「ラーメン部」と言っても番外編である。
かつてラーメン屋だったという場所だ。
その町で一番おいしいラーメン屋だと聞いたのは中学一年のとき。
同級生から聞かされ、実際に行ったのだが、
「一番」だったかどうかは意見が分かれるところである。
十代の学生には優しい値段だったせいもあって、
ちょくちょく通っていた。
最後に行ったのは1995年の冬。
まだ土曜日に学校の授業があった頃で、
期末テスト前の放課後に食べに行ったのを最後に、
プッツリと足が途絶えた。
その日一緒にいた人と、
数日後に関係をこじらせてしまったせいもあるかもしれない。
店はいつの間にか閉店し、
土曜の放課後以来二度と味わえなくなってしまった。
店舗だけは残り、その後ラーメン屋とは全然別の店がいくつかオープンした。
しかし、いずれも長くは続かず、
気が付けば最後にそこでラーメンを食べた日から、
十年以上の歳月が流れていた。
ところが、そこを会場にした飲み会が急遽開かれた。
ひょんなきっかけで、
15年ぶりにその玄関を入る。
そこはラーメン屋ではない。
内装も違う。
しかし、店の作りそのものは15年前と変わっていなかった。
こぢんまりとした店内に、小さなカウンター席。
その向こうの厨房も、記憶の光景と変わらない。
カウンターに座ってラーメンを注文すれば、
あの頃と同じ丼が出てきそうな気がした。
「ラーメン屋」と言っても、味だけではない。
店の作りや雰囲気、厨房に立つマスターなど、
それぞれに個性がある。
そうした丼の中身以外の要素が、
ラーメンの味を作り出しているのだろう。
記憶に残っている店はラーメンだけではないと思う。
そのとき、どういう雰囲気に包まれていただろうか。
記憶の中のあなたは、
そのときどんな状況や時代の中にいて、
胸の内に何を想い抱いていただろうか……?
かつてラーメン屋だったという場所だ。
その町で一番おいしいラーメン屋だと聞いたのは中学一年のとき。
同級生から聞かされ、実際に行ったのだが、
「一番」だったかどうかは意見が分かれるところである。
十代の学生には優しい値段だったせいもあって、
ちょくちょく通っていた。
最後に行ったのは1995年の冬。
まだ土曜日に学校の授業があった頃で、
期末テスト前の放課後に食べに行ったのを最後に、
プッツリと足が途絶えた。
その日一緒にいた人と、
数日後に関係をこじらせてしまったせいもあるかもしれない。
店はいつの間にか閉店し、
土曜の放課後以来二度と味わえなくなってしまった。
店舗だけは残り、その後ラーメン屋とは全然別の店がいくつかオープンした。
しかし、いずれも長くは続かず、
気が付けば最後にそこでラーメンを食べた日から、
十年以上の歳月が流れていた。
ところが、そこを会場にした飲み会が急遽開かれた。
ひょんなきっかけで、
15年ぶりにその玄関を入る。
そこはラーメン屋ではない。
内装も違う。
しかし、店の作りそのものは15年前と変わっていなかった。
こぢんまりとした店内に、小さなカウンター席。
その向こうの厨房も、記憶の光景と変わらない。
カウンターに座ってラーメンを注文すれば、
あの頃と同じ丼が出てきそうな気がした。
「ラーメン屋」と言っても、味だけではない。
店の作りや雰囲気、厨房に立つマスターなど、
それぞれに個性がある。
そうした丼の中身以外の要素が、
ラーメンの味を作り出しているのだろう。
記憶に残っている店はラーメンだけではないと思う。
そのとき、どういう雰囲気に包まれていただろうか。
記憶の中のあなたは、
そのときどんな状況や時代の中にいて、
胸の内に何を想い抱いていただろうか……?
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