三日間のセミナーは、ボディフォーカスト・アプローチと通じる面もあり一方では初めての体験もあって、とても刺激的なものでした。
なかでも印象的だったのは、最終日に体験した『ワールドワーク』です。
アーノルド・ミンデルの著書では、すでに何度も紹介されてきた『ワールド・ワーク』ですが、活字を通して理解するにはあまりに広い世界なだけに、容易ではありません。
今回のテーマが第二のトレーニングということだったので、そちらを期待していた私にとって、思いがけずデモンストレーションワークで『ワールドワーク』を見られただけでなく、自分自身もその一員となりワークを体験したことは、とても貴重な体験となりました。
ミンデル夫妻のセミナーで体験したワールドワークを実際に体験したことをお話しますが、みなさんのなかには「ワールドワークって何?」と思われる方がたくさんいらっしゃると思います。
プロセス指向心理学の創始者である、アーノルド・ミンデルは、その活動の過程で、個人の問題だけでなく、世界的なレベル、地球的なレベルでの問題に取り組むようになりました。
その具体的な例として人種問題や民族紛争、マイノリティー対マジョリティーなど、ありとあらゆる問題をプロセスワークを通じて、よりよい方向へ導けるよう活動を始めたのでした。
それがいわゆるワールドワークの大まかな外枠といっていいかと思います。
(私はプロセスワークを専門に学んだわけではないので、この程度のことしか説明できないのですが・・・)
さて、先達てのセミナーの最終日。
デモンストレーションで、ある男性が抱えているテーマでワールドワークを披露してくれました。
抱えているテーマと言うのが、第二次世界大戦における日本と中国の関係について。
その具体的な内容、体験はここで記すことはできませんが、その男性にとってこの問題は、ある意味 人生を賭けて取り組んでいるといっても過言ではない重要なテーマであることは、誰の目にも明らかでした。
ワークが始まってまもなく、変性意識状態になった男性は双方の立場になりながら、意識の深いところにある思いを吐露し始めました。
そして、最後にどうなったか…解決とまではいきませんでしたが、今までより苦悩の度合いはいくらか薄まったように見受けられたのでした。
デモンストレーションワークが終わったところで、次は私たちセミナーの参加者全員で、実際にワールドワークを体験することなりました。
だいたい6人から8人がひとつのグループになるところからワークはスタート。
思い思い男女が混じっていくつかのグループができました。
私もあるグループに加わらせてもらいました。
それぞれが抱いている、社会的な問題・テーマが語られます。
あるひとは町内会の問題、またあるひとは職場でのこと、片や世界的な紛争を取り上げられるなど、この段階でも実にひとが問題とするテーマにもそれぞれのおかれている立場や環境、男女の差などが関係することに驚かされました。
結局、私たちが取り上げたのは、性犯罪についての問題でした。
この手の犯罪は、だいたいが男性が加害者、女性が被害者とのイメージが固定化されがちですが、最近では職場などで逆セクハラなどという言葉がよく知られているように、必ずしも加害者、被害者の性別は限定できないというのが実際のところです。
この問題を取り上げたいと思ったひとは、果たして私たちは日常生活において、永遠に加害者になる可能性、危険性はないのだろうか…そんな疑問が湧いたといいます。
そんな話を聞いたところで、各々が徐々に変性意識状態へと入っていきました。
そして、心の奥深いところから湧きがってきた思いに従い、動いたりダンスをしたり、言葉にしたり…
初めてこうしたワークを体験した私は、正直なところなかなか入っていくことはできませんでした。
一方でまったくカウンセラー・セラピストなどといった心理援助職や医療に従事していない方々が、いともたやすく半覚醒の状態になり、加害者になったり被害者になったりして、ワークをしています。
その様子を間近にして、こうしたワークは感覚的なもの、知識やどれほど経験を積んだかではない要素があるんだなと思いました。
私たちのグループですが、男女とも思い思いに加害者になってみたり、被害者になってみたり、そのなかでお互い思いをぶつけ合ったり、罵ったりと結構エキサイト。
やがてすべてを出し尽くしたと思われた頃から、不思議な現象が現れました。
それは、グループのメンバー全員の思いのなかに「私たちはみな、加害者であり被害者なのだ」具体的に言えば「被害者になる可能性があるのと同じくらい加害者になる可能性もある。そこに厳密な区別や線引きなどできはしないのだ」という感覚が生まれたのです。
私たちはとかく、自分の立場というものを限定、固定しがちです。
そして何かがあると「それは自分とは関係のない世界、人種(区別の意も含み)がやったこと、起こしたこと」と糾弾したり差別、区別をしてしまいがち。でも実際はそうではないのだ。
「あなたは私、私はあなた」という場に、私たちは存在しているのだということをワールドワークを通して体感したのです。
ある種のトランス状態、変性意識状態から醒めはじめて誰ともなく発せられたのが、昔テレビのCMで流れていた「人類みな兄弟」という言葉でした。
その「場」における全員の意識を端的に表す言葉がそれだったのです。
三ヶ月が経っても、あのとき感じた爽やかな気分は、今も身体に記憶となって残っています。
ほんの数十分の体験でワールドワークを述べることには無理があり、あくまで初歩的な感想でしかありませんが、確かに「こうした感覚になるんだな」と実感、理解できただけでも貴重な体験でした。
今日も、ミンデル夫妻は世界のどこかで対立する誰かと誰かにワールドワークを提供しているかもしれません。
興味のあるかたは、是非、アーノルド・ミンデルの著書を読んでみてください
ホリスティックカウンセリング『宙』(sora) http://www.kokoro-sora.com
ブログ『心の扉を叩いてみたらきっと何かが見えるはず聴こえるはず』
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ブログ『ボディフォーカスト・アプローチ』 http://blog.goo.ne.jp/kokoro-sora-karada
ブログ『こころの翼』 http://ameblo.jp/cocoro-iyasi-sora
元気読本WEB 身体と心の不思議な関係』
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日本カウンセラー学院ブログ 『講師のひとりごと』
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