きょう敗戦から76年目。
テレビを点けて、全国戦没者追悼式の中継を観る。
正午の時報を合図に黙とう。
天皇のお言葉を聞きながら、
ふと、高村光太郎の詩『終戦』が思い浮かんだ。
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あのラジオできいた。
私は端座してふるえていた。
日本はついに赤裸となり、人心は落ちて底をついた。
占領軍に飢餓を救われ、わづかに亡滅を免れている。
その時天皇は自ら進んで、われ現人神に非ずと説かれた。
日を重ねるに従って、私の眼から梁がとれ、
いつの間にか六十年の重荷は消えた。
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あの日、私は国民学校の二年生。
ラジオは聴いていない。
空は快晴で、終戦を知らせるビラのようなものが舞っていた記憶がある。