昨年のこと、母が突然強いめまいに襲われた。
日中、新聞を読んでいたところ、急に「目がまわる」と訴えたかと思ったら、身動きができなくなった。
それほど強烈なめまいだという。
普段、血圧は高めではあったが、今までめったにめまいを訴えることはなかった母である。
みるみる表情もグッタリしてきて、目も窪んで、傍の目からも具合が悪そう。
吐き気を伴ったことから、前日の夜に食べたものに食あたりをしたのかと思ったが、同じものを食べた父と私はまったく異常がない。
たぶん体調が悪かったのだろうと想像したが、あまりに症状が強かったことから結局、半日床についたままだった。
そして二週間ほどが経った先日、再び突然に強いめまいが母を襲った。
症状は前回とまったく同じ、やはり吐き気を伴う、強烈なグルグルまわる回転性のめまいだった。
二度も続けての症状に、このまま放置することはできないと、話し合い。数日後、某大学病院を受診することにした。
その日のうちに首の骨のレントゲン写真を撮り、翌日にはめまいの検査。
そして、来月にはMRIの検査をすることになっている。
受診と一緒に、インターネットや医学書などで症状と照らし合わせてみたのだが、どうやらメニエール病に症状が似ている。
説明によれば、この病気は30代から50代の働き盛りの男性が罹患しやすいとか。
過労やストレスが大きく関係しているらしい。
母は70代の終わり。そういう点では必ずしも罹りやすい条件を備えてはいない。しかし。過労とストレスという点では大いに思い当たるふしがあった。
まず思い当たったのが、急に決まった私のルームオープンである。母が勧めてくれたとはいえ、これによって明らかに母への負担が増えた。
毎週一日は池袋に出かける私に代わって、食事の支度をしなくてはいけなくなった。今までもしていたが、一日余分に負担が増えるのは、高齢者の母にはやはり体力的に大変だったのだと思う。
さらに先日、マンションのインターフォンが全戸新しくなった。新しくなったのはいいのだが、今までは受話器を耳に当てての対応だったものが、壁に備え付けられた箱型のマイクで聞いたり話したりしなくてはならなくなったのである。
二十年ほど前、顔面麻痺で耳の手術をした母は、すこぶる聴力が悪い。そういう事情もあって、尚更、新しいインターフォンでは聞きづらいのだ。
そのことでのストレスもあって、急にイライラすることが多くなった母。
ちち
おそらく何重ものストレスがかかっての発病だったのではないか。
このように、ストレスは突然、身体に変調を起こすことがある。自分でストレスを感じている場合はもちろんのこと、自覚がないままストレスにさらされている場合も同様である。しかも、こういうストレス性の病気は、簡単に治らなかったり、習慣性になるものも多いと聞く。
ストレスに過剰反応することはないが、やはり自分の精神状態、身体状態には気を配りたいものだ。