一年前の11月29日、野良犬/野犬だった空を保護しました。
昨日のことのような気もするし、遠い昔のような気もします。
もし、私と同じように野良犬/野犬と接している方がいたら
どうしたらいいか悩んで「野良犬/野犬の保護」でネット検索しまくっている方がいたら
もしかしたら、私の経験を参考にしてもらえるかもしれないと思い
その時のことを、詳しく記しておこうと思います。
<注意>
野良犬/野犬にむやみに近づくことは危険を伴います。
対象となる犬の行動・心理が読めない方は、絶対に真似をしないでください。
また、保護をする際は、自己責任でお願いします。
毎日のように畑に遊びに来る野良犬の空は、とても警戒心の強い子でしたが
保護する半年ほど前から、私がビニールハウスの中にいると、「何してるの?」と覗きに来ることがありました。
そのうち、おやつを持って呼ぶと、ちょっとだけ入ってくるようになり
ある時、突然の大雨に、ハウスの中で一緒に雨宿りするまでになりました。
でも私が動くとすぐに出て行こうとするので、ヘタに動けず
そろそろ保護できるかな…
でもやり方を間違えたら、そのあと一生近づいて来なくなるかも…
絶対に失敗は出来ない…
悩んでいるうちに、空が隣の畑を踏んで通る、という苦情で役場に通報されてしまい
ポチパパさんに相談のメッセージを送りました。
二日後にポチパパさんから電話があり、これまでの経緯を話すと
「そこまで懐いているなら、もう勝負に出てもいいと思う」と背中を押され
空を保護する決心がつきました。
方法としては
食べ物でビニールハウスの中に誘導し、何度も出たり入ったりして慣れてきたら
次にクレートの中に誘導し、同じく何度も出入りさせて、安全を確認させてから保護。
初めて入った時に焦って捕獲すると、罠にはめられた!とパニックになり、その後の扱いがとても難しくなる。
焦らないこと。
常にリラックスしていること。
とアドバイスをいただき、何度も頭の中で唱えながら、チャンスが来るのを待っていました。
そして一週間後、その時が来ました。
朝10時ごろ、いつものように、空に焼いた砂肝を見せると、喜んでハウスの中まで着いてきて、お皿に入れたフードと砂肝を食べ始めました。
コウを連れてハウスに入ろうとすると、空が食べるのを止め、ハウスから出ようとするので、入口で待っていました。
ハウスの中は、空にとってまだ少し【警戒エリア】だったので、いつもなら食欲より安全を選び、私が動くとすぐに出て行くのですが
この時に限っては「コウにごはんを取られちゃう!」と思ったのか、Uターンして、またご飯を食べ始めました。
「あれ?・・・あ、今だ!」と思い、静かに戸を閉め、コウを車に入れました。
まさか、こんなに早くチャンスが来るとは思わなかったので、必死に自分を落ちつかせました。
空は「出口をふさがれた!」と動揺し、中をウロウロ歩き回って、ハウスのビニールをひっかき、外へ出ようとしました。
(空が開けた穴)
すぐに外に回り込んで、破れたビニールの穴から出た空の鼻を手で優しく押さえ「ダメだよ」と言うと
空はすぐにあきらめ、座りこんでしょんぼりしていました。
ハウスに入って空の側に行くと、すごく悲しそうに震えていました。
「信じてたのに…この人は自分を捕まえたりしないって信じてたのに…」
そう思っているようで、苦しくなりました。
ハウスの中からポチパパさんに電話をして、これからどうすれば良いかアドバイスを受けました。
注意点としては
・「無理やり」クレートにいれるのは絶対にダメ
・ できるだけ犬が自ら動くように誘導すること。
・ 絶対に焦らない 自分は常にリラックス。
とにかく、クレートに入ってくれれば、ポチパパさんに空を託せる。
何時間かかってもいい。と覚悟を決めました。
その後、空はじっとしたまま、食べ物も水も、一切なにも口にしませんでした。
とりあえず、リードを反対にして首にかけ、支柱につなぎましたが
少しでも空から目を離したら、暴れて、今度こそビニールを破って逃げてしまいそうだったので
ずっと隣に座って震える空を撫で続けました。
撫でながら、そっと首輪とリードを着けると、抵抗せず受け入れてくれました。
あらかじめハウスの中に置いていたクレートに入れるため、周りにコンテナを置き、徐々にスペースを狭めていきました。
が、一度も入ったことのない物体に、そう簡単に入るはずもなく…
途方に暮れる私の足元で、ウトウトする空。
クレートまであと一歩なのに…
でも、ここで無理やりクレートに押し込もうとすれば、信頼関係が壊れるだけでなく
それがトラウマになって、二度とクレートに入らず、飼育がとても困難になってしまう。
そもそも、空は私より力が強いので、無理やり入れることは不可能でした。
食べ物にも興味を示さないので、ひたすら待つしかない…
ハウスに入って8時間が経過。
周りが真っ暗になり、今夜はこのまま泊まりかな…コウも夕飯無しで車で寝てもらおう。と思い始めたころ
ぼんやりと寝ぼけたまま、体勢を変えるため立ち上がった空を、膝で押すと、それほど抵抗せずクレートに入ってくれました。
クレートの扉を閉めて、しばし放心状態の私。
その場でポチパパさんに電話をすると、翌朝一番で空を受け入れてくださるということで、空を車に積んで、助手席のコウと大阪に向かいました。
この日を境に、空の犬生はひっくり返り
その後の約半年間、空の心の中はジェットコースターの様だったと思います。
本当に良く頑張ってくれました。
*空との出会いから、保護し、うちの子になるまでのお話しはこちら
*家庭犬としての生活に馴染むまで、その後の記事はカテゴリー「野良犬から家庭犬へ 空の話」でご覧いただけます。
うちの子になって、だんだん甘えん坊になり、いまやすっかり母ちゃん子ですが
あの時、ハウスの中で悲しそうに目を閉じて、小さく震えていた空の姿を思い出すと、まだ涙が出ます。
でも、フィラリアが強陽性だったことから、あのタイミングで空を保護できていなければ、夏を超えて今ごろは、体内の成虫が増えて、病状が悪化していただろうし
症状が出ても病院に連れて行けず、どんどん弱っていく空を、ただ見ていることしか出来ずにいたかもしれない。
病院に連れていけるほど弱ったらすでに手遅れ。
まだ十分な体力と回復力があるうちに保護できて良かった。
そして何より、ポチパパさんにたどり着けて本当に良かった。
施設での二ヶ月間で、空はクレートが安全に眠れる場所だということ・人間に規制された生活・リードでつながれる散歩というものを学んでくれました。
その大きな土台が空の中に作られたからこそ、私たちの生活に馴染むことができたのだと思います。
ポチパパさんのご協力がなければ、独りでは到底無理だったなと、いま改めて思います。
空が家庭に馴染むまでとても大変だったけれど
目の前で安心して寝息を立てる空とコウを見ていると
全てが報われた気持ちになります。
これからもずっと、おじいちゃんになっても仲良しで元気でいてね
ちなみに、空はよくこうして「招き猫」スタイルで寝ます。
コウは「両手でハート」スタイル。
ふたり共すっごい可愛い ←親バカ
わんこの前足の関節は意外とやわらかい🐾