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アイヌ民族との 学習交流会in国立

2006年10月20日 | 人権・多文化共生

アイヌ民族との学習交流会

 アイヌ民族は昨年の教科書採択問題の時に、扶桑社など3社の中学社会科教科書に旭川のアイヌ民族の写真が無断で掲載された事件で、謝罪と市販本の回収 をかちとるという、大きな成果を得ました。
 軍隊慰安婦の記述の削除、ジェンダーフリーバッシング、公害問題は載せない、そして、「日の丸・君が代」強制と教職員処分等々と、教科書・教育・学校 の内容がどんどん歴史に逆行していくなかで、このアイヌ民族の闘いは快挙でした。
 教育基本法も憲法も変え、世の中の価値観を逆転させようという力は、ますます激しくなっています。天皇制社会を忘れさせない「世継ぎ話」に明け暮れる マスコミも全く陳腐です。
 私たちは、子どもたちに何をどう伝えていけるのか?と考えてしまいます。
 格差社会といわれる差別社会が進行しています。
 この三多摩では、こどもたちの遠足によく使われる「昭和記念公園」に天皇記念館ができ、おまけに「愛子庭園」ができるそうです。
 こんな時だからこそ、学校では教えられない歴史や人々の存在を、私たち自身がしっかりと学び続け、語り続けることが大切なのだと思います。
 国家が、日常の暮らしに入り込み、管理し支配しつくそうとする今だからこそ、自分たちの文化を守り続け伝え続けてきたアイヌ民族の生き方や文化の伝承 に触れ、交流することは、私たちをも元気にし、長い歴史の中で闘い続け生き続けることの意味をともに考えていける気がします。

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 ほとんど宣伝の期間がありませんでしたが、20人が参加しました。
 最初に昭和天皇記念館廃館準備委員会の宗像充さんから、昨年秋、立川にオープンした昭和天皇記念館について報告がありました。関連工事含め78億円かけ て建設されましたが、1日の入館者数は160人程度で、赤字施設です。国営昭和記念公園じたいが昭和天皇在位60年を記念した公園ですが、記念館が完成し て初めて天皇制イデオロギッシュな空間として打ち出されてきています。
 記念館で振りまかれるのは、ありがちですが「緑と平和を愛した昭和天皇」というイメージ。さらに「ヒロヒト=昭和」イメージを出して昭和ノスタルジーに 便乗しています。予想以上に、「みどり」を打ち出すだけでなく政治的で、戦時中は軍部を悪者にして「天皇は平和を求めていた」、戦後は「国民とともにある 天皇」を強調という、よくある物語ですが、年表の1941年~1945年は空白になっています。また、建物自体が宗教施設っぽい空間になっており、建物の 外部まで天皇制を偲ぶ展示がされています。
 今後は12/10に反対集会を行います。来年の「昭和の日」は内閣府から各自治体にイベントをするように通知が来ているので、注目しています。また、国 立市内8小学校のうち6小学校は遠足に行っているので、天皇イデオロギーに染まらないように働きかけ、公園内に建設されるという愛子庭園についても注目し ています。
 その後、川村カ子トあいぬ記念館館長の川村シンリツ・エオリパック・アイヌさんからお話がありました。扶桑社教科書(中学校社会科公民)などに無断で写 真が掲載されていたことが発覚し、謝罪と市販本の回収をかちとりました。北海道の自治体で使っている副読本で「過去」の人々として紹介されていたりするな ど、いつも目を光らせてチェックしておかないと、どこで何されているかわからないということです。
 アイヌは関東から東北、北海道にかけて広く住んでいましたが、803年に東北アイヌ(エミシ)・アテルイが和人に虐殺され(虐殺した坂上田村麻呂がつ くった京都・清水寺に対して岩手県人会がアテルイの慰霊碑をつくらせています)、1669年にシャクシャインが謀殺されるなど、和人による侵略を受けまし た。アイヌはかつては大陸にも出かけて広く交易していましたが、松前藩はアイヌを土地に縛り付け搾取・強制労働に駆り立てたあげく、50万人いたというア イヌの9割は江戸時代は死滅しました。明治政府はアイヌ・モシリ(アイヌの土地)を全て帝国領土に併合し、アイヌ同化政策を進めました。北海道から千島に かけては、アイヌだけでなくウィルタニヴフ、朝鮮族やロシア人(ex.スタルヒン)もいましたが、明治期にそれぞれ強制移住させられました。「北方領土」も全てアイヌ語の地名であるように、日本の領土でなくアイヌの土地です。
 徹底した侵略・抑圧と同化政策のもとで、アイヌはモノも言えず、かつてはアイヌの家々には天皇の肖像を掲げていたといいます。アイヌは関東にも1万人い ますが、アイヌと名乗って暮らしていける人はわずかで、北海道でも関東でも「寝た子を起こすな」という雰囲気はまだ根強いそうです。それでも若い世代で は、こだわりなくアイヌ文化を継承しようという流れが生まれてきています。国立市内に住む俳優の宇梶剛士さんのお母さんもアイヌの活動家で、剛士さんを主役にアイヌの映画を撮ろうとの話があるとか。
 講演は2時間ばかり、その後の交流会でも、川村さんはとつとつとお話をされました。また、参加者の中に北海道出身の方(和人)が何人かいて、それぞれの個的経験を含めて話が盛り上がりました。

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