<転送・転載大歓迎>
17日に、北九州市生活保護行政検証委員会の初会合が開かれました。
それに先立ち、北橋健治市長は15日に記者会見を行い、
委員会に生活保護の専門家がいないとの批判を受けて、
熊本県立大学の石橋敏郎教授をアドバイザーとして迎えることを発表しました。
石橋教授は社会保障法の専門家で、生活保護法にも詳しい研究者です。
しかし、検証委員としてではなくアドバイザーとしての参加で、
餓死事件の検証には直接参加しないとのことです。
市は「審議内容を伝えた上で、総括の中でいろんな意見、助言をしてもらいたい」
(西日本新聞5月16日朝刊)としていますが、検証作業に参加させないことで、
市当局にとっての「被害」を最小限に食い止めようという思惑が感じられます。
17日の第1回委員会は、石橋教授も参加し、また大勢の市民の傍聴の下に行われま
した。
<評価すべき点>
1 地域住民、親族からの聞き取り調査の実施
市の文書のみで机上の検証を行うのではなく、民生委員、自治会役員などの
地域住民、 亡くなった男性の親族、門司福祉事務所の現場の職員を呼んで
聞き取り調査を行うとしたこと。
この加害、被害者両当事者から主張を聞くという検証の大原則は、
昨年の厚生労働省の検証では全く行われなかったことであり、
事件の真相解明に向けて高く評価できます。
2 審議を原則公開とすること
当初は、事例検証を行う回はプライバシーを理由に非公開とされていましたが、
市民から批判があがり、 プライバシーに配慮しつつ、
公開できる部分は公開して検証を行う方向となりました。
<問題点>
1 都合の悪い文書は提出しない保健福祉局
会議前半では、保健福祉局は相変わらず市の保護行政は適正であると主張しました。
しかし当局資料からは、テレビで何度も映し出された、
申請拒絶のノルマを記した「福祉事務所運営方針 数値目標」や、
7福祉事務所長が廃止の件数を競い合う「開始廃止差月報」、
極端に少ない「母子世帯受給者数」(稼働年齢層を徹底的に排除してきたため)
などの資料を提出していませんでした。
委員会に出されなければ、委員はそもそもそうした文書があることが分かりません。
2 「地域住民の見守り」問題へのすり替えの危険性
事務局の推薦で委員長に選ばれた稲垣忠委員(北九州市立大学大学院特任教授・
元朝日新聞論説委員)は、「地域住民や民生委員は何をしていたのか」
と発言し、地域住民の支えあいの重要性を長い時間をかけて主張しました。
稲垣委員長が高齢者福祉の専門家であり、末吉前市長の下で
市の介護保険の立ち上げにかかわってきた経緯もあることから、
学者としては自分の専門領域で力を発揮したいのは自然なことかもしれません。
しかし、事件を生活保護の問題ではなく地域福祉の問題と位置づけることは、
「闇の北九州方式」の解明を遠ざけることになります。
末吉前市長は一貫して「市の対応に何も問題はない。孤独死を防ぐために重要なのは
地域住民の協力体制だ」と主張していました。
また市が発表した検証委員会の趣旨では「生活保護行政の検証」よりも
「セーフティネットの在り方」を強調しています。
また、稲垣委員長は「生活保護の専門家がいない」との新聞報道に不満のようで、
「私は福祉の研究者なのだから当然生活保護の専門家でもある」
と述べていましたが、
生活保護・公的扶助は確固たる専門領域として確立されています。
言うまでもなく、介護保険の専門家だからといって生活保護に詳しいわけではありま
せん。
次回の委員会では、門司餓死事件の具体的な検証作業に入ります。
市の違法行為をきちんと確認させるように、さらに監視を強めていかなければなりま
せん。
【地域住民・専門家の声を聞き餓死事件の徹底検証を!
違法な生活保護行政の根本的転換を!】
北九州市長・北橋健治
https://www.city.kitakyushu.jp/page/form/form-e-6.html
〒803-8501 福岡県北九州市小倉北区城内1番1号
北九州市市長秘書室
電話:093-582-2127
FAX:093-562-0710
hisho@mail2.city.kitakyushu.jp
北九州市総務市民局市民部広聴課
電話:093-582-2525
FAX:093-582-3117
sou-kouchou@mail2.city.kitakyushu.jp
https://www.city.kitakyushu.jp/page/form/form-b-1.html
北九州市保健福祉局総務部総務課
電話:093-582-2403
FAX:093-582-2095
ho-soumu@city.kitakyushu.lg.jp
北九州市生活保護行政検証委員会(稲垣忠委員長)
稲垣忠(北九州市立大学大学院特任教授/医療・介護保険)
東山久子(特定非営利活動法人食と文化でつくる北九州力の会)
平田トシ子(九州女子短大教授/ジェンダー論・教育行政学)
冨安兆子(高齢社会をよくする北九州女性の会代表)
田中政治郎(福岡県弁護士会北九州部会長)
アドバイザー
石橋敏郎(熊本県立大学教授/社会保障法)
【検証作業の妨害は許さないぞ!】
厚生労働省社会・援護局長 中村秀一
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
電話:03-5253-1111(内線2801)
https://www-secure.mhlw.go.jp/getmail/getmail.html
厚生労働省社会・援護局総務課指導監査室生活保護監査係
電話:03-5253-1111(内線2880)
または03-3595-2618(直通)
FAX:03-3595-3180
seihokansa@mhlw.go.jp
厚生労働省社会・援護局保護課
電話:03-5253-1111(内線2820)
または03-3595-2613(直通)
FAX:03-3592-5934
seikatsuhogo@mhlw.go.jp
<「闇の北九州方式」や「水際作戦」についての主な文献>
竹下義樹・吉永純 編著『死にたくない! いま、生活保護が生きるとき』(青木書
店 2006年)
「北九州市で相次ぐ生活保護申請拒絶による餓死事件について」(『季刊公的扶助研
究』第203号 全国公的扶助研究会発行 萌文社発売)
湯浅誠「『生活困窮フリーター』たちの生活保護」(『世界』2006年12月号 岩波書
店)
猪原八郎「北九州市の『無法な』生活保護を支える公務員のモラルハザード」(『住
民と自治』2007年1月号 自治体研究社)
北園敏光「人権無視、法律違反が明らかになった北九州市生活保護問題全国調査」
(『隔月刊 資料と解説 社会保障』2007年新春号 中央社会保障推進協議会発行
あけび書房発売)
「北九州市生活保護調査が実施される」(『季刊公的扶助研究』第204号)
『週刊東洋経済』(東洋経済新報社)2006年7月1日号、2007年2月24日号
小久保哲郎「“無法地帯”生活保護行政~『水際作戦』撲滅作戦」(『地方自治職員
研修』2007年3月号 公職研)
尾藤廣喜・松崎喜良・吉永純『改訂新版 これが生活保護だ 福祉最前線からの検
証』(高菅出版 2007年)
塚田俊一「無法な生活保護行政が命を奪う-『闇の北九州方式』との全国的闘いを!
-」(『飛礫』2007春号 つぶて書房発行 れんが書房新社発売)
『賃金と社会保障』(旬報社)2007年3月上旬号(1437号)
湯浅誠「ダンピングされる“生”=貧困化 『21世紀のモデル都市』北九州市が投げ
かける問い」(『論座』2007年5月号 朝日新聞社)
*北九州市生活保護問題全国調査団報告書(1000円+郵送実費)
の購入申し込みは
北九州市社会保障推進協議会
〒804-0012 福岡県北九州市戸畑区中原東3-11-1
電話093-871-1621 FAX093-871-1622
cqw22001@nifty.com
まで
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北九州市:生活保護検証委が初会合 「当事者の話聞きたい」の声も /福岡
2007.05.18 毎日新聞地方版/福岡 21頁 (全485字)
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福岡県/北九州市 生活保護の第三者委発足 6月から孤独死など検証/北九州
2007.05.18 西日本新聞朝刊 24頁 (全643字)
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2007年5月19日(土)「しんぶん赤旗」
生活保護行政の改善を
北九州市餓死事件 1年で集会
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福岡県/門司区の孤独死から1年 改善評価も、なお問題点 市民目線で保護
行政検証 小倉北区で集会/北九州
2007.05.20 西日本新聞朝刊 32頁 (全571字)
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生活保護行政:北九州市の市民団体、改善求め集会--あす電話相談開設も
/福岡
2007.05.22 毎日新聞地方版/福岡 23頁 (全308字)
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生活保護110番:61件の相談 /福岡
2007.05.24 毎日新聞地方版/福岡 21頁 (全272字)
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