新年早々、学院主催のワークショップに参加した。
毎年、学院ではたくさんのワークショップを主催している。私もBFAを中心に、いくつか参加しているが、こんなに早い時期の開催は初めてである。
今回、7日、8日の二日間の日程で開催されたのが、エサレン研究所所長であるゴードン・ウィラー博士のゲシュタルト療法ワークショップ。
エサレン研究所と言えば、人間性心理学、パーソンセンタード・アプローチで有名なカールロジャーズやゲシュタルト療法の創始者であるフィリッツ・パールズ、エンカウンターで有名なウイリアム・シュッツなどが、そこに滞在、ワークショップをおこない各自の世界を構築したことで有名なところである。
現在も心理学は勿論のこと、ヨガやダンス、絵画といった、ボディワークや音楽療法やアート・セラピーなどのワークショップが年間を通して開催されていて、世界中からたくさんのひとたちが訪れているそうである。
聞くところによると、ゴードン博士が急に来日されることが決まったこともあり、参加定員25名という小規模な人数を集めての開催となった。
たまたま昨年末、BFAのワークショップが神田で会った折、BFAの創始者である大高先生から、今回のワークショップ開催を知らされ、強く参加を勧められたことや、エサレン研究所が取り組んでいるなかにボディワークやヨガの存在を知ったときから、実存主義的心理療法以上にBFAとの共通性を感じていた経緯から、思い切って参加することにした。
参加者のゲシュタルト療法の知識、ワーク経験は私のように、学院の特修科で学んだ程度の初心者から、5年以上もゲシュタルト療法を学んでいるひとや、いくつものクラスを学び続けている上級者まで実にさまざまであった。
初級レベルの私にとって、この二日間で何を学べるのか、何を体験できるのか、ワクワクとドキドキが交錯するなかでワークショップは始まった。
初日は博士、参加者とも初対面ということもあり、まずは自己紹介からスタート。
その後、ゲシュタルトとは何ぞやというところから始まっての博士によるレクチャーがあり、参加者による、博士とのワークがおこなわれた。
レクチャーで印象的だったのが、博士が言われた「相手をわかろうとする必要はない、相手とともにここにいることが重要である」との言葉であった。それはまさに、カール・ロジャースが言っていた存在=プレゼンスである。
たしかに過去に大講演会、プレミアムワークショップに招聘した講師の方々に共通するのは、その存在感の大きさであった。
ただそこにるだけで、その「場」の雰囲気が和み、安らぎを覚える、安心感を得られるのだ。あの不思議な感覚とはいったいどこからくるのだろう・・・
そして、ゴードン博士もやはり同様に、存在=プレゼンスの雰囲気を醸し出されていたのだった。
レクチャーでは、人間が誕生して成長するにしたがって持つ「パターン」についての話が中心となった。
人間やチンパンジー、イルカといった一部の高等動物を除いて、動物のほとんどは本能によって行動するが、人間は何かが起こると、それに対応するために思考などを働かせる、それがパターンとして学習され、また同じことがおこったときに対応できるようになるのだそうだ。
ただ、そのパターンというものは、必ずしもよい方ばかりに働くとは限らない。問題が起こったとき、それが防衛として働いてしまい、一向に解決に結びつかない結果を招いてしまうことが往々にして起こりうるのだという。
ある問題を抱えてカウンセリングに訪れるクライエントの場合も、あるパターンに陥ってしまい、そこから脱けだせないがために延々と苦しむという結果を招いていることが多い。いかにそのパターンを壊すか、破るかがポイントとなるのだと博士は話していた。
そのひとつのツールとして、瞑想が役に立つと言う話をされていたのが、私のなかでヒットした。その瞑想的アプローチを使っているのがBFAだ。
終盤、ある参加者が博士のワークを希望し、オープンワークが行われることになった。
参加者の問題は、関係性の問題から来るある症状であった。
その具体的な内容は、個人情報なのでここで明らかにすることはできないが、ある決まった時期になると、必ず起こす症状について参加者は話し始めた。
ワークを見ながら感じたのは、BFAのやり方ととても似ていることだった。その症状が起こる原因となった、過去のある場面、そこに登場する人を、今、ここにイメージすることでリアルな感情を呼び覚ましていく。そして、その問題に関わるひとをイメージのなかで対峙させ、湧き上がる思いを言葉にしていくことを促したのだった。
最初は、少しずつ遠慮がちにしていた参加者だったが、徐々にその世界に入り込んだところで、今まで押し殺していた感情が噴きだし言葉となって表れた。それは様子を見守っていた私の心に、ひりひりとした痛みをもって伝わってくるものだった。
やがて思いを言い尽くした参加者に対して、博士が言ったのは、その思いを自分をサポートしてくれるであろう立場の人間(例えばパートナー)に、伝えて理解してもらう作業をする必要性があるということだった。
自分のなかで、誰にもわかってもらえないのだと決め付けて引きこもらず、理解してくれると思える信頼できる相手にきちんと話をすることがとても大事なことであると。
なぜなら、それが実は自分が持っている「パターン」である可能性があるからだ。
この事例でもそうだが、とかく私たちは、自分が抱えている問題は誰にもわかってもらえない、理解してもらえないものであると、捉えがち、思いがちだ。
それによって、自分の殻に閉じこもったり、壁を作ったり、引きこもったりしてしまう。
しかし、このワークを観察してわかったのは、まずは自分がオープンになること、さらに抱えている問題そのものもオープンにすることによって、自分が持ち続けている「パターン」を壊すことの重要性だった。壊すことによって、事態はおのずと変化を始めるのである。
ワークが終了して強く感じたこと、それは「基本は同じなんだな…」という思いと、やはり自己受容があってこそ気づきがあり、それではじめて変化が起こるのだということを再認識したことだった。
エクササイズをした。
自分が抱えている問題をひとつ挙げ、そのパターンを洗い出してみる。そして、それをペアをひととシェアするというものだった。
このエクササイズが、二日目の新たなエクササイズに繋がっていくことを、この段階ではまだ、私たちはまだ知る由もなかった…
(続く)
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