クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

暮れに読む芥川龍之介と偲ぶ故人は?

2020年12月31日 | ウラ部屋
2020年は新型コロナウィルスによってイレギュラーなことが多々あった1年でした。
後年、この年は「歴史」として叙述されるのでしょう。
未来の教科書にも載るかもしれません。

緊急事態宣言をはじめ、お店の時間短縮営業や必ず行う手指消毒など、経験したことのない出来事がありました。
そんな中、少しずつ進めてきたのは戦国期における羽生城をテーマとする原稿です。
草稿は書き終わり、現在は推敲を重ねています。
時間はかかるだろうと思っていましたが、案の定です。
参考にする資料が多く、この1年で蔵書も増え、
家人には苦い顔をされています。

これまで自明のこととして捉えてきたものに改めて疑問が生じ、
考察のやり直しを余儀なくされています。
それと同時に原稿を大幅に書き直さなければならず、
遅々として進みません。

なお、年を重ねてきたからでしょうか。
職場から帰ってきて原稿に向かうとき、体力の低下を感じます。
ずっと前は日ごと午前2時まで机に向かっても平気だったのですが、
いまはそういうわけにはいきません。
翌日の職務に支障をきたします。

本を開くのは楽しみの一つのため事欠くことはありませんが、
執筆に関しては日が空いてしまうことがあります。
なるべく日を置かないように、
長時間いられるお店のテーブルを使おうにも、コロナ禍ではそういうわけにもいきません。

行動を起こす負担より、行動を起こさない方が辛いものです。
立ち向かう恐さより、逃げることの痛みは体を蝕みます。
なるべくペースを崩さないよう原稿に取り組んできましたが、
やはり時間はかかります。
そのため、ブログに手を回す機会も減りました。
例え完成してもそのときコロナはどうなっているでしょう。
未知数です。

ところで、芥川龍之介の小説「年末の一日」を何気なく読んだら、
冨田勝治先生の顔がふと思い浮かびました。
先生は埼玉県羽生市の正覚院に眠っています。
亡くなって10年以上が経ちましたが、
先生の論文や携わった編集物を目にするたび、その凄まじさを実感します。
初めて出会ったとき、先生は95歳で僕は25歳。
あの頃読み取れなかった先生の凄さが、
年を重ねて見えてきたのかもしれません。

疑問にぶつかるたび、先生ならどんな答えを出すだろうと思います。
僕は先生の説の全てを支持しているわけではありません。
しかしながら、長い歳月をかけて積み重ねて形にしたその成果はまぎれもなく本物です。
先生の生きざまは、後進の者たちに影響を与え続けていくはずです。

年末に故人を想う。
なぜ、『戦国遺文』ではなく芥川龍之介に手が伸びたのでしょう。
無意識のところで何かが呼びかけているのかもしれません。
もし、いま取り組んでいる原稿が形になったら、先生は何と言うだろうと思います。
僕の知る限り、先生は温和で物腰の柔らかい方でした。
しかし、僕の考察や捉え方には厳しいお顔をされるかもしれません。

2020年、皆さまはどんな1年だったでしょうか。
コロナ禍によって気持ちが下がりがちですが、
どんなときでも前向きに生きていきたいですね。
2020年もお世話になりました。
来年もよろしくお願いします。
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