クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

クニのウラ部屋雑記(30) ―秋―

2008年09月22日 | ウラ部屋
秋は箸が転がっても傷つきやすい季節(とぼくは思う)。
不安定な気候のせいなのか、
あるいは乾いた秋の風のせいなのか、
どこからともなく寂しさと不安を運んでくる。
冬の季節を前にして、
生の絶対的孤独がそう感じさせるのだろうか。

2008年9月20日、埼玉県加須市で映画「靖国YASUKUNI」を観た。
テレビでもしばしば取り上げられていたように、
話題のドキュメンタリー映画である。
県内では深谷に続いて、2番目の上映だったらしい。
映画の内容についてはここで触れない。
ただ、人々の関心の強い映画であることは確かで、
会場の席はほぼ満席だった。

翌日、同県さいたま市で街頭演説を偶然目にした。
演説者は総裁選挙立候補者たちである。
演説は大宮駅西口の「SOGO」の前で行われ、
多くの人だかりができていた。

その後、池袋のメトロポリタンホテルから夜景を眺めた。
灯火のひとつひとつが“生”の光りのように見える。
喜びとか哀しみとか、
人はいま何を感じ、何を考え、何に悩み、何を背負って生きているのだろう。

  それはまるで、目まぐるしく繰り返される生き死にの悲しみが、
  咽喉もとまで こみあげているように見えるのだ。
  淋しい 光りの粒々だったね。
  私が友人の方を振り向いて〈卵〉というと
  彼も肯いて答えた。〈せつなげだね〉
  (吉野弘「I was borm」より)

数え切れない秋が通り過ぎていく。
どんなに時代が移り変わっても、
秋の心の痛みはきっと変わらない……


東京


同上

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