ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

無効確認訴訟

2012年01月02日 22時24分59秒 | 行政法
無効確認訴訟でなるほど、という判決があったので、一部引用して記載します。


もんじゅ訴訟
名古屋高金沢支判平成15年1月27日

要旨
無効確認訴訟は、その行政処分の瑕疵が重大かつ明白な場合に限り認められるが、明白要件は、特段の事情のある限り不要となる。
なぜなら後の技術的発展によってその過誤が明白になったとしても、重大かつ明白性の要件は処分成立の当初から誤認であることが外形上、客観的に明白でなければならないが、この要件では提訴を断念せざるを得ず、住民らの生命が保護できないからである。

内容
「最高裁の判例は、違法な行政処分を無効とするには、原則としてその違法が重大かつ明白なことを要するが、特段の事情のあるときは、必ずしも明白性の要件は必要としないとしているものと解され」る。

「原子炉が」「潜在的危険性を有するものであることからすると、設置許可の段階における安全審査において、その調査審議及び判断の過程に重大な過誤、欠落があるとすれば、当該原子炉は、付近住民にとって重大な脅威とならざるを得ない。」

「かかる何事にも代え難い権利、利益の侵害の危険性を前にすれば、原子炉設置許可処分の法的安定性並びに同処分に対する当事者及び第三者の信頼保護の要請などは、同処分の判断の基礎となる安全審査に重大な瑕疵ある限り、比較の対象にもならない、取るに足りないものというべきである。」
「以上のことからすれば、原子炉設置許可処分については、原子炉の潜在的危険性の重大さの故に特段の事情があるものとして、その無効要件は、違法(瑕疵)の重大性をもって足り、明白性の要件は不要と解するのが相当である。」

「最高裁判決は、」「原子炉設置許可処分取消訴訟における原子炉施設の安全性に関する行政庁の判断の適否に対する裁判所の審理、判断は、現在の科学技術水準に照らして行うべき旨を判示している。」

「これによると、処分当時の知見による安全審査に問題がなくとも、その後の科学技術の進展によって新しい知見が得られ、この新知見によって判断すれば、処分の前提となる安全審査に看過し難い過誤、欠落のあることが判明した場合には、当該処分は違法と判断されることとなる。」

「住民が」「出訴期間経過後に」「処分の効力を争う訴えを提起しようとすれば、無効確認訴訟を提起する外ないが、かかる場合に、違法事由に『重大かつ明白』の要件を要求することは極めて不当なことといわなければならない。」

「最高裁」「判決は、『瑕疵が明白というのは、処分成立の当初から誤認であることが外形上、客観的に明白であることを指すものと解すべきである。』と判示しているのであるから、処分後の新知見に基づく処分の無効確認につき、違法(瑕疵)の明白性を求めることは、事実上、提訴の断念を強いるに等しいことであるからである。」



ものすごく実質に沿った判決だと思います。

しかしながら、本無効確認判決は、最高裁判決平成17年5月30日により破棄され原告の請求が棄却された。

正月は勉強のチャンス

2012年01月02日 16時30分30秒 | 憲法
年末年始は勉強するチャンスですので、正月もずーっとやっていますが、座っているのでお尻は痛くなるし、腰も痛くなるし、目も痛くなります。

体には長時間勉強することはかなり負担が掛かるんだなぁとしみじみ思いました。


今年は帰省も仕事もせず、引きこもり中です。


さて、原則、例外を書くときの注意点を自戒のためにも記述しておきます。


原則こうなるというのは、原則論から考えて記述すべきであって、問題文から記載されていない事情を勝手に付け加えて原則こうなるというのはよくありません。


問題文にキチンとあがっている場合は、原則を書きます。

例外を書くときは、不都合性を書きます。

その後、ここが重要なのですが、例外を認めるときには、例外を認める必要性と例外を認めても仕方がないという許容性を書かないといけません。

許容性をよく忘れます。

必要性だけならば、不都合性があるのですから当たり前ですが、許容性を書かないと、「法にないよ、無理じゃない?」と突っ込みが入るでしょう。

許容性は、
形式的な話と実質的な話を書くのがいいと思います。


形式的とは、条文には限定していない、条文は○○という意味も含む、とか。
実質的とは、これを認めても、○○条に反するわけではない、今回これを認めることは限定的であるし、相手方の侵害の程度が著しく大きいから、とか。

平田被疑者出頭

2012年01月02日 15時17分29秒 | 刑訴法
平田被疑者出頭の意味について検討してみます。


刑訴法475条2項但書の
「但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であった者に対する判決が確定するまでの期間は、その期間に算入しない。」
というのがあります。


この共同被告人に平田被疑者が当たるから、確定するまでは教祖たる松本被告人が死刑執行が延長されるという話を聞きました。


条文を読んでみて、本当にそうなんでしょうかね?


正確に記述するため、国語辞典の引用をすると、
「被告人を異にする二つ以上の刑事事件が併合審理されるときの数人の被告人をいう。」
という意味です。

すなわち、併合審理していなければ、共同被告人足り得ないことになります。


平田被疑者はまだ公訴されていませんから、被告人でもありません。

もしいうなら、共同正犯者でしかないと思います。


というわけで、別の意味があったのではないかと思います。

死刑に当たる罪を犯した者への時効が撤廃されたので、逃亡生活に区切りを付けたかったとか。

#これは憲法39条前段との関係で問題となるが、手続的変更であることから、遡及効は認められると考えます。



この条文で2項本文のことを初めて知りました。

刑訴法475条1項
「死刑の執行は、法務大臣の命令による。」
2項本文は、
「前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。」
とありました。

ただし、この2項は、
「法的拘束力のない訓示規定であり、法務大臣が6箇月以内に死刑執行の命令をしなかったとしても違法の問題は生じない」(東京地裁判決平成10年3月20日)
っていうのもありました。

違憲審査基準

2012年01月02日 12時46分02秒 | 憲法
違憲審査基準の決め方


方法論は複数あるが、下記のような考え方で行うと、説得力が増すのではないだろうか。


例えば、
原告:表現の自由(もっと具体的に記述)→重要だから厳格に判断
しかし、
被告:それによってプライバシー権が侵害されている→もっと緩やかに判断
しかし、
原告:プライバシー権が侵害されているが、本件はそれほど大きな侵害とはいえない→やはり厳格に判断

という感じに揺り戻す。



しかし、新司の問題では、原告の主張が設問1であったりするから、揺り戻すのは、設問2で書くのだろうかなぁ。


憲法は難しいが、ある程度のパターンを確立しておくのは必要だと思います。