クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

ラーメンを忘れられなくする要素は? ―ラーメン部(10)―

2010年12月27日 | グルメ部屋
「ラーメン部」と言っても番外編である。
かつてラーメン屋だったという場所だ。

その町で一番おいしいラーメン屋だと聞いたのは中学一年のとき。
同級生から聞かされ、実際に行ったのだが、
「一番」だったかどうかは意見が分かれるところである。

十代の学生には優しい値段だったせいもあって、
ちょくちょく通っていた。
最後に行ったのは1995年の冬。
まだ土曜日に学校の授業があった頃で、
期末テスト前の放課後に食べに行ったのを最後に、
プッツリと足が途絶えた。

その日一緒にいた人と、
数日後に関係をこじらせてしまったせいもあるかもしれない。
店はいつの間にか閉店し、
土曜の放課後以来二度と味わえなくなってしまった。

店舗だけは残り、その後ラーメン屋とは全然別の店がいくつかオープンした。
しかし、いずれも長くは続かず、
気が付けば最後にそこでラーメンを食べた日から、
十年以上の歳月が流れていた。

ところが、そこを会場にした飲み会が急遽開かれた。
ひょんなきっかけで、
15年ぶりにその玄関を入る。

そこはラーメン屋ではない。
内装も違う。
しかし、店の作りそのものは15年前と変わっていなかった。

こぢんまりとした店内に、小さなカウンター席。
その向こうの厨房も、記憶の光景と変わらない。
カウンターに座ってラーメンを注文すれば、
あの頃と同じ丼が出てきそうな気がした。

「ラーメン屋」と言っても、味だけではない。
店の作りや雰囲気、厨房に立つマスターなど、
それぞれに個性がある。
そうした丼の中身以外の要素が、
ラーメンの味を作り出しているのだろう。

記憶に残っている店はラーメンだけではないと思う。
そのとき、どういう雰囲気に包まれていただろうか。
記憶の中のあなたは、
そのときどんな状況や時代の中にいて、
胸の内に何を想い抱いていただろうか……?

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