄茶が少ないものが群生。
ベニハツの仲間かな?
と思い始めた頃に、真っ赤なハツタケの群生。そしてその向こうに真っ白なハツタケ。
これは、ベニハツとシロハツに違いない、とばかりに採取。
大量の収穫物を得た時点で少し気味が悪くなってきた。
赤いきのこの群れは、森の奥へと私を誘い込むように続いている。
暗がりにユウレイタケとも呼ばれる不気味なギンリョウソウ、その向こうに猛毒のベニテングタケも見える。
長居は無用。




ベニテングタケは画像なし。
写真の真っ赤な笠、白い足に赤い網タイツを履いたような妖艶なキノコはタマゴタケ。これは食べられるが、この環境の中では採る気にならぬ。
この日、キノコで冒険をしてはいけない、という鉄則を守ったことは正しかった。沢で半日ヤマメを追い、帰り着いたころには、この妖しいハツタケどもは、笠裏が真っ黒に変色していた。
――こんなものを喰ったら何が起こるかわからん、
と、きのこに関しては怖いもの知らずの母が直ちに焼き捨てた。
というわけで、今秋の初きのこはイグチとアミタケ。それでも十分に楽しめた一日。

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