昨日、ひきこもりに関して、興味深い記事を読んだ。
ある大学の先生が書いたものだが、社会性が低いために在学中は周囲から孤立し、就職活動や社会に出てからの生活につまずくタイプの若い人を、その先生は「準ひきこもり」と名づけたのだという。
先生によれば、そういうタイプの人が近年とても目立つようになっているそうだ。
この準ひきこもりは、純然としたひきこもりの人とは異なりとりあえずは外へ出て行く。
ただ、他者との心の交流が殆どないのだという。
長い間、自分だけの世界に浸ってきたため、周囲を上手にコミュニケーションをとることができにくくなっている。
ただ、家族間や人間関係が狭い学生生活のあいだは、目立った問題が出にくいことから、とかく見過ごされがちになるのだという。
特徴としては、やはり人間関係を築くことが不得意なことから恋人はもちろん友人も殆どいない。クラブ活動はもちろんのこと、アルバイトなども経験していないというケースが殆どだ。
その理由として、過去に他者と関わったことで嫌な思いをしたことが多かったせいで、初めからひとと関わることを避ける傾向がある。そして、もし何かあったときは、問題やトラブルを解決するのではなく、その場からいなくなることで苦痛から逃れることを選択するのだという。
記事では、そうした傾向のあった某男性が引き起こした事件を取り上げていたが、ここではそこには触れずに話を進めていきたい。
さて準ひきこもりの人が最初にぶつかる難関が就職活動だ。
やはり面接でコミュニケーション能力や社会での経験不足(例えばアルバイトを経験していないなど)を見抜かれて上手く就職できないことが多いという。
そういうタイプの人が少ない、稀少な時代はたいして問題はないかもしれない。しかし、近年とても目立つようになっているとなるとそうはいかない。
家庭や学校において早くから社会性や社交性を高める取り組みが求められるのは必至だろう。
準ひきこもりの人は、自分から挨拶をしたり、ひとに話かけたりするのが苦手。話しかけられても上手く受け答えができない、会話が続けられない傾向があるそうだ。それを苦にして自己嫌悪に陥ることも。
そんなことが繰り返されると、他者に気兼ねをして辛くなるくらいなら、自分ひとりでいたほうがいいということになる。
さらにそれが悪循環となって、いつまで経っても社会に出られない、社会性が身につかないままになってしまうのだ。
だからといって、彼らがそれでいいと思っているわけではないらしい。どうにかして踏み出そうとはするのだが、勇気がなくてジレンマを抱えているという人は結構多いのだそうだ。
そういう人に対して、やはり周囲はただ黙って見ているだけでなく、何らかの対処、援助などが必要だろうと先生は言う。
サークル活動やボランティア活動、学園祭や体育祭を利用して実際に社会に出る前に訓練することを提案している。
同時に、就職などでは人とのコミュニケーションが必須の職種は避けて、初めからひとりでコツコツできる仕事や専門職を指向、視野にいれた活動をすることが必要だろうということを話していた。
とかくそういうタイプの人に対しての社会からの風当たりは強く、努力が足りない、やる気がないからだと言われ、そのせいで自分を責めてしまうということにもなりかねない。
勿論、早くから社会に出る訓練、社会性を身につける努力をすることは必要だろう。ただ、もしどうしても難しいときは無理をせず、ひとりでコツコツできる仕事や専門職を指向、視野にいれることがそのひとにとって自然体ではないだろうか。
これからますますそういうタイプの人は増えるかもしれない。
社会全体が取り組まなければいけなくなる日はそう遠くはないだろう。