歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

田んぼに氷が張っていました

2008-12-27 19:12:12 | Weblog
 毎週土曜日の谷戸での農作業も今日が仕事納め。息子と一緒に堆肥用に落ち葉を集める作業をしました。
 日当たりが悪い上に山に囲まれているために、ここはかなり冷え込みます。田んぼにはうっすらと氷が張っていました。

竹中平蔵元大臣の言う「世界のものづくり100社」って何?

2008-12-27 09:55:24 | Weblog
 12月9日の朝日新聞に「1500兆円が日本の未来を明るくする」と題した金融に関する広告特集が出ていました。金融の有識者として、元経済政策担当大臣で慶応義塾大学教授の竹中平蔵氏、作家の村上龍氏のインタビュー記事が掲載されていたのですが、竹中氏の以下の言葉が気になりました。

(以下引用)
 私たちの所得には、労働所得と資産所得の2種類があります。みんな生活が大変だ、右肩上がりではなくなったと言いますけれど、これは経済のグローバル化の中で、労働所得が増えなくなったということです。労働所得が上がらない時代には、資産所得を上げていく普通の努力をしていくべきだと私は思います。
(中略)
 こういった話をすると、よく出てくるのは「日本はものづくりの国だ」という反論です。だからマネーゲームのような行動に走るべきではないというわけです。これは単純すぎる話だと私は思いますね。そもそも本当に日本は、ものづくりの国でしょうか。日本人がものづくりから得る所得は、GDPの26%に過ぎません。
 もうひとつ興味深いデータがあります。S&P(スタンダード&プアーズ)とシティグループが発表している企業価値から見た「世界のものづくり100社」という統計によると、その中で日本企業はわずか8社です。アメリカは44社、イギリスも12社入っています。このメッセージはすごく重要です。金融の強い国がものづくりも強い。考えてみれば当然ですよね。強い経営、健全な経営をやろうと思えば、資金調達もしなくてはいけないし、M&Aも必要かもしれない。ものづくりと金融はコインの表と裏なんです。
(引用終わり)


 それでも私は日本はものづくりの国だと思うんですがね。

 金融の強い国がものづくりも強い、という主張の根拠として竹中氏は「世界のものづくり100社」なる統計を引き合いに出していますが、これはどんな統計なのでしょうか。私としては気になり、S&P社のホームページを探してみたのですがそれらしい統計は見つかりません。しかし、S&P社が以下のような金融商品を開発、販売していることがわかりました。

(以下引用)
iシェアーズ S&P グローバル100 インデックス・ファンド(IOO)

ファンドについて
iシェアーズ S&P グローバル100 インデックス・ファンドは、スタンダード・アンド・プアーズ・グローバル100インデックス(以下、「当インデックス」)によって代表される世界の大型株の価格および利回り実績と同等水準の投資成果(報酬および経費控除前)を目指しています。当インデックスはスタンダード・アンド・プアーズ・グローバル1200インデックスのサブセット指数です。

インデックスについて
当インデックスは、全世界の市場において重要な位置を占めている、調整後時価総額50億ドル以上の多国籍企業100社のパフォーマンスを測定するように設計された指標です。多国籍企業とは、その生産施設あるいは固定資産を少なくとも1つの外国においている企業のことを指します。母国以外での売上の割合も、その企業の国際性の判定要因になります。米国以外の企業についてはすべて、浮動株調整がなされ、また絶えず入れ替えが行なわれています。
(引用終わり)

出所:http://www.ishares.co.jp/product/stocks/ioo.html

 この100社というものはS&P社が重要と判断した、株の利回りの高い大規模な多国籍企業100社であって、竹中氏が言う「世界のものづくり100社」とは違うようです。しかし、一応S&P社の Global 100 Indexなるものを調べてみると、100社の国別内訳の数が竹中氏のお話と似通っています(http://www2.standardandpoors.com/spf/pdf/index/SP_Global_100_Factsheet.pdf)。もしかしたら彼は、意識的か無意識的にかどうかはわかりませんが、このGlobal 100 Indexにて運用対象として選ばれている100社のことを述べているのではないかと想像してしまいます。

 さてGlobal 100 Indexの対象となっている具体的な100社の社名リストはS&P社の資料には記載がないのですが、Wikipedia(http://en.wikipedia.org/wiki/S&P_Global_100)によると日本企業で選ばれているのはBridgestone Corp.、Canon Inc.、Fuji Photo Film Co.、Hitachi、Honda Motor Corp.、Matsushita Electric Industrial、Nissan Motor Co.、Sony Corp.、Toshiba Corp.、Toyota Motor Corporationの10社です。すべてメーカーです。
 ではアメリカのメーカーはどうでしょう。3M Company、Alcan Inc.、Coca Cola Co.、Dell Inc.、Dow Chemical、Du Pont (E.I.)、Ford Motor、General Electric、General Motors、Hewlett-Packard、Intel Corp.、International Business Machines(IBM、今はものづくりしてましたっけ?)、Johnson & Johnson、Lucent Technologies、Nike, Inc.、PepsiCo Inc.、Pfizer, Inc.、Procter & Gamble、といったところです。半数以上のアメリカ企業は、エネルギーのChevron Corp.、Exxon Mobil Corp、金融のCitigroup Inc.、JPMorgan Chase & Co.、Morgan Stanley、ソフトの Microsoft Corp、サービスの McDonald's Corp、Wal-Mart Storesなどで占められています。

 確かにS&P社のGlobal 100 Indexで選ばれているアメリカのメーカーの数は日本よりも多いのですが、日本がアメリカに大きく差を付けられているほどではありません。そもそも竹中氏が主張する「世界のものづくり100社」とはどのような統計なのか、できればその現物を示していただきたいところです。