花と山を友として

何よりも山の花が好き、山の景色が好き、山で出逢う動物が好き、そして山に登る人が好き。
写真と紀行文で綴る山親父日記

至仏山のクモイイカリソウの話

2013年07月27日 | 写真

先日の至仏山のクモイイカリソウの記事で、同定のポイントとして
葉の縁の赤褐色の縁取りをあげた。

だから上の二つの写真は、クモイイカリソウと判断しているのだが
実を言えば、同定のポイントは他にも有ったのだ。
たとえば2008年5月に出版された偕成社の「新・尾瀬の植物図鑑」
には、147ページに「キバナイカリソウ」の写真と説明が載っていて
観察の要点として「花は淡黄色で錨形をしています。葉の下面に微毛が
あって、ふちにはとげ状の毛が有ります。」
と書かれている。
そして「近似種」として、クモイイカリソウが書かれていて「小葉のふちに
とげ状の毛のないものを言います。」と書かれている。
これから判断すれば、同定のポイントは次のようになる。

キバナイカリソウ→ふちにとげ状の毛が有る
クモイイカリソウ→ふちにとげ状の毛が無い

それから言えば

この写真の葉は、とげ状の毛が有るのでキバナイカリソウ


こちらはとげ状の毛が無いのでクモイイカリソウと判断
しても良いと思うのだが、ところがどっこい事はそう簡単では
無かったのである。

2006年4月に発行されたJTBパブリッシングの大人遠足BOOK
「尾瀬植物手帳」(猪狩貴史著)の52ページにクモイイカリソウの
写真と説明が載っている。
そこには次のように記載されている。
「至仏山塊や谷川連峰の蛇紋岩地のほか岩手県にも産する。
葉の縁に刺状毛があり赤褐色の縁取りが有るタイプと
刺状毛と縁取りの無いタイプがある。」
まさしく「はあ?!」である。

ついでにもう一冊図鑑を紹介する。
メイツ出版から2007年6月に出版されたネイチャーガイド
「尾瀬の自然図鑑」(前田信二著)には、クモイイカリソウについて
次のような説明がなされている。
「蛇紋岩変形植物の一つで、キバナイカリソウが変形したもの。
草丈30~40cmほどになる多年草。葉のふちが赤褐色になるのが
特徴。花は淡い黄緑色で錨の形に似ている。」

以上を参考にして考えると、とげ状の毛のない物と縁取りの有る物は
クモイイカリソウと考えて良いと思うが、とげ状の毛は遠くからは
判別しにくいので、縁取りのある物を同定のポイントとしたのである





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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
クモイイカリソウ (さむ)
2014-05-22 16:18:33
クモイイカリソウ変異が大きく悩ましいですね。
私は谷川岳によく行くので、やはり悩んでいます。
「高山に咲く花」山と渓谷社によると、
「クモイイカリソウの識別ポイントは小葉の先は尾状にのびない」
となっています。
これによれば、写真の葉はすべてクモイイカリソウでよいことになります。
ネイチャーガイド「尾瀬の自然図鑑」(前田信二著)の葉の縁の話ですが、先日キバナノイカリソウで葉が赤く縁取られた個体を見ました。
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迷ったら母種にしようかと (mino)
2014-05-23 19:41:24
さむさん、コメントありがとうこざいます。
私は元々植物などの学問と無縁の素人なので、この種の
同定には参ってしまいます。
迷った時は母種の名前を使おうかとも考えます。
キバナイカリソウで縁取りが有ったと言う話は、小葉の先が
尾状に伸びていた個体でも、縁取りが有ったのですね。

困ったことに、簡易図鑑は執筆者に寄って見分けのポイントが
違っていたりするので、素人泣かせですね。
JTBから出ている谷川岳の植物手帳では、葉の縁の
毛が有るか無いかで書かれていますね。
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クモイイカリソウ (さむ)
2014-06-10 22:48:26
お返事ありがとうございます。

キバナイカリソウで縁取りがあった個体は、小葉の先が少し尾状に延びていました。
おまけに、葉の縁に刺状の毛がありません。

JTBの谷川岳の図鑑にある、葉の縁の毛のあるなしという見分け方は、平凡社の図鑑「日本の野生植物」からですね。これはちょっと古いといわざるを得ませんね。

至仏と谷川岳のクモイイカリソウの生えている環境は特殊なので、あの辺りに生えている小型のイカリソウは皆クモイイカリソウでいいと思います。

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