ブログ 古代からの暗号

「万葉集」秋の七草に隠された日本のルーツを辿る

謎解き 山柿の木 樺桜

2009-09-08 08:21:59 | 日本文化・文学・歴史
古今伝授には<三木三草三鳥>説もあるので<山柿の木>と<樺桜>も推理してみ
たい。
今までの暗号の解き方にならって<山柿の木>は<山書きの記>か<山書きの紀>
ではないかと考えた。古今伝授の三木三鳥の謎解きが山上憶良の『万葉集』・『日
本書記』・『古事記』などに係わっていることを暗示しようとしたのではあるまい
か?そしてこれを解く別の仕掛けが用意されていたらしい。

 私が村上通典著『いろは歌の暗号』(文芸春秋・1994年)に出合ったのは短歌誌
に「古代よりの暗号」と題して秋の七草の暗号解読を始めたころである。
全く違う手法の謎解きながら、村上氏は字母歌「いろは」「あめつち」「たゐに」
の中に「山上憶良」の名前が規則性をもって配列されていることを発見した。
また、「あめつち」から<名を伏せよ>を「たゐに」から<謎解く裏得ぬ>を読み
解き、憶良の辞世歌から<倭王の名>を秘しているのでは?と推量している。
(インターネットで「いろは歌の暗号」を検索するとトップにあり、本の全文が見
られます)私はこの本を読んで<秋の七草は暗号である>と確信した。

(「古今伝授」の謎解きの次は「伏見稲荷神符」の謎解きをしますが、そのあと字
母歌の解読をのせます。<秋の七草>から始まった暗号のコードがここまで繋がっ
ていることに感動すると思います。)


 <樺桜>は一説に<うはみずざくら>。
樺の語源は金田一京助説によれば、
 「ウダイカンバやオオヤマザクラの樹皮を意味するアイヌ語karimpaがカニハ→
  カバに転じた」という。
古来、桜の木は木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)の霊木とされ、父は
天孫の大山祇神(おおやまつみのかみ)、夫は日向へ降臨した皇孫ににぎの尊、子
は「海幸山幸神話」の三貴子の彦火火出見尊(火遠理命)、火酢芹命、火照命であ
る。父親に「一夜で有妊(はら)みぬ」と吾が子の誕生を疑われた姫が、怒って
室に火を放ち身の潔白を占う。その時に用いたのが<ウワミズザクラ>だったと史
書は記す。

私が物名風に解けば<蟹は桜>ではないか?蟹は<解の虫>つまり<蝦夷>。
しかし蝦夷(えみし)とは何か?その実体は解明されていないらしい。
古代の中国北方民族を称して<鬼方>と言ったが、その古代音kuei/kuaiを漢字
表記したようにも思われるが、夷・荻・毛人・蝦夷・俘囚・田夷・山夷など多彩な
表記が見られるので、多様な民族の可能性もある。
縄文時代以来の列島住民らしいアイヌ民族がどれにあたるのかはわからないが、桜
は日本人の母なる木と位置づけられている。そして、その父が<大山祇神>である
事が面白い。前章「あきつ島」で推量した西域の<野馬山の最高峰・伊克烏勒(蒙
古語意・大山)>に繋がったのだ。

古代には現代に生きる私たちから見れば奇異な風習があった。『万葉集』にも詠ま
れている<歌垣>という行事で、春秋に青年男女が集まり、互いに歌を掛けあい
舞踊をし、その日はフリーセックスだという。
当時の日本列島に様々な民族が住んでいたとしたら、歌垣は新しい日本人を作る最
良の方法だったかも知れない。

地球上では今も民族の紛争が絶えないが、私たちの先祖は「和をもって貴し」とす
る賢明な選択をし、知恵を集めてその民族名を<伏せる>ことと<暗号で伝える>
ことを同時にやってのけたのではないかと思われる。
なぜなら『古今集』仮名序の結びは暗号の解かれる日を想定しつつ書いたのではな
いかと思われるほど、胸にせまってくる。

「青柳の糸絶えず、松の葉の散り失せずして、真さきの葛(かずら)長く伝はり
 鳥の跡久しく留まれらば、歌の様をも知り、言の心を得たらん人は、大空の月
 を見るが如くに古(いにしへ)を仰ぎて、今を恋ひざらめかも」






コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 謎解き 下がり苔 | トップ | 暗号解読 一覧表 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日本文化・文学・歴史」カテゴリの最新記事