花と山を友として

何よりも山の花が好き、山の景色が好き、山で出逢う動物が好き、そして山に登る人が好き。
写真と紀行文で綴る山親父日記

大雪原を越えて花満開の尾根へ・会津檜枝岐その3

2011年06月29日 | 登山

大津岐峠の残雪
雪原の端で登山道を探しながら進む、目印やテープは無いので経験者向き
場所に寄っては雪庇が有るので注意、このような雪原が尾根上に無数に有る。


大津岐峠と言えば、この巨大な標柱が有名だが、今回はこの標柱を見つけられなかった
豪雪でも埋まらないように巨大にしたと言うが、雪原歩きで間違えたらしい。
写真は昨年の夏に撮影したもの

だが、後で燧の湯でお会いした方も、大津岐峠に登ったが、この標柱を
発見出来なかったと言う。
もしかしたら豪雪で倒れた? 謎である。



6月26日(日曜日) 午前4時何とか起床、4時から起きて朝食の約束だった
外に出てみると、雲はたれ込めていたが、明るい部分もあり、何とか
持ちそうな気配だった。

花友も起きてきて、ガスコンロでお湯を沸かしている。
二人からインスタント味噌汁とバナナ、水を入れるだけで作れる
おこわ風混ぜご飯の携帯食料を貰った。
出発するときに水を入れておけば、昼までには出来上がると言う訳である。
これは、Kさんが前回の駒の小屋泊まりで試して、味も良いという
事で、今回おすそわけして貰ったのだ。

ウイダーインのエネルギーとおむすびと味噌汁を食べて朝食完了
雨の時、すぐに取り出せるようにレインウェアをザックの一番上に詰め替えた。

5時に出発する予定だったが、私のドジで20分ほど遅れた。


今回のコース図、カシミールの山旅地図を使用した。
「 この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)
数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)
数値地図50mメッシュ(標高) 及び数値地図10mメッシュ(火山標高) を使用した。
(承認番号 平22業使、第446号) 」


コース概略 およその目安として
キリンテ登山口から大津岐峠まで 距離5.10Km 所要時間上り3時間30分、下り2時間
大津岐峠から巡視路分岐まで   距離2.55Km 所要時間下り1時間10分、上り1時間20分
巡視路分岐から七入り下山口まで 距離3.90Km 所用時間下り2時間  上り3時間
七入りバス停まで5分(500m)

距離合計およそ12Km 歩行時間6時間45分(食事時間、休憩時間含まず)
これは無雪期のタイム予想なので、残雪期は多めにすると良い。
また、この時期は、蚊やブヨなどが多いので、虫除け対策と、残雪や
ぬかるみが多いので、防水対策も必須です。



大津岐峠から大杉岳に続く大杉林道は、残雪が多く、残雪をつなぐように
登山道が有ると言っても過言ではない。
だが、その雪の溶けた登山道がすばらしいお花畑であった。


5時26分 キリンテ登山口を出発、巨大な蕗の群生する道を行くと、やがて
渓流の小橋を渡る。
いくつかのラショウモンカズラが咲いていた。
岩をはむ清流が白い飛沫をあげて流れている。
手を入れた花友が「冷た-い。」と声を上げる。
そこから先はブナなどの多い樹林帯となり、ホウの木の白い花が頭上に見えた。

右に左にとジグザグを繰り返して登ってゆくこのコース前半は
精神的な難所で、ともすれば嫌になるが、ツクバネソウやムラサキヤシオ
タムシバなどが励ましてくれる。


大津岐峠の巨大な標柱が見えず、一時コースを間違えたかと思ったが
GPSで確認すると確かにコース上を歩いていた。
滑る雪原歩きに気を取られ、気がつくと大津岐峠の合流点はすぎていた。


ブナの多い登山道は、落ち葉も多く保水能力も高いので、ギンリョウソウの
生育に適しているのだろうか。
あっちにもこっちにもギンリョウソウが群がって咲いている。

やがて白い花のユキザサが現れ、標高が高くなると薄緑の花をつけた
ヤマトユキザサが現れた。
花友のIさんが、三種のユキザサの見分け方を説明する。
ヤマトユキザサは、茎は暗紫色で毛が有る、茎に角が無い

ヒロハユキザサは、茎は緑色で二本の角があり、毛は少ない。

どちらも雌雄異株である
確実な見分け方は、茎に角があるかどうかなので、さわってみよう。
(ヤマトユキザサには、希に茎の色が緑色もあるとかで確実に見分けるには)
角を正式には稜と言うらしいが、要は筋状の突起が2本有るかどうかである

普通のユキザサは、花が白いので誰にでも判る、こちらは雌雄同株の両性花
そんなことを言っていると、茎が緑色のヒロハユキザサが現れた。


これからたどる大杉林道の尾根を見渡すと、空は雲に覆われガスが山々にかかり
目印の送電線の鉄塔も見えなかった。


パラパラと雨が落ちてきたので、みんなでレインウェアを着た
ついでに貰ったバナナを行動食として食べた。
アクエリアスを飲むと、汗がどっと噴き出した。
三人で歩くときは、トップがKさん、セカンドはIさん、殿は私である。

Kさんは、地形を読む方向判断に優れていて、花を見つける感覚も鋭い。
「野生の勘」などと謙遜するが、実は人知れず本を読んでいる事を知っている
今回の資料もKさんに渡して読んで貰ってある。

倒れて朽ちかけている大木の根に、シダが繁茂して緑が美しい。
この世で滅びないものは何もない、違うのは滅びるまでの時間の長さである
と言っていた中学時代の理科の先生の言葉をふと思い出した。
あの時は、太陽が滅びるなんて想像も出来なかったし、判らなかった。
同じように見えて、自然は少しずつ形を変えている。


林道の至る所に咲いていた白根葵
「あらーっ、あっち見て、こっちの藪にも沢山咲いているわよ。」
Iさんの声が喜びにあふれている。
「うーん、うーん」とKさんも頷いている。
最初の白根葵は、そっぽばかり向いていたが、だんだん まとまって咲く
白根葵が増えて、真正面からとれる花もいっぱいだった。


白いムシカリの花が、雨に濡れて葉っぱにへばりついていた。
ようやく目指す燕万年青(ツバメオモト)の群生地にたどり着いた。
だが花が無い、花は散って花柄だけが残っている。
この時期を設定した私は、しまったと思ったが、花友が「しょうがないわよ」
となぐさめてくれた。

先を行くトップのKさんが「ツバメオモトが咲いている」と声をあげたのは
それから間もなくだった。
標高と日照時間の違いだろうか、燕万年青の見事な花群落が続いていた。
全く無防備と思えるほど、登山道の脇に咲いているのだ。

濡れたツバメオモトの葉っぱは、緑色が鮮やかで、群がって咲く白い花は
まぶしく見える。
重さを軽減するために持参したミニ三脚が、役に立たない事を知った。
やはり大は小を兼ねるなのだ。
と言うわけで、写真は手持ち撮影となってしまい、かなりボケている。
まあ一番ボケているのは自分なのだが(苦笑)


こちらも無数に咲いていた「ミヤマキスミレ」ふうオオバキスミレ
ところで、この写真を一目見てオカシイと思ったあなたは鋭い。
私は帰ってから気がついた。


ショウジョウバカマの花がポツリポツリと見え出し、イワナシの実がなっていた。
それもだんだん花に変わり、ピンクの筒型の花が可憐だった。
コヨウラクツツジの小さな壺が風に揺れている。

目の前に残雪が現れ、間もなく大津岐峠が近いと思えた。
雪の上に鹿のフンが転がっている。


サンカヨウ(山荷葉) 荷葉とは蓮の葉を表す言葉で、山に咲く蓮の葉
と言う意味である。蓮と書く場合は、花や植物全体をむ差し、荷葉は
葉を言い表わす場合に使うという。
蓮の葉は、葉の裏の中心に葉柄があり、山荷葉も同じように葉柄がついている
おもしろい事に、大小二つの葉の小さい方に花が付くが、小さい葉に
葉柄が無い。 メギ科サンカヨウ属
以上、minoさんの知ったかぶり講座---(笑)

この花は、栂池で見て以来、私の好きな花の一つになった。
那須で、蕾の頃のこの花を見て、マントに包まれたような形に感動した記憶がある
サンカヨウと聞くとソウカヨウと言いたくなる。


笹の道をわけると、目の前に巨大な残雪の雪原が現れた。
大津岐峠到着と言ったのだが、目印のあの標柱が無い。
慎重に雪原に登って見渡したが、見つけられなかった。
時計を見ると9時34分であった。

もう少し先ではと思って、雪原を渡り、次の雪原に行ったが
GPSで確認すると、大津岐峠から大杉林道に入っていた。
「どうする、引き返しますか?」と聞くと「今更あの残雪を歩いて
帰るのは嫌だ」という。
Kさんの頭の中では、すでに勝算が有ったのだろう。
GPSでコースを確認すると、間違いなくコース上だった。

それからは大杉林道の雪原歩きが続いたが、雪のない登山道に
出ると、次から次へと花が咲いていて、三人で歓声を上げた。


ハクサンチドリ・白山千鳥・ラン科ハクサンチドリ属・別名シラネチドリ
江戸時代の草木図説に白山を標本とする原図があったので
白山千鳥と名付けられたという。
千鳥は、花の形が千鳥の飛んでいる姿に似ていることによると言う。
この花のシロバナが、秋田駒ヶ岳の八合目避難小屋前に咲いていたが
誰も見向きもしなかったのには驚いた記憶がある。


ここまでは、写真の説明と登山記を、時間差進行で書きましたが
登山記はここで終了します。
あまり具体的な地名を書くと、貴重な花が盗掘されかねない危険が
有ると花友からも指摘され、自分の苦い経験からもそのように
思いますので、ここからは写真説明のみといたします。

尚、参考の為、各地点の時刻は次の通りです。
キリンテ出発 朝5時26分
大津岐峠着  09時34分
巡視路分岐  12時10分
七入り下山口 14時40分 ぎりぎりでパスに間に合った。


キヌガサソウ・衣笠草・ユリ科ツクバネソウ属 別名花笠草
キヌガサソウの葉は、8~10枚が放射状につく、その葉姿を
昔の貴族などが従者に差させた「衣笠」に見立てたもの



キヌガサソウとサンカヨウのコラボ写真


尾根の残雪は、表面にゴミが亀甲模様を描いていたが、最近の足跡は無かった。


三人とも、このような雪原の登山は初めての経験だったが
雨があまり降らないという幸運にも助けられたと思う。



イワカガミ・岩鏡・イワウメ科イワカガミ属


コバイケイソウ・小梅草・ユリ科シュロソウ属 
バイケイソウと似ているが、花が小さいので小が付いた
若芽と根茎は有毒なので注意



イワイチョウ・岩銀杏・ミツガシワ科イワイチョウ属 別名ミズイチョウ
名前の元は、岩場に咲く銀杏の葉に似た葉を持つ花という意味だが
岩場よりも湿地に咲くことが多く、葉っぱもそれほど銀杏に似ているとは
思えない。別名の方が合っている気がする
花弁にヒダがあり、縁は波打っている。ミツガシワのような毛がない



ウラジロヨウラクの白花と思われるが、樹林帯で暗く、ピントが合わず
ボケてしまったが、珍しいのであえて公開する。



コミヤマカタバミ・小深山傍食・カタバミ科カタバミ属
ミヤマカタバミに似ていて草姿が小さいので小が付いた。
ミヤマカタバミは葉の角が尖り気味なのに対して、コミヤマカタバミは
角がやや丸みを帯びている。
カタバミの名前は、日が陰ったときや夜になると、葉が折りたたまれて
片側の葉が食べられたようになるのでつけられたという。



断定は出来ないが、白根葵の白花と思われる蕾も有った


送電線の管理に使う巡視小屋・一般人は利用出来ない
この前の分岐から、七入りに下る送電線巡視路に入る。


以下の写真をご覧いただくと判るが、送電線巡視路は、登山用では
無いので、崩落地や崖の上を歩く難ルートです。
一旦顛落すると、登山者も希なため、発見されない可能性が有ります
登山届けなど、万全な体制で歩きましょう。
できれば複数の人と歩きたい。



崖の上


崩落地のガレ場


急斜面の道が続く


雨で濡れて「スケスケ」になったサンカヨウ


そして頑張った人だけが見られる花が咲いてました


エンレイソウの写真を追加・三枚の萼片と花弁のようなものが1枚ついた
シロバナエンレイソウの奇形のようなエンレイソウ。


おしまい。

大雪原を越えて花満開の尾根へ・会津檜枝岐その2

2011年06月28日 | 登山

今回の登山口・キリンテ

夕食の後、バンガローに戻った私たちは、外に張り出したターフの下の
テーブルで、ガスでコーヒーを沸かして飲んだ。
Kさんは、よく冷えた缶ビールを実にうまそうに飲んでいた。


イワナシ・大津岐峠付近にて6月26日

Iさんは「コーヒーを飲むと眠れなくなるから」と言うので、私は言った
「コーヒーは、精神を安定させる効果があり、かえって眠れるんだよ。」

檜枝岐は気温が低いから、虫が少ないだろうと思っていたが、うるさい
ほどにブヨのような虫が寄ってくる。
とうとうIさんが数カ所刺されてしまった。


最初の残雪・大津岐峠手前6月26日

早々にそれぞれの部屋に引き上げ、寝る準備をしていると「コーヒーで
すぐに眠れないなら、明日の下山口を下見に行きませんか」と花友が
言うので、3人で下見に行くことにした。

予定の下山路は、国道352号線の七入橋を渡った数百メートルほど先である
下山路と言っても、正式な登山道ではなく、送電線を管理する巡視路である
巡視路なので送電線とほぼ同じルートを通っている。


このコース至る所に咲いていた「オオバキスミレ」の高山型と言われる
「ミヤマキスミレ」と思われる花、よく見ると一つの茎に複数の花を
つけている。距は短く目立たない


国道の上を送電線が通っていれば、その近くにルートが有るはずである
七入橋のバス停を確認して、なおも先に進んだが、送電線を確認出来なかった
見通しの良い場所に車を止めて振り返ると、雲のたれ込めた空に
送電線が見えた。


ウラジロヨウラク・ツツジ科 大津岐峠の手前にて6月26日

だいたいの場所を確認してUターンすると、今度は送電線が判った。
そして近くには、巡視路とおぼしき刈り払われた小径があった。
ここから七入りのバス停まで、車のトリップメーターで見当をつけると
およそ4~5百メートルの距離だった。

そして七入りからキリンテまでは、4キロも無いから最悪の時は
歩いて1時間の距離とみた。


タムシバ・モクレン科 大津岐峠の登山道にて、匂いがすると言うので
嗅いでみたが、化粧品のような匂いで、好みの香りではなかった


バンガローに戻ると、私はすぐに寝床に潜り込んだ。
本当を言うと体調に不安が有ったのだ。

トイレに行きたくて目が覚めた
ランタン代わりに点灯していた、ヘッドランプのLEDで確かめると
夜中の2時半過ぎだった。
トイレは国道を渡った反対側のキャンプ場に有る。
電灯が一つボーっとあたりを照らしている。
すでに雨はあがっていたが、星空は見えなかった。
周りの山々が黒いシルエットになって取り囲んでいた。


イワナシの実・これが梨の実に似ているので、花の名前の元となったという味も梨の実に似ているという

再び寝床に潜り込むと、御池方向に向かう車の音が聞こえた。


ムラサキヤシオも咲いていた大津岐峠登山道 6月26日

続く

大雪原を越えて花満開の尾根へ・会津檜枝岐

2011年06月27日 | 登山

咲き誇る白根葵・撮影6月26日

昨年、会津駒ヶ岳に花友と登り、駒の小屋に泊まって
会津駒と中門岳を歩き、駒の小屋から富士見林道の尾根
を歩いてキリンテに下山した。

その下山路に無数の燕万年青(つばめおもと)の株が有った。
尾瀬の段吉新道にも群落が有るが、それを遙かに超える数である。
「来年は、この群落の花を見に来ましょう」と約束した。

そして今年、花の時期はいつか、調べた結果、6月の25日前後に
登る事にした。
ところが台風である。
6月24日に最終判断をする事にして、天気予報を確認したり
檜枝岐の観光案内に電話して聞いたりして、いったんは中止にした。
前泊するために予約しバンガロ-もキャンセルした。

が、中止にしても、私一人は、単独でも檜枝岐に行くつもりだった
それを知った花友は、どうしても参加したいという。
自分一人なら、何があっても自業自得で仕方がないが、同行者が
いるとなると、責任がかかってくる。
24日夜8時の天気予報を見たら、檜枝岐の26日の天気は、一日曇り
夕方から雨であった。

この計画の為に、25日と26日の休みだけは死守すると言ったという
花友のKさんは、雨でも良いという。
もしも悪天候になったら、即座に下山する覚悟でOKをした。

それからは大騒ぎである。
花友のIさんは、一旦キャンセルしたバンガロ-に再び予約したという
私は、大あわてで資料を作った。
コースの参考にしたのは、ヤマケイのアルペンガイド3・尾瀬である。
著者の花畑日尚さんは、尾瀬の仙人と呼ばれるほど、尾瀬を
撮り続けた写真家である。

花の情報は、ネットで探して、参考にした。
それを冊子にして、次の日、トップを歩くKさんに渡すつもりだった。

25日午前10時、集合場所から私の車で檜枝岐のキリンテに向かった。
真岡から北関に乗り、東北道の那須塩原で降りたら、千円だった。
やはり軽は安い。往復でも2千円である。
途中の店で食事を摂り、檜枝岐のキリンテに着いたのは、午後の2時
過ぎである。

つくばを出るときは晴れだったが、栃木に入ったら小雨が降り出し
会津の檜枝岐も小雨だった。


燕万年青・ツバメオモト・ユリ科ツバメオモト属 6月26日撮影

私たちの泊まる「かわばたキャンプ場」には、バンガロ-が
二棟あり、その内の一棟が二間に別れている。
昨年、お世話になり、顔なじみになった管理人の奥様が
男女、別々になれるように二間のバンガロ-を貸してくれた。

明日の準備を整え、檜枝岐の宿泊者が無料で入れる券を借りて
「燧の湯」に出かけて、ついでに夕食もそば屋で食べた。
これも管理人の方が電話で手配してくれたのだ。
檜枝岐のお店は、閉店時間が早いから、夕方やっているお店は
少ない。


なでしこの試合が始まったので、今日はここまで





筑波山の6月の花

2011年06月24日 | 写真

筑波山の男体山を巡る自然研究路の東屋の先にある岩場の展望台
に咲くピンク色のヤマボウシ
頭の上なので、なかなか気づかないが、美しい色だ


先週から今週にかけて、かなりきつい日程だったので
とうとうブログを書く気力も無くなり、ダウンしてしまった。
先週は、尾瀬と西吾妻を歩き、今週は19日が筑波山の観察会
20日が筑波山の植生調査だった。
特に20日の植生調査は、背丈ほどのスズタケの猛烈な藪こぎを
して、雨上がりの急斜面を泥だらけになって歩いた。

と言うわけで、尾瀬と西吾妻のブログの続きは、しばらく
書けそうもない。
毎日大勢の方がブログを訪問してくださり、申し訳ないと
思っていますが、お許しくださいね。


筑波山の針葉樹林の林下に咲く「無葉蘭」の花
この写真のものは、黄色の突起毛があった


ムヨウラン(無葉蘭)・ラン科ムヨウラン属
常緑樹林内に生える葉緑素を持たない腐生植物、茎は30~40センチ
茎頂に淡黄色の花を数個つける。
萼片、側花弁は同形、長さは約1.5センチ、半開する
唇弁は先端内面に内向する毛状突起が有る。花期は6~7月

唇弁が白色で淡紫色を帯び、先端内面に紫色の突起毛が
あるものを「クロムヨウラン」と言う


株立ちしているムヨウランも有った。


老眼でピントが合わず、はっきりしないが、「クロムヨウラン?」と
思えるような花も有ったが、まあやめておこう(苦笑)

ムヨウランについては、観察会でご一緒したHSさんご夫妻に
場所を教えていただいた。感謝!!


キセルガイの仲間・筑波山の男体山の登山道のブナを登っていた
湿った樹木を好むそうである。


ツルアリドオシの花、側面から撮影したが白飛びして細部が
はっきりせず、シベがかろうじて写った。
いつも2個が並んで咲くが、一個の子房なので赤い実も一個しか付かない
(正確には二つの子房が合着したものなので)
一個の実に二つの花の跡があるので注意して見てね。そういいながら
自分でも忘れているが(笑) アカネ科ツルアリドオシ属


オオナルコユリ ユリ科アマドコロ属
下部の花が開いていたので、その部分をねらってみた。


ギンリョウソウが実になりかかっていた。
ゲゲゲの鬼太郎の「めだま親父」にそっくりだと毎回思う
イチヤクソウ科ギンリョウソウ属 これも葉緑素を持たない腐生植物
別名ユウレイタケ


筑波山の女体山・山頂直下に咲くニッコウキスゲ
ゼンテイカ・ユリ科ワスレグサ属 別名をニッコウキスゲと呼ぶ
いまや別名の方が有名


タツナミソウの咲き残り・右の花の形がおもしろいので
撮って見た。

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お知らせ

 会津駒ヶ岳と尾瀬・燧ヶ岳の山開き情報

 7月2日 会津駒ヶ岳
 7月3日 尾瀬・燧ヶ岳
 詳しくは、檜枝岐温泉観光案内のこちらをご覧ください


  日光国立公園のボランティア募集のお知らせ

 今年も日光国立公園内の登山道の草刈りボランティアを
 募集しています。
 日時 8月6日(土) 午前9時 日光湯元ビジターセンター集合
 
 詳しい募集要項は、日光湯元ビジターセンターのイベント情報から
 8月6日の 「国立公園ボランティア」の項目をご覧ください。
 
 

原発事故に泣く東北の山・山形県西吾妻山から

2011年06月18日 | 登山

西吾妻連峰・梵天岩に咲くコメバツガザクラ・6月16日撮影


自宅を5時に出て、矢板から東北道に乗って、米沢市の天元台に
着いた時には、9時をすぎていた。
長野の湯ノ丸山に登る予定だったが、天気がイマイチだったから
一日晴れの予報の米沢にした。

ゆっくり支度して天元台のロープウェイの窓口に行った。
「ロープウェイとリフトの往復券をください」と言うと
窓口に居た若い女性が「上のリフトが動いていませんが
宜しいですか。」
とっさに言われた意味が理解できず、聞き返すと
三本あるリフトの内、上の二本が運行中止中だと言うのだ。

前の晩、天元台のホームページを確認したときには
そのようなお知らせは出ていなかったはず。
その旨を告げると「申し訳ありません。」という。
窓口の担当者と押し問答しても始まらない。
とりあえず行けるところまで往復の切符を買った。

9時40分発のロープウェイに乗って高原駅に向かった。
その時乗り合わせた山菜採りと思われる数人の方から
話しを聞いて、だんだん事情が飲み込めた。

どうも前日運転中にトラブルが有って、リフトを止めたらしい
ところが、福島原発の事故で、山形の山や温泉宿にも
客が来ず、ロープウェイの各社とも、人員削減をしてロープ
ウェイの整備も大変な負担になっているという。

安達太良山もデコダイラも、大手の東武や西武の資本系列
なのに、最低の人員で運行しているというのだ。
ロープウェイに乗っていた職員は「安全第一ですから」と
繰り返していた。
「そんなことは当たり前な事である」と言いたい所だが
内実を知っては、とても言えないではないか。

「もしも」の仮定の話をしても始まらないが、あの福島
原発の事故さえ無ければ、東北の山が、これほどの不況に
あえぐ事も無かったで有ろう。
まさに東北の山が泣いているのだ。

帰りのロープウェイでも職員から言われた。
「帰りに温泉に入る予定がありますか、温泉に入るなら
ここの温泉に入ってください。」という。
どこの宿も経営が厳しいというのだ。
それで私は「森の館」というロープウェイのすぐ下に有る
入浴施設に入って帰った。395円である。


天元台高原駅の脇から、飯豊山の雪山が見えた。

下界の厳しさを知らぬげに、高原駅の周りは「イワツバメ」の
集団が飛び回っていた。


一つ目の「しらかばリフト」を降りると、止まったままの
「しゃくなげリフト」が、遙かに山に連なっている。

登山口の北望台までは、リフト二台を乗り継いで30分は
かかる距離だ。想像するだけでもうんざりする距離だ
リフトの降り場で、職員からコースを聞いて、リフトの下を
トボトボと歩き出す。

ふと脇を眺めたら、先行の客達が、草原で休んでいる。
こんな私を物好きと思っているのかもしれない。
私は姿勢を正して歩み出した。


リフト下の登山道に咲いていた「ツマトリソウ」


続く





梅雨の晴れ間に尾瀬ヶ原・その2

2011年06月15日 | 登山
草刈りで疲れたので、写真のみ先行公開、説明は後日、ごめん


クルマバツクバネソウ


サンカヨウ


ツクバネソウ


タカネザクラ


白根葵

水芭蕉群落で記念写真


リュウキンカに彩られた木道が続く


斑入りのような水芭蕉


アップで見ると葉脈がくっきりしている水芭蕉


下の大堀川から牛首と至仏山は、撮影ポイントとして有名


竜宮入口


竜宮出口


トンボの羽化


ベンチ脇でチングルマ、竜宮十字路


咲き始めのヒメシャクナゲ


ニリンソウの群落、竜宮小屋の先


帰りは至仏山に向かって


花を探しながら帰る


追加補足情報
斑入りの水芭蕉について、尾瀬保護財団にメールにて問い合わせ
いたしましたら、やはり突然変異によるとの回答をいただいています
ただ、何故そうなるかは、原因がわかっていないそうです。

また尾瀬の黄色いスミレのオオバキスミレとミヤマキスミレの区別は
難しく、どちらと言っても間違いではないとの事でした。
但し、これは現段階での話で、研究が進めば確定されるかもしれません
とりあえず猪狩さんの説に従って、私はオオバキスミレとして扱います
尾瀬保護財団の事務局の方、ありがとうこざいました。
6月22日に回答をいただいておりましたが、掲載が遅くなりました
すみません。





梅雨の晴れ間に尾瀬ヶ原

2011年06月14日 | 登山

尾瀬の山の鼻にある「尾瀬植物研究見本園」で見頃の水芭蕉の群落6月13日撮影

6月13日、真夜中に自宅を出て、土砂降りの雨の中を尾瀬に向かって
車を走らせた。
定年退職した職場の、先輩であるNさんご夫妻と、Kさんご夫妻と一緒に
尾瀬の水芭蕉を見に行く約束が有ったからである。

戸倉温泉の宿に前泊して待っていると言うので、関越の沼田ICで降りて
国道120号線から鎌田で左折して国道401号線に入ると、江間章子さんの
夏の思い出のメロディがタイヤの音で鳴る。
誰が考えたか、タイヤの摩擦でメロディを奏でるとは、おもしろい。
しかもスピードが合わないと、うまくメロディにならないから、40キロ
で走ろうね。

前回行った袈裟丸山でも、メロディラインが有り、もしもし亀よを
歌った。

ちなみに江間章子さんは、幼い頃、母親の実家のある岩手で暮らした
ので、私の故郷岩手にゆかりがあり、岩手県西根町(現八幡平市)の
名誉町民第一号に選定されていると言う。

「夏がくーれば おもいだすー」などと口ずさんでいたら、雨が
小降りになってきて、戸倉温泉に着く頃には、雨がやみそうな気配
だった。

朝6時に出発する約束だったので、土砂降りで間に合わないかも
しれないと心配したが、宿の駐車場に着いたら5時30分過ぎだった。

登山の支度をしていると、Kさんが宿から様子を見に出てきた。
「途中、土砂降りですごかったよ」というと「こっちでもさっきまで
降っていたよ」という。

念のため雨合羽を着込んで、ザックを背負い、宿の玄関に入ると
みんな準備をして待っていてくれた。
宿で作ったお弁当をザック入れて、準備完了。

宿が手配したタクシーに乗り込んで、いざ出発!
帰りのタクシーは、テンマ沢についたら電話して迎えに来てもらう
手筈だという。
(尾瀬ヶ原は、携帯電話が圏外なので)


鳩待峠と山の鼻の間に沢山咲いていたエンレイソウ


延齢草=エンレイソウ、漢字のごとく、民間で薬草として使われたので
この名前がつけられたと言う。 ユリ科エンレイソウ属、丸みを帯びた菱形の葉が三枚輪生
花弁に見える萼片が3枚あり、雌しべの先が3つに別れる、雄しべは3の二倍の6本
3がらみの花である。萼片の色は変化が多い、ごく希に萼片の上に花弁が出来る事が有ると言う。
---------------------以上minoさんの知ったかぶり講座--------------

ワンボックス型の観光タクシーに乗り、清々しい緑の中を走って
鳩待峠に着く頃には雨が上がっていた。
駐車場の脇に、除雪した雪の山が、泥で汚れて積み上げられていた。

鳩待峠から尾瀬ヶ原の竜宮十字路までの間のトイレは、鳩待峠、山の鼻、竜宮小屋の付近の
三カ所しか無いので、出発前にすませておこう。
登山届けを探していたら、首から名札を下げた案内係の人が、尾瀬ヶ原に行くなら
届けはいりませんよと声をかけてきた。

先輩のNさんが「水芭蕉の見られる所は、どこが良いですか。」と尋ねると「植物研究見本園
は、日陰で雪解けが遅いので、そこに行けば良いですよ。
尾瀬ヶ原は、日当たりが良いので、もう見頃のピークはすぎていますよ。」という。

入口の種子落としマットで、私が靴底をこすっていると「尾瀬も外来種が入り込むので
外来の種が入らないように、靴底をこすって入ってください。」と案内の人が説明している

鳩待峠から尾瀬ヶ原の入口の山の鼻までは、下りの道で標高差でおよそ200メートルを下る
(鳩待峠の標高は1591メートル、尾瀬ヶ原は、ほぼ平坦な湿原で標高1400メートルに位置する)

鳩待峠の由来については、以前のブログで紹介したので、今回は省略
昨夜来の雨で濡れた石の階段状の登山道をゆっくりと降りていくと、エンレイソウが
沢山咲いている。
遠くでカッコウが鳴いて、霧の立ちこめた林の中に吸い込まれている。
名前も知らない小鳥が、雨上がりを喜ぶ様にさえずっている。

霧に巻かれて白い花の「ムシカリ」がかすんで見えた。
「あの花がムシカリで、虫が好んで葉を食べるので、虫食われがなまって
ムシカリと名付けられたもので、オオカメノキとも呼びます。」と私が
説明すると、先輩のNさんが「ああオオカメノキか」と言う。
どうやら「オオカメノキ」で覚えていたらしい。

花には、元々の名前の他に、別名と呼ばれる名前があり、片方だけを
覚えていると、花を間違えてしまったかと思うときがある。
オオカメノキは、葉の形と葉脈の模様が、亀の甲羅に似ているから
名付けられたと言う。

ムシカリという名前も、虫に好まれると言うことで「虫狩り」と呼ばれて
名前がつけられたという説も有る。(JTBの樹木観察ハンドブック)

同じような勘違いを私もしてしまった。


上の花を私は「シロバナエンレイソウ」と説明していたが
山の鼻のビジターセンターに行ったら、開花情報に「ミヤマエンレイソウ」
と名前が出ている。
しまった間違えて説明したと思い、みんなに「ミヤマエンレイソウ」でしたと
訂正した。
ところがである。帰って図鑑を見ると、シロバナエンレイソウは別名
「ミヤマエンレイソウ」とも呼ぶと出ている。
なんと言うことだ、シロバナエンレイソウで正しかったのだ。がっくり。
それに「ミヤマエンレイソウ」の別名を「シロバナエンレイソウ」と
説明している図鑑もある。
知ったかぶりは、時には代償が高くつくのだ(泣)あーあ。

脱線ついでに言うと、ミヤマエンレイソウは、下の薄緑の3枚が萼片で
上の白い3枚が花弁である。
こちらには花弁が付いている。本当かどうかは、自分で調べてね。(笑)

やがて登山道は木道に変わる。
木道の歴史は、昭和9年に朝鮮の最後の王「李王殿下」が尾瀬を
訪れた時に始まったと言われる。
最初は、ぬかるみを避ける為だったが、その後、湿原を守る役目に変わり
現在では、尾瀬に65キロに渡って木道が施設されているという。

初期の頃は、尾瀬で切り出した木を、雪のある冬場にソリで運んで
いましたが、現在では、国産の唐松材をヘリで山麓から運びあげている
そういった費用で、1メートルの木道を施設するのに、およそ12万円が
かかっているという。

それでも木道の寿命は10年ほどだと言うから、維持するのは大変である。

現在試験的に、新しい素材で作った木道が使われているのをご存じ
ですか。鳩待峠と山の鼻間で、使われています。ほんの一部ですが
(木ではないので、木道と呼んで良いのか?ですが)

ところで最近尾瀬には、熊が頻繁に出没しているという。
案内係の人は、登山道の脇に熊よけの鐘が有るので鳴らしてください
と言っていた。
と言うわけで、熊よけの鐘を思い切り鳴らして通った。

登山道の谷川で、樋で流している水は全部飲めますと、係の人は言っていたが
福島原発事故以来、疑り深くなっている私は、飲まずに手を入れてみた。
雪解け水の冷たさが、体に伝わって気持ちが良い。

イタリアでは、国民投票で原発を廃止に決定したという。
振り返って吾が日本はどうか。
福島では、牛飼いの酪農家が、牛の乳を捨てる辛さのあまり、前途を
悲観して首つり自殺したという。
原爆を体験した日本で、何故安全神話がまかり通ったのか、今一度
考えてみようではないか。


登山道の脇には、オオバキスミレと思われる花がたくさん有った。

思われる花と書いたのは、尾瀬の「オオバキスミレ」は、変種の
「ミヤマキスミレ」に近い花が多いという理由からだ。
JTBの「大人の遠足BOOK」の「尾瀬の植物手帳」で、著者の猪狩貴史
さんも判定が難しいと書いている。

一般的な違いで見分けるには
オオバキスミレ------葉は互生で卵形、先端が尖る
ミヤマキスミレ------茎葉が3枚、輪生しているように見えるほど
          接近している。
と言われている。


この写真は、13日に木道脇で撮影した「オオバキスミレ」だが
3枚の葉が輪生状に付いているようにも見える。
素人泣かせの難しい花である。困った。

続く
昨日、竜宮十字路で休んでいたら、よそ見したのか足を踏み外して
池塘に落ちた方がいました。(下半身ずぶ濡れになられた)
中高年の方は、バランス感覚が低下して、少しのことでも転倒します。
お互いに注意したいものですね。

















花友とゆく後袈裟丸山郡界尾根

2011年06月06日 | 登山

後袈裟丸山の岩場に咲く雪割草・6月5日

私は5月31日に霧の郡界尾根を歩き、6月3日に那須の中の大倉尾根を
歩いた。
いずれも、6月5日に花友と登る約束をしたので、下見に登ったのだった
中の大倉尾根は、シロヤシオの開花が遅れて、まだ一部が開花している
だけだった。
しかも、前日にNHKが、八幡のツツジが満開になったと放送したので
那須の八幡付近は、平日にもかかわらず、大渋滞になって、私を悩ませた。
道の細い所にも、路駐する非常識な観光客もいて、対向車が通れない
状況を作り出していた。

その結果に基づき、6月5日に後袈裟丸山の郡会尾根に登る事になった。


見上げる岩場には、満開の雪割草が咲いていた。

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がんばろう東北!

昨年のブログで書いた福島県の安達太良山やデコ平湿原
残念なことに、残雪からセシウムが検出されて、水や山菜が
飲食出来なくなってしまった。
それについてはこちらの記事参照
追加記事

が、くろがね小屋のページを見ると元気にやっていますね。
がんばろう東北!

濃霧の郡界尾根は花だらけ2

2011年06月02日 | 登山

後袈裟丸山・山頂の奥から振り返って


疲れているというのに、山頂の直前は急登だ
途中で出会った二人連れは、上は小雨が降っているから引き返して来た
と言っていたが、なるほど良く滑る。
立木や笹につかまり、ようやく登った。

山頂付近のシャクナゲは、まばらに咲いているだけで、途中で見た
華やかさは無かった。
時間は午後の2時をとっくに過ぎていた。
霧に覆われて展望は無い、八反張に行くか迷ったが、どうしても
確かめたい花があった。

雨で濡れた膝丈の笹原をゆっくりと下る。
最近登山道の手入れをしていないようで、腰ほども有る笹原もあり
手でかき分けないと、道がどこか判らない有様だった。
しかも、滑ったら最後、どこまでも転げ落ちそうな急斜面である。
濡れた笹とぬかるみで、ズボンはドロだらけになった。
笹につかまり、一歩一歩確かめて降りていく。

それほど気をつけていたのに、滑ってよろめいた瞬間、笹に隠れた
倒木の枝に、すねをぶっつけてしまった。
とっさに笹につかまって、体は立て直したが、足の痛さは堪えた。
(後で自宅の風呂場で見たら、少し傷になり出血していた)
それほどまでにして降りたのに、目当ての花は蕾だった。


八反張のコルに咲く峰桜?とアカヤシオ

長居は無用と、再び笹につかまりながら山頂に戻ったら
もう午後の3時に近かった。
こんな時間に山にいるのは私だけだろう。どこにも人の気配は無かった。

一人での山登りで危ないのは、怪我で動けなくなる事だ
自分で言い聞かせて、注意深く下る。
それにしても長い道のりである。
ザックにつけた鈴の音だけが道連れであった。

咲き誇るシャクナゲとツツジに励まされて
ようやく八重樺原にたどり着いたときは、正直ホッとした。
登山口までの長い階段で、膝の裏が痛かったが、無事に帰った
安堵感が有った。
夕方5時、登山口に到着した。

車の脇に一人立っている人がいたので、何かと思ったら
車のバッテリーあがったという釣り人だった。
他の車は一台も無かった。

おしまい。

前日、草刈りしたのがひびいて、寝坊してしまい、出遅れたのが
事の始まりでした。チャンチャン。(笑)
このところ草刈りで忙しいので、仕方がない。

以下はオマケの写真。

若い木を背負って立つ、枯れ木の根っこ


明日は我が身です。落ちた花で飾られていた




濃霧の郡界尾根は花だらけ

2011年06月01日 | 登山


霧の郡界尾根に咲くシャクナゲ 5月31日撮影・後袈裟丸山郡界尾根にて


郡界尾根登山口

三等三角点のある八重樺原に着いたのは、丁度12時だった。
笹原の続く八重樺原の尾根は、袈裟丸山の好展望地として知られているが
あたり一面真っ白な霧が立ちこめて、袈裟丸山は影も形も見えなかった。

霧に覆われた八重樺原

白い霧の壁の奥から、野太い山鳩の声が谷間に流れている。
テデッポッポウ、デデッポッポウと聞きなしを聞かされて育ち
私の山鳩の声と言えば、デデッポッポウである。
(聞きなしと言うより、鳴き真似に近いが)

風が無いから、霧も流れない。
まばらに木が生えているだけで、笹原に覆われたたおやかな尾根は
右は深い谷に落ちている。
左は、白樺やツツジなどが交わる雑木林の斜面で、奥は霧のベールに
包まれていた。
台風の影響だろうが、登山道には無数の小枝が散らかり、谷間からは
岩を噛む水の音が、どこまでも追いかけてきた。

登山口から長い階段を上り詰めて、荒くなった息を整えていると
尾根の向こうから、中年のご婦人が二人、なにやら楽しそうに降りてきた。

道の脇に寄って、「シャクナゲが咲いていましたか」と尋ねると
「良かったわよ、白八汐も咲いているし、もう最高、早く行き」と言う

私が「この天気ですからね」と言うと「天気なんて、もう最高よ」
「ご主人、早く行きんしゃい、行きんしゃい!」
二人でこもごもに薦める。後には笑い声だけが響いた。

もうこうなると現金なもので、足の痛さも忘れて先を急ぐ。
やがて左の林に、一面に咲き誇るシロヤシオの群生が目についた。
それからは、次から次へと白八汐の花か続き、「またまた白八汐」
などと思わず声が出た。

倒れても尚満開の花をつけた白八汐に圧倒される。



やがて八重樺原の奥のピークに達すると、東国三葉ツツジが混じり
霧に浮かぶ白八汐と薄赤紫の三葉ツツジがトンネルとなり
幻想的な登山道となっていた。



やがて右に「つつじ岩」とかかれた石柱が立つあたりになると
文字通りにツツジの花が入り乱れて咲いているのだった。



 


いくつか大岩を迂回して登ると、シャクナゲの群落となる。
遠くカッコーが鳴いて、ザックの鈴がチリリンと鳴った。







シャクナゲの枝をかき分けるようにして登ると、石の祠がある。

祠の先の平坦な尾根で、太い根っこを腰掛けにして食事にした。
何気なく足下を見ると、鹿の丸い糞が沢山転がっていた。
この辺も鹿の生息地なのかもしれない。
斜面を見下ろすと、ムシカリの白い花が霧と戯れてかすんでいた。
谷間の水音以外、何も聞こえず、一瞬時が止まったような静けさだった。
こんな時は、暖かいコーヒーが飲みたいと思った。
荷物を軽くするため、ポットもカップも車に置いて来たのを後悔した。





足下にはアカヤシオの花が無数に散らばって、今年がいかに当たり年
だったかを物語っている。



見晴岩のあたりには、まだ咲き残りの赤八汐が有った。
「ぐんま百名山」の上毛新聞社に、見晴岩の場所はどこなのかと
メールで問い合わせたら、親切にも著者の方から手書きのコース図で
場所を教えていただいた思い出の地である。


5月31日 下見で登った後袈裟丸山の郡界尾根コースのGPS軌跡図
赤のポイントは、ガイドブックなどに出ている地点、下から登山口、三等三角点、つつじ岩、
石の祠、見晴岩、後袈裟丸山山頂である

青い色は、私が勝手につけたポイント名、つつじなどの花が多い場所
登山口から山頂までの歩いた距離 片道4.387Km (トリップメーター読み)

「 この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)
数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)
数値地図50mメッシュ(標高) 及び数値地図10mメッシュ(火山標高) を使用した。
(承認番号 平22業使、第446号) 」


参考の為、登山口に建つ案内板からコース図のみトリミング

これに寄れば、登山口から石宮まで2.7Km
石宮から山頂まで1.7km 合計で4.4kmのコースなので、トリップメーターと
ほぼ一緒である


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NHKの朝イチで紹介された、個人で出来る支援物資紹介サイト
Toksy