那須の姥ヶ平(うばがたいら)の紅葉 (10月3日)
朝6時過ぎに峠の茶屋の駐車場に着いた。既に20台以上の
車が止まっていた。
山は濃霧に覆われ、強風が吹き荒れている。
天気予報では午前中は晴れ、午後は曇りであった。
「これは午前中の勝負だな」と思って、まだ暗いうちから
家を飛び出して来たのに、山の天気はままならない。
それでも一縷の望みは有った。
雲が流れているし、予報は晴れであったし
気温が上がれば霧も晴れるかも知れない。
6時21分、指導センターのポストに登山届けを入れて
登山開始。
峰の茶屋の方から、風が猛烈に吹き降りてくる。
霧であっという間にメガネが曇った。
中間地点の中の茶屋跡に着いたら、朝日岳の斜面の紅葉に
一瞬日が当たった。
那須の近くに住んでいるという青年と一緒に途中まで
登った。
峰の茶屋避難小屋に着いたら、大勢の登山者が強風と
濃霧をさけて休んでいた。
ゴーゴーと名物の強風が小屋に当たって、いつやむとも
知れない有様だった。
あの青年も晴れ待ちしていた。
若いカップルが歩き出したので、私も出発した。
当然姥ヶ平に行くものと思ってついて行ったが、あっりゃ
茶臼岳に登っていくのだった。
まずいなー一人だと何かあったとき、助けを呼べないぞ
飛ばされそうだったので帽子は手に持った。
無限地獄を過ぎる頃から、時折霧が薄くなって、姥ヶ平の
真っ赤な紅葉が見て取れた。
前回の南月山の花の時に、未完成だった案内標柱が出来ている
牛ヶ首の直前に有る案内標柱の「姥ヶ坂」で右に下って
姥ヶ平を目指す。姥ヶ坂という場所だと初めて知ったのだった
下る途中で、だんだん霧が晴れてきて、辺り一面真っ赤な紅葉の
絨毯が広がっていた。
今年は姥ヶ平の紅葉の当たり年に違いない。
日の出平の斜面も、赤や黄色で彩られている。
まさにその時だった。奇跡が起きた。
紅葉の海原に日が差したのである。
姥ヶ平の砂地の広場に着くと、先客の男性が二人、ベンチで
休んでいた。
晴れましたねーと言うと、さっきまで雨が降っていたんだよ
と言うのだった。
そこへさっきの青年も降りてきて、「下っている途中で晴れたので
写真を撮りまくりましたよ。」と興奮している。
「神様がご褒美をくれたね」と言うと「普段の行いが良いから」と
大にこにこだった。
ひょうたん池にも行ったが、風で波立ち逆さ茶臼岳も無理だし
池の周りの紅葉もイマイチなので、そうそうに引き上げて
三斗小屋に向かう登山道を奥まで行ってみた。
木々の間から、日の出平方面の真っ赤な紅葉が続く
姥ヶ平に引き返していたら、先客の二人の男性がやってきた
どこに行くの? と聞いたら「三斗小屋から隠居倉に登る」という
実は那須の紅葉のポイントは、朝日岳の斜面と姥ヶ平と隠居倉の
斜面だと、私が言ったものだから、そこに行く気なったらしい
それにしても、あの三斗小屋からの登りのきつさは半端ではない
ちょっと若さがうらやましくなったのだった。