ブログ 古代からの暗号

「万葉集」秋の七草に隠された日本のルーツを辿る

伏見稲荷神符11 鍵の発見1

2009-09-22 04:41:13 | 日本文化・文学・歴史
伏見稲荷神符の絵解きをするにあたって私は絵柄を正しく認識したいと思い、二冊
の家紋の事典で確認作業を始めた。面白いことに伏見稲荷神符の絵柄のいくつかは
家紋の文様とそっくりに描かれていることがわかった。

日本の紋章の成立年代ははっきりとはわからないが、平安時代中期ごろから公家が
自家の標識として家紋を用いるようになったと考えられている。一方神社の神紋が
いつ頃から用いられてきたかはわからないが、神社が氏族の系譜の祖神を祀る所で
あったとしたら、神紋は神社成立の頃までさかのぼる可能性があろう。



まず、御魂のごとく五ヵ所に重ねられているのは、玉、宝珠紋。火焔の燃え上がっ
ている珠は、火焔玉、火焔宝珠という。宝珠は金銀財宝など望む物を思うままに出
すことが出来るといわれる。密教では如意宝珠といわれる法具。



次は俵紋。俵は米を包むので昔から大切なものとされた。三俵紋(みつだわらもん
)と稲荷神符の絵柄は同じ。
俵に乗っている蛇の紋はさすがにない。

蛇がくわえている枝は稲荷神符の杉と考えられているが、杉紋は直立した一本杉か
ら五本杉まである。三本杉は奈良県桜井市の大神神社(おおみわじんじゃ)の神紋
で三輪氏の紋。

もう一方の蛇がくわえている鍵の紋もある。土蔵などにつけた落とし錠を外すのに
用いる鍵を象っている。
しかし、上の「への字形」の二本も鍵としていいのだろうか?
鍵紋には他に「占」字形や稲妻形に曲げたデザインはあるがへの字形はない。
鍵は<何々を解く鍵>や<キーワード>など重要なものを解明する際に用いられる
言葉でもある。そこで上段のへの字形を探すことにした。

この形に似たものの一つは曲尺(かねじゃく)紋。建築や指物に大工が使う物差で
大工尺ともいう。金属でできているから金尺、直角に曲がっているから曲尺と書く

もう一つは鎌紋。鎌には農具に用いる鎌と、武器の意の二様の意味がある。
稲荷神符と比べてみると、曲尺の角度は直角である。稲荷神符の方は鋭角であり曲
尺の方は失格。
一方の鎌紋のデザインの中に、への字形に交差した二本の鎌である<違い鎌紋>を
発見した。しかも、この紋は信州の諏訪神社の神紋(秘紋)であった。

最後は白と黒の狐。狐は稲荷の神使と言われているので問題はないと思ったが、騙
し絵という手法もあることだし、念には念を入れてほぼ対称形に描かれている狐に
見入った。そのうちに果たして黒い狐なんているのだろうか?と疑問がわいてきた
 目の錯覚か迷いながらも、白と黒の狐に違いがあるようにも思えてきた。
白に比べれば黒はスリムに見えるしと思いながら、手足を見比べると、今度ははっ
きり違いが見えてきた。

我が家の百科事典で狐を調べると白は確かに狐の手足であった。ではこの黒い手足
の持ち主は誰でしょう?そう、この手足は狐ではなく鼠のもの。目の錯覚で誰もが
白、黒の狐と思わされてきたが、じつは白狐と鼠だったのだ。

我々を数百年かそれ以上の年月騙し続けた手腕の持ち主は、いったいどこの誰なの
かと感嘆しつつ絵柄の確定を終えたのだった。



















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