歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

開高健「ベトナム戦記」(朝日文庫)

2008-12-10 23:39:32 | 読書
 ベトナム出張を控えているのでなんとなく開高健「ベトナム戦記」(朝日文庫)を再読しました。1964年に当時の南ベトナムを訪れ約100日あまりを現地で過ごし、アメリカ軍と南ベトナム政府軍の軍事行動にも同行した開高健のルポなのですが、ベトナム戦争のその後の行方をまるで知っているかのような彼の深い洞察力に驚かされます。
 私はベトナム戦争をリアルタイムでは知りません。古代や中世で時間を費やしてしまうので学校の歴史の授業でも学びませんでした。しかし、現在平和と豊かさを享受しているアジアにおいて、かつて絶望的な貧困と搾取、混乱、暴力、そして死が覆い尽くしていた地域があったということ、そして、そのような状況にも関わらずそこではいじらしいまでに人間的な営みが行われていたということは、知っておくべきであるように思います。