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小浜逸郎・ことばの闘い

評論家をやっています。ジャンルは、思想・哲学・文学などが主ですが、時に応じて政治・社会・教育・音楽などを論じます。

少子化とコロナ

2021年03月03日 18時42分17秒 | 社会評論


これまで私は、コロナ・パンデミックは少なくとも日本では完全な虚構であって、これは政府・自治体やメディアの煽りによって生じた「恐怖の流行」に過ぎないという見解を一貫して表明してきました(細かい論点は、当ブログの過去の記事を参照してください)。

日本経済新聞2020年12月28日付によると、2020年1~10月の日本の死亡数は前年同期より1万4千人少ないことが厚生労働省の人口動態統計(速報)で分かったそうで、当記事は、次のグラフを掲げています。


https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67762350X21C20A2CR8000/?unlock=1

もともと厚労省が発表する死因特定はいろいろな理由から眉唾な部分が多いのですが、上のグラフを一応信じるとして、新型コロナによる死者数が特に多いわけではないことが一目瞭然です。パンデミックというからには、超過死亡数が突出していなくてはなりません。

出生数のほうはどうでしょうか。毎日新聞2021年2月22日付のウェブサイトによれば次の通り(以下、引用部分の太字はすべて引用者)。

厚労省が(2021年2月)22日発表した人口動態統計速報によると、2020年の出生数(速報値)は87万2683人で、前年比で2万5917人減少した。19年の出生数(確定値)は86万5239人で、20年は確定値で83万~84万人台となり過去最少を更新する見通し。新型コロナウイルスの感染が拡大した20年は妊娠届の提出が前年を大きく下回っており、21年の出生数は80万人台を割り込む可能性がある。
https://mainichi.jp/articles/20210222/k00/00m/040/121000c

21年は80万人台を割り込む可能性があるそうです。私ども団塊の世代の出生数が毎年260万人を超えていましたから、ここ数年は3分の1未満の状態であり、21年は下手をしたら4分の1に近づくかもしれません。
今年の出生数激減がコロナの影響によるものであることは明らかです。ただし繰り返しますが、それは記事が言うように「感染が拡大した」からではなく、「感染恐怖が蔓延した」からです。

日本は欧米と違って婚外子を嫌う伝統が維持されているので、出生数の減少は、ほぼ婚姻件数の減少に起因しています。産経新聞2021年1月17日のウェブサイトによれば、次の通り。

新型コロナウイルスの影響で結婚する人が減っている。厚生労働省の人口動態統計(速報値)によると、令和2年1~10月の婚姻数は42万4343件で前年同期(48万9301件)比13.3%ダウンした。11、12月も同様であれば、昨年は戦後最悪の昭和25年(15%減)に次ぐ下落幅となる。
https://www.sankei.com/politics/news/210117/plt2101170005-n1.html



ちなみに、少子化がなぜまずいのかについて、人口減少による国力低下を挙げる人が多いですが、人口減少そのものは緩やかな変化であり、今からそれほど騒ぐには及びません。少子化の解決が喫緊の課題であるのは、長寿化と相まって、極端な逆ピラミッド型の人口構成になる(なっている)からです。
生産年齢人口の減少と高齢者の増加によって、年金や保険など、現役世代に負担が大きくのしかかります。また生産力の減退も否定できないでしょう。さらにそうした経済的な問題だけでなく、活気ある若者が少なくなれば、当然、新しい文化創造の力も衰えますし、よき伝統の継承もおぼつかなくなるでしょう。

さて、このような深刻な事態に対して、政府は有効な対策を考えているでしょうか。それについてはさっぱり聞こえてきません。
ここに、政府が長年取り組んできた少子化対策の概要なるものがあります。

結婚        ・ライフデザインを構築するための情報提供

妊娠・出産     ・「子育て世代包括支援センター」の整備
          ・産休中の負担軽減
         ・産後ケアの充実
         ・マタニティハラスメント・マタニティハラスメントの防止
         ・周産期医療の確保・充実など

子育て       ・経済的負担の緩和
         ・三世代同居、近居の促進
         ・小児医療の充実
         ・地域の安全向上
         ・障害のある子ども、貧困の状況にある子供など様々な家庭、子供への支援

教育        ・妊娠や出産に関する医学的・科学的に正しい知識の教育

仕事        ・正社員化の促進や処遇改善
         ・ロールモデルの提示
         ・「地方創生」と連携した地域の雇用創出

https://gooddo.jp/magazine/health/low_birthrate_and_aging/low_birthrate/7396/

この表で特徴的なことは、「結婚」の項目が一つしかないのに、「妊娠・出産」「子育て」の項目がやたら多いことです。そしてその問題点は太字部分に顕著に表れています。
まず、「結婚」対策が「ライフデザインを構築するための情報提供」などという何とも頼りないものでしかないこと、つまりそこに予算をほとんどかけていないことがわかります。
次に「妊娠・出産」対策として「産休中の負担軽減」とありますが、これは子どもが生まれたことを前提とするもので、夫婦に子どもを産ませるようにする「少子化対策」ではありません。
さらに「子育て」対策にも同じことが言えますが、それ以上におかしいのは、「経済的負担の緩和」という項目です。これは細かく見ると、多産の家庭にはその分だけ補助金を支給するというものですが、少子化問題の解決に結びつかないだけでなく、貧困対策に逆行する政策です。というのは、多産が可能な家庭は、もともと裕福な家庭が多いからです。格差は開くばかりでしょう。
「三世代同居・近居の促進」というのも、祖父母に面倒を見てもらえることに配慮したものでしょうが、国策としていったいどうやって促進するのかさっぱりわからず、机上の空論というべきです。

そもそも、結婚適齢期にある未婚男女が、子どもを持てば国からどれだけの支援が得られるか得られないかなどという基準で結婚を決意したり諦めたりするでしょうか。好きでもない人とけっして結婚などしない世の中です。
もっとも相手が金持ちで金銭目当てで結婚する人なら多少はいるでしょうが、子育てのための国家の補助を当てにする未婚者などまずいないでしょう。政府はそういう現実感覚をまったく持っていないのです。
少子化対策は未婚対策である、という根本的な事実を歴代政府は理解していません。だから2007年から「少子化対策」と銘打って22人もの担当大臣まで置いてきたのに、まったく成果が上がっていないのです。当然というべきでしょう。

さて未婚率ですが、生涯未婚率(50代になっても一度も結婚したことのない男女の率)の推移を見ると、次のような驚くべき結果となっています。
2015年時点ですでに男性の4人に一人がほぼ一生結婚できない状態です。


https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/20180807-OYT8T50005/

昨年(2020年)は国勢調査の年でしたが、コロナ禍が重なっているので、さらにこの率は激しく上昇している可能性が高いでしょう。
なぜこのようなことになるのでしょうか。
自由を求めるために結婚願望が下がっているのではないかという考えが一部にあります。
それも多少は関係しているのですが、結婚願望そのものはそれほど下がってはいません。「いずれは結婚するつもり」と答える若者の数は2015年時点で、18歳から34歳の男性85.7%、女性89.3%となっています。
http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/gaiyou15html/NFS15G_html02.html

すると結論として、ほとんどの若者は「結婚したいと思っているが、なかなかできない」という判断が成り立ちます。
では結婚を阻んでいる理由は何でしょうか。次のようなものが考えられます。
①経済的に家族を支える自信がない。結婚費用が出せない。
②相手に対する理想水準が高くなっていて、思い通りの人となかなか出会えない。
③最近のポリコレブームのために、男性がセクハラ非難を恐れて委縮している。
このなかで、何といっても大きなものは、①の経済的理由でしょう。ことに男性の場合はこれが大きいと考えられます。

竹中平蔵が推進した構造改革路線によって、非正規社員の割合が4割近くに達しました。次に掲げるのは、正規社員と非正規社員の生涯賃金の格差をグラフにしたものです。


https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20190414-00121436/

これはまた、特に男性の未婚率の差にそのまま反映しています。少し古い資料ですが――


http://honkawa2.sakura.ne.jp/3256.html

そこに来てコロナです。不当に拡大されたコロナ禍は、経済の面と出会いのチャンスの面との両面で若者にダブルパンチを食らわせました。
親の収入が危うくなったばかりでなく、バイトの口も就職口も縮小し低賃金や雇い止めが多くなっています。また大学のオンライン授業や各種イベントの中止、飲食業の時間短縮営業でもわかるように、若者どうしが楽しく交際する場と時間が大きく切り詰められてしまったのです。
これでは、若者の恋愛や結婚へのインセンティヴが奪われて当然でしょう。

以上の分析から、コロナ禍のためにこれからますます結婚がしにくくなり、出生数も減るのは確実です。
すべては政治のせいなのです。
大切なことは、「子どもを産んだら財政支援する」という間違った方法論を転換し、若者に恋愛や結婚のインセンティヴを与えるような政策を打つことです。まずは緊急事態宣言などという有害無益な政策を一刻も早く打ち切らなくてはなりません。
そのうえで、少子化問題の解決をこそ緊急課題としてとらえ、次のような施策をとる必要があります。
①緊縮財政を打ち切ってデフレから脱却し、経済を回復させる→若者が結婚できるようなゆとりある状況を作りだす。
②男女の出会いの機会を増やす→民間の若者向けイベント開催に多額の補助金を出し、同時に公共体自身も積極的に出資してイベントを催す。
③コロナ脳からいち早く脱却する→活発で面白い街の活気を取り戻す。
いずれにしても現在の政府が陥っている、財源についての誤った考えを払拭しない限り、これらの施策は果たせないでしょう。



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ワクチンという毒の注入を断固拒否せよ

2021年02月18日 00時17分12秒 | 社会評論


いよいよ昨日(2月17日)から日本でも、医療従事者を対象とした新型コロナワクチンの接種が始まりました。今後、高齢者、基礎疾患を持つ人、高齢者施設の職員、一般の人という順で、次々に接種が行なわれていく予定です。
皆さんもよくご存知と思いますが、政府はすでに米ファイザー社(6000万人分)、米モデルナ社(2500万人分)、英アストラゼネカ社(6000万人分)の3社と正式に契約を結んでいます。
このワクチンがいかに危険性をはらんでいるかについては、前回のブログでお知らせしました。
「それでも惑沈、打ちますか?」
https://blog.goo.ne.jp/kohamaitsuo/e/60b06f4b4dc584caa647e2ebc91ed694

ワクチン接種についての政府の法的な決定では、「努力義務」となっているので、言葉の上では強制ではなく、拒否することも可能です。しかし、一億総マスクの現状を見ても日本人のほとんどがコロナ脳に洗脳されていることは一目瞭然です。主流メディアの大々的な宣伝の力や、日本人の同調圧力の強さなどから言って、一般の個人が敢然と接種を拒否することは難しいでしょう。
ことに医療従事者は、その危険性についてよく知っていたとしても、立場上、拒否することは困難です。自分が拒否しておいて一般の人に接種を勧めたり、申請者に接種を施したりするのはこの職にある人たちの良心が許さないでしょう。また、下手をしたら職を失うかもしれないのです。

これは自戒の念を込めて言うのですが、数多くの医療従事者一般の人たちに接種を拒否するよう勧めるのは、かえって酷な話だと思います。
しかしそれでもなお、できれば勇気をもって拒否してほしいと私は個人的には思っています。
とはいえ、医療従事者が拒否する場合には、専門家としての観点から危険性を熟知した上で、申請者に対してもいちいち説得するのでなくてはなりません。
それだけの意志力と胆力のある医師、看護師、介護士が日本にどれだけいるでしょうか。きわめておぼつかないというべきでしょう。大方は、進んで実験台になるか、何となくそういうものと思って同意するか、ほんとは受けたくないが暗黙の強制力の前に仕方なく受け入れるか、どれかということになるでしょう。
これは日本の精神風土や国民性に関わっていることでもあるので、にわかに変えるわけにはいきません。残念に思います。

いまワクチン接種の是非を巡るさまざまな情報が乱れ飛んでいますが、前回のメルマガの後、私が得ることのできた情報のうち、これは信頼できそうだと思えるものをいくつか紹介しておきます。
まず――
https://www.bitchute.com/video/4nZ7mCblGjwf/
このサイトは世界医師連盟に属する医師33人が、ワクチン接種の有害性を強調している動画です。勇気のある人たちです。みんなが、それぞれの仕方で、新型コロナワクチンの安全性には何の保証も得られていないし、有効性にも確証が得られないままに巨大な人体実験が行なわれていると訴えています。
それだけではなく、多くの人が、コロナパンデミックそのものが偽であって存在しないと主張しています。
欧米であれだけ死者が出たのに? といぶかる向きもあるかもしれません。
しかし私自身も主張してきましたが、これは健康に関心のある世界の人々(ほとんどすべての人々ですね)の視線が、武漢ウイルスという「事件」にたまたま凝集して引き起こされた集団ヒステリーです。よく数字を追えば、いわゆる新型コロナの流行によって、どの国の総死亡者数も増えてはいず、むしろ減っていることがわかります。
また公式発表によってさえ、どの国も昨年5月段階からコロナによる累積死亡者数は急角度でほぼ水平に近くなり、終息に向かっていることが読み取れます。しかもこの公式発表もインチキが多く、水増しされている(中国は逆に過少に見積もっている)可能性が大なのです。ぜひ下の二つのサイトを参照してください。
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death.html
https://blog.goo.ne.jp/kohamaitsuo/e/effcc9c591be4f8689a563b585ae5639
そして問題は、このインチキによって、誰の懐に莫大な金が入るのか、そして誰が命を落とす羽目になっているのかです。答えは言わなくても明らかでしょう。

次に――
http://wonderful-ww.jugem.jp/?eid=2518&fbclid=IwAR2NEhT487PPlF_0WGo9fEi1nF__GNPmu783SmRfWOpW8syjaMfOtWLp7ek
これは、環境問題ジャーナリストの山本節子氏のサイトです。このサイトでは、1月29日段階でのCDC(アメリカの厚労相に当たる)の公式発表による、ワクチンの「有害事象報告」が引用されています。
これには、事象別の内訳が表にされています。有害事象総数は10000人を超えており、死者数は501人となっています。なお接種者総数は延べ3500万人ですから、率にすればごくわずかということになります。
しかしこの表を引用している原資料では、
問題は、CDCが求めているのはワクチン接種後「特定の時間内に」起きた有害事象だけで、規定の時間後に起きたものはカウントされないことだ。したがってこのシステムで報告される有害事象は1%未満と見積もられ、被害者の把握システムとしては失敗であり、
と書かれています。
もしそうだとすると、山本氏が言う通り、実際に、重篤なものも含めて何らかの「有害事象」を被った人は、100万人を超えており、死者はすでに5万人を超えている計算になります。

次に――
https://ameblo.jp/ja-narisuto-x/entry-12657082786.html
このサイトでは、英国の公式発表による「有害事象」が報告されています。それによると、
・ファイザーワクチンの有害事象 / 報告数 5万8614例 死亡例 143例
・アストラゼネカワクチンの有害事象 / 報告数 4万2649例 死亡例 90例
もちろんこの数字は、アメリカと同じように信用できません。900万人が接種を受けており、ファイザー社のワクチンでは、9割に副反応が出ることが知られていますから(前記「それでも惑沈、打ちますか?」参照)、この事実と、上の数字を100倍した時の数字とは、ほぼ辻褄が合います。
さらにこのサイトでは、特に重篤と思われる「有害事象」の数がずらりと網羅されています。
政府・厚労省やNHKはじめ主流メディアは、なぜこれらについて何の発表もせず、ひたすらワクチン接種の必要を呼びかけているのでしょうか。先進国の名に値しないどころか、ワクチン推進派の全体がヤクザ集団みたいですね。

次に――
ドイツでは、2020年の5月に大規模な反ワクチンデモが起き、その影響かどうか、6月に、ワクチンを強制的に受けさせる法案を廃案にし、日本と同じように「努力義務」としました。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/post-93422.php
また8月には、コロナの行動制限に反対する大規模なデモが再び起きました。
https://www.cnn.co.jp/world/35157596.html

欧米では、コロナ死者(とされる人たち)が日本よりけた違いに多いことはよく知られています。それでもパンデミックと呼ぶほどではないので、当局が敷いたロックダウンなどの厳しい行動制限に公然と抗議するのはある意味で当然と言えます。
最近になって、ドイツでは、新型コロナワクチンを最初に開発したのはドイツの研究者なのに、なぜかワクチン接種が他の欧米諸国に比べてひどく遅れているという報道がなされました。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/012700234/
この記事を書いている記者は「困ったことだ」という調子で、なぜ遅れているのかについてとんちんかんな理由を挙げていますが、これは、上記のような経過を見れば、接種を拒否する国民が多いためであることは明らかです。

しかし欧米では、少なくとも、このようにはっきりと意志表示するのに、日本ではどうでしょうか。
その必要もない有害無益な緊急事態宣言を受け、時間短縮営業を半ば強制されて、計り知れない経済的ダメージを被っているのに、その人たちは、不満を述べ立ててはいるものの、怒りの声を結集させようとすらしていません。6万円の「協力金」なるエサを与えられて、おとなしく「お上の声」に服従しています(この施策が国民分断を引き起こしていることについては、後ほど動画「いっちゃんねる」で取り上げます)。日本人は、なんと従順な羊なんでしょう。

もう一つ――
フォーブスジャパンの次のような記事があります。
https://forbesjapan.com/articles/detail/39062
米国では、新型コロナウイルスの新規感染者や死者の数が急増しているにも関わらず、驚くほど多くの医療従事者たちが、ワクチンの接種を拒否している。オハイオ州知事のマイク・デワインは12月30日、ワクチンの優先接種の権利を与えられた介護施設の職員の約60%が、接種を拒否していると述べ、「これは困った状況だ」と話した。
ヒューストンのユナイテッド・メモリアル・メディカル・センターのジョセフ・ヴァロン博士は12月の公共ラジオNPRの取材に、彼の部門の看護師の半数以上が「ワクチンを接種しない意向だ」と話していた。

フォーブスジャパンは、ワクチン接種推進派のメディアですから、そういうメディアが書く記事だけに、かえって信頼がおけます。

最後に、そんなにまでしてワクチンを広めたいのかという茶番の例を紹介しましょう。
https://mainichi.jp/articles/20210217/k00/00m/040/107000c
埼玉県宮代町では、ワクチン一回接種するごとに1000円の商品券を配るそうです!
この行政機関は、まさに「お上」の下僕ですね。その危険性についてや、どういう世界的謀略のもとにこのワクチン接種計画がなされているかについての認識などまったくなく、素朴にワクチンの有効性を信じているようです。これから競って真似をする自治体が出てきそうですね。
このふざけた事例を紹介している毎日新聞は、名案だとでも思って取り上げているのではないでしょうか。
いや、考えてみれば、大真面目に接種を促進させようとしている菅政権にも小池都知事にも、ワクチンに対する危険性の認識はなく、危険情報に耳を傾ける気など端から無いようです。彼らもまた、世界全体主義を推し進めるDS(闇の支配勢力――例:ビル・ゲイツ)の操り人形に過ぎません。

さて、こうしてじわじわと私たちの生存をおびやかす「ワクチン全体主義」の様相を見てくると、ヒトラー・ナチスドイツの、「反ユダヤ全体主義」と、その力学がよく似ていると言わなくてはなりません。
もちろんナチスの場合は、戦争への激しい情熱と折り重なっていたために、そのテンポはあまりにも急速だったというべきですし、またその「敵」を虚構するのに、ヨーロッパ全体に歴史的に蓄積されてきた集合無意識としてのユダヤ人排斥感情を利用しました。これに対して、今回は、特定の人間集団ではなく、「疫病」に対する恐怖という非人称の「敵」を作りだした点、一見ソフトな支配の力の作用が働いている点が違ってはいます。
しかし、それに巻き込まれていく一般大衆の心理において、進んで参加、何となく賛同、いやだけど仕方なく同意という一連のグラデーションが存在して、そのために、気づいてみたら明確な反対意志を示せなくなる状況が形成されていたという意味において、よく共通しているように思えます。
これはいわば緩慢なジェノサイドだと言っても過言ではありません。
そうして、そこにあるのは悪意ではなく、むしろ巨大な善意の集積なのです。その点も同じです。
まことに、「地獄への道は善意で敷き詰められている」。


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https://www.youtube.com/watch?v=21Mh9kbhVlU&t=754s
https://www.youtube.com/watch?v=xCLipCrdCz4&t=52s
https://www.youtube.com/watch?v=bGyD9ACP8qs&t=3s
https://www.youtube.com/watch?v=3QygmR9YAQc&t=33s
https://www.youtube.com/watch?v=0ejx0AYvEQo&t=42s
https://www.youtube.com/watch?v=SluKABR_loM
https://www.youtube.com/watch?v=PnOxrmu9u_o&t=17s
https://www.youtube.com/watch?v=PnOxrmu9u_o&t=19s
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一度、以下のURLにアクセスしてみてください。
https://kohamaitsuo.wixsite.com/mysite-3

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●『福沢諭吉 しなやかな日本精神』(PHP新書)好評発売中。

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●長編小説『ざわめきとささやき――2018年ふたりの秋』の連載がすでに完成しています。
社会批判小説ですがロマンスもありますよ。
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それでも惑沈、打ちますか?

2021年02月04日 09時51分05秒 | 社会評論


これまで新型コロナにまつわるインチキ性と、これに大騒ぎすることの有害性について再三説いてきました。
これは、スピーディーな情報操作が可能となった現代の新たな全体主義の台頭を意味します。
もう一度要点をまとめておきます。

①PCR検査は遺伝子の存在を確かめるだけの検査で、感染の診断に使ってはならないと、この検査を開発してノーベル賞を受けたキャリー・マリス博士が警告している。
②厚労省は、コロナ以外の病気で亡くなった人の死因もコロナによるとしてカウントしている。コロナ死者は現実にはずっと少ないはずである。これは、欧米も同じ。
③PCR検査のCT値は、高く設定するほど、過敏な陽性反応を示しやすくなるが、専門的知見によれば、35サイクル程度が限界である(台湾は35)。しかるに日本では45サイクルに設定されている。こんなに高くすると、「陽性者」が飛躍的に多くなり、感染していないほとんどの人まで感染者とされてしまう。
④マスコミは、PCR検査で陽性反応を示した人をすべて感染者として発表し、しかも検査件数との割合(陽性率)を決して示さず、感染者が増えているかのように見せかけている。
⑤コロナによると称される重症者、死亡者はほとんどが基礎疾患のある高齢者に限られる。
⑥新型コロナは2類指定感染症に指定されているが、これはエボラ熱、SARSなどの、致死率の極めて高いランクに属していて、新型コロナの実態にまったく見合っていない。多くの専門家が指摘するように、インフルエンザ並みの5類に下げるべきである。
⑦マスクは、健常者が着用しても、コロナの予防には役に立たず、特に子どもには心身に悪影響を及ぼす
⑧マスコミや自治体の煽り、緊急事態宣言、営業自粛要請などによる経済的ダメージは計り知れず、それによる自殺者のほうが、コロナ死者を上回る可能性がある。政府はこの事態にまったく対処する気がない。
⑨私たちは、これらの事実を見破って、一刻も早く「コロナ脳」から脱却すべきである。

その後、松田政策研究所長の松田学氏が、以下の動画でこの問題を詳しく取り上げているのに接しました。
https://www.youtube.com/watch?v=hog1myg3QPM&feature=share&fbclid=IwAR1FiSOE9LJrhLV6jwltuDatxUttUf-shn-wirwV_yL0_nQdZ-le-ZTmI6E
松田氏は、早くから新型コロナ問題に取り組んできましたが、今回のこの動画では、複数の専門家の知見に基づいて、新型コロナについて流布している風聞や政策の誤りを徹底的に批判し、あるべき対策、政策についての提言をまとめています。
この動画は、とてもよく整理できていて、決定版とも称すべき出来映えなので、少し長いですが、みなさん、時間をとってぜひ聞いてみてください(ワクチンの危険性についての言及もあります)。

さて今やワクチン接種が各国で実地に移され、みんなが受けなくてはならないかのような空気が蔓延しつつあります。これはコロナ騒ぎの正確な延長上にあり、一見、コロナ脳にとっては、飛びつきたくなるような朗報に思えます。
しかし、コロナ騒ぎがDSや中共にとって政治的利用の恰好の手段であったのと同じように、このワクチン騒ぎにも政治的・金銭的な利権が初めから濃厚にこびりついています。

それについて語る前に、新型コロナワクチンが持つ医学的な危険性について重要なポイントを挙げておきましょう。
①ふつう、ワクチンができるまでには、3~4年の年月がかかるものだが、今回は半年足らずという拙速状態が見られ、その有効性に疑問が持たれる。
②ファイザー社とモデルナ社のワクチンの副作用は強烈で、9割以上に注射部位の疼痛、頭痛、筋肉痛、倦怠感、吐き気、発熱が見られる。また、重いアレルギー反応などの副作用を示す例がいくつも出ている。
また、ワクチンによって正常細胞にウイルス遺伝子が入ると、免疫細胞がそれを嗅ぎつけて攻撃し、膠原病、関節リウマチなどの自己免疫疾患が生じる可能性がある。
ノルウェーでファイザー社の1回目のワクチン接種を受けた75歳以上の人々の間で、計29人の死亡者が発生したと報じられている。さらに、スペインの老人福祉施設で78人がファイザー製ワクチン接種を受け、このうち7名が死亡したという報道もある。
またこういう報告もなされている。
https://ameblo.jp/ja-narisuto-x/entry-12654179143.html
③実はこちらの方が重要だが、今回のワクチンはこれまでのものと違って、mRNAという遺伝子そのものを体内に入れる初めての試みであり、今後、人間の体細胞遺伝子をあらぬ方向に変えてしまう可能性がある。
④インフルエンザワクチンを毎年受けなくてはならないことでわかるように、もともとワクチン接種による免疫抗体は、その賞味期限に限界がある。新型コロナに「自然感染」したあとできる抗体は早くに減少し消失することが知られている。
⑤ウイルスは未知の要因によって次々に変異していくが、今回作られたワクチンがその変異に耐えられるかどうかは大いに疑問である。

以上の情報は、一部、がんの標準治療に反対を唱えてきたことで有名な近藤誠氏の『新型コロナとワクチンの一番大事な話』()から借用したものですが、同書には、もっと細かく、ワクチンの危険性について書かれています。
 :私はこの書をある縁から手にすることになったのですが、その後、判明した事実によると、この書は発売直前に出版中止になりました(理由は不明)。
たとえば、米ファイザー、モデルナ、英アストラゼネカが行なった比較試験では、健康者のみを対象としていました。つまり、高齢者や基礎疾患を持つ人がワクチン接種を受けた場合、どんな影響が出るかは未知数なのです。ところが、日本政府は、2020年12月11日にワクチン接種の優先順位を決定しました。それによると、医療従事者、高齢者、高齢者以外の基礎疾患を持つ人、高齢者施設の職員、最後に一般の人、という順になっています。ここには、比較試験の対象者以外の人の生命の危険を無視して、製薬会社の試験結果を盲信するという日本政府のずさんさが見られます。弱者がまず実験台になれと言っているのと同じです。
また、ワクチンを製造した大手製薬会社ファイザーやモデルナは、有効率95%と宣伝しています。しかしここには数字のマジックがあります。「第三相試験」と言って、実地に接種する前に数万人の被験者を集めて、接種群とプラセボ群に二分し、その効果を見ます。その結果、前者の方が後者よりコロナ発症者が有為に少なければ、有効とされるわけです。
さてファイザーでは、約4万人を対象に試験を2回行った結果、接種群での発症者が8人、プラセボ群が162人だったというのです。いかにも効き目があったかのようですね(162÷170=0.95)。
しかし近藤氏は言います。観察期間がとても短く、一般にRNA遺伝子の変異のスピードはたいへん速いので、残りの約99%の人たちが今後どうなるかはわからず、将来も95%の有効率を保てる保証はない、と。
さらに、新型コロナワクチンでは、ウイルスの「死骸」を用いる「不活化ワクチン」を用いますが、これは活性化しにくいので、アジュバントと呼ばれる免疫補助剤を同時に投与します。ところがこのアジュバントがまた、乳児突然死や脳神経にかかわる重大な副作用を引き起こすそうです。

さてこう見てくると、これらの危険性について知らされないままに、コロナ脳の人たちが救い神を求めて、急いでワクチン接種に飛びつくと、どんな結果になるか。特に高齢者や持病がある人は思いとどまった方がいいでしょう。
それにもかかわらず、日本政府は、これらの人を優先的に接種させようと促している。ここに権力者たちの政治性や医療・薬剤業界の利権がらみを見ない方が無理というものでしょう。

思えば、武漢ウイルスが全世界に蔓延してから1年経ちますが、この蔓延状況は、ずっと政治的に利用されてきました。中共が意識的にばらまいた証拠は今のところ確かめられていませんが、結果的に次のようなことが起こりました。
米大統領選では、バイデン陣営がトランプ大統領のコロナ対策の不備を攻撃し、巨大な選挙詐欺によって政権を獲得。その背後には、アメリカ中枢部への中共の深い浸透の力がありました。ボケ・バイデンは大統領就任直後に40以上に及ぶ大統領令に、自分でも何が書いてあるのかもわからず矢継ぎ早にサインし、トランプ氏がとってきた政策をことごとくひっくり返しました(これについては、私のひとつ前のメルマガ参照)。https://38news.jp/economy/17463
この分で行くと、この先、対中制裁もできる限り緩めていくでしょう。ブリンケン新国務大臣は、ポンペオ前国務大臣の対中政策を引き継ぐと言っていますが、今の民主党の親中体質からして、口先だけに終わる公算が大きいでしょう。
中共・習近平政権は、これぞチャンスとばかりに、台湾や尖閣に対して強硬姿勢を示し、RCEP(地域的な包括的経済連携)協定の合意を取り付け、個人のDNAを採取してビッグデータによる監視社会化を世界にまで広げようとしています。ウイグル人に対する人権弾圧は、国際社会の非難をどこ吹く風と一向にやめない。コロナに関して言えば、国内情報を外に漏らさず、わずかな人数(?)の感染者発生をネタに広域にわたるロックダウンを敷いて人民を苦しめています。
ヨーロッパ諸国も、コロナ過敏症から脱却できず、ロックダウンとワクチン処方以外の方策を模索しようともしていません。ロックダウンや自宅隔離がかえって免疫の獲得に不利なことが証明済みであるにもかかわらずです。
そしてわが日本はといえば、事実上パンデミックと呼ぶほどのことも起きていないのに、ほとんどの人にとって意味のない緊急事態宣言などを出して、経済をますます腐らせるばかりです。大多数の健康な人たちの行動制限などをせず、治療を本当に必要とする重症者に絞って医療資源を集中させるべきなのに、そういう発想すらありません。
これらを要するに、新型コロナ大流行という虚構を作り上げ、その虚構をできるだけ引き伸ばし、危険なワクチンを大量にばらまいてメジャーな製薬会社を儲けさせる――この一連の流れによって、結果的に何が行なわれているのか。情報弱者たる民衆を騙して、ますます困窮に追い込み、ごく少数者による支配を永続させようとしているのです。これはもはや社会主義か自由主義かといったイデオロギー的な選択の問題を超えています。左か右かに関係なく、世界の全体主義化が高速で進行しているだけなのです。
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コロナ狂気がついに虐待を

2020年12月23日 20時15分30秒 | 社会評論


この頃なんだか世界がおかしくなってきたと感じているのは私だけでしょうか。

これまで、新型コロナの流行が疫病の流行ではなく恐怖の流行に過ぎない事実を、きちんと数字を挙げながら何回も証明してきました。おかげさまで、本ブログ記事「新型コロナ、10のウソ」を投稿した新経世済民新聞では、たくさんの方の「いいね!」をいただき、ツイッターでの拡散もけっこうな数に上ったようです。
https://38news.jp/column/17111

それでもこの集団強迫神経症の空気は衰えるどころか、最近はかえってますますコロナ全体主義の雰囲気が濃厚になってきました。
11月末に落語に行きました。1座席ずつ空けて指定されていましたが(それはまあいいのですが)、たまたまマスクを外していたら、休憩時間に隣のオバサンに「マスクをしてください!」とお叱りを被りました。
同じころ、マスクを下げたままスーパーのレジで品物を差し出したら、店員に「マスクを上げていただけますか」と注意されました。
ある友人が午後の新橋界隈を歩いていたら、長蛇の列があるので、ジャンボ宝くじの販売窓口でもあるのかと思ったそうです。でも違って、「新型PCR検査センター」とでかでかと書かれた看板の下にずらりと並んでいたとか。
もうひとつ、別の知人から聞いた話。歌の練習会があって、その会場では、次の段階を踏みます。
1.到着したらマスクを外して、会場にある新しいマスクをつける。
2.イソジンでうがいをする。
3.手の消毒。
4.検温。
5.歌う人が変わるごとに、マイクを消毒する。
6、そのたびに、歌った人の周りに消毒スプレーを噴霧する。

失礼じゃないかね、頭がおかしくなったんじゃないかね。

みなさん、これが日本中で起きている「非常事態」であります。

東京都の小池知事は、ここぞ私の出番とばかり、毎日のように嬉々として記者会見を開き、「暮れ正月休みはStay Homeで」とオウムのように繰り返しています。そればかりか、都内の小学生に、「お医者さんに感謝の手紙を書きましょう」などと要請し、ことさらコロナのたいへんさを印象付けようとしています。こういうのを文字通り「子供だまし」と言います。
こんなことしかやることがないのかね。聞けばGO TO キャンペーンに強い規制がかかったのは彼女の強い圧力があったからとか。

もう何度も書いたので、繰り返すのはうんざりなのですが、第2波、第3波と大騒ぎしているこの空気には何の根拠もありません。
以下の二つの資料によると、直近の12月20日時点で、PCR検査の陽性率(陽性者÷検査件数)は4.2%です。これはコロナの流行が騒がれ出した4月のピーク時に比べると、三分の一以下、またこれまでの累計死者数は、100万人当たり22人で、それも基礎疾患のある高齢者に集中しています。https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/?fbclid=IwAR2S54N_qvGv4pvErqYep9pud9caVBH44VsTj9dv0q5nXk8iq4ZnOyHd6xw
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death
毎年、肺炎で死ぬ人が10万人以上いて何の騒ぎにもならないのに、3000人程度の死者で大騒ぎをするのは異常としか言いようがありません。こんなのはパンデミックと言うべきではないのです。

そもそもPCR検査は、新型コロナの診断にはほとんど役に立たない検査です。
コカ・コーラやパイナップルにつけただけで陽性反応が出たとかいった笑い話のような話もありますが、それはともかく、東京女子医大感染症科の平井由児医師の、PCR検査についての次のような見解は、たいへん説得力があります。URLを張っておきますので、皆さん、ぜひ見てください。
https://ameblo.jp/obasannneco/entry-12641199459.html?frm_src=favoritemail
平井氏は、わかりやすい動画を用いて次のような指摘をしています。
・私たちの体が膨大な数の細菌やウィルスに満たされていて、もしそれを取り除いてしまうと、たちまち体のバランスを失ってしまうこと
・PCR検査は感染したかどうかを調べるためにあるのではなくて、本来遺伝子の検出のためにあること
・その感度は極めて敏感で健康体の器官にちょっとウィルスが付着していても反応してしまうこと
・2019年までは、症状の軽重によって「健康」「風邪(旧コロ)」「インフル」の三つに分類される診断がなされて、それに応じた処置を受けていた人たちが、2020年からはPCRで陽性反応が出ると、すべてコロナと診断されてしまうようになったこと
・PCR法を開発してノーベル賞を受賞したキャリー・マリス博士が「診断に使ってはならない」と警告を発していたこと(惜しくも8月に博士は亡くなってしまいました)。

このように開発者当人が不適切と公言しているにもかかわらず、全世界でこの検査が伝家の宝刀のように使われるようになってしまったのです。
そうして、例の記事にも書きましたが、6月18日に厚労省が全国自治体に出した通達によって、別の疾患で死亡した人も、コロナ感染者と認定されていればコロナで死んだことにされてしまったのです。ですから、先に記載した死者数も本当はもっと少ないのです。

また、コロナの発生によって医療崩壊の危機に見舞われたという説が全国を駆け巡りましたが、医療崩壊の危機は、2000年代初頭からすでに起きていたのです。それは、ベッド数、医師、看護師、保健所の削減、病院の統廃合などの政策によるものです。
この政策が、財務省の緊縮脳に基づくものであることは見やすい道理でしょう。政府にとって、コロナの発生はこの長年の経済政策の大間違いを隠蔽するのにまことに都合がよかったことは言うまでもありません。

それにしても、いったいこのコロナ妄想の世界的流行という社会心理学的な異常事態は、どうして起きたのでしょうか。
それについて考える前に、先に挙げた例よりも実はもっともっと異常亊が起きていたことを示しておきましょう。
12月21日配信の西日本新聞に次のような記事が出ていました。

「コロナ禍で換気のために窓を開けて寒いのに、防寒着の着用が認められない」「一日中、窓の開放が必要なのか」――。日増しに寒くなる中、学校の換気や防寒着に関する調査依頼が本紙「あなたの特命取材班」に複数届いた。体が冷えて体調不良や集中力の低下につながると懸念する声も強い。声を寄せた一人、福岡市立中に娘が通う母親は、今冬の防寒具に関する学校のプリントにため息をつく。
男子は学生服、女子はセーラー服で、着用できる防寒着は規定のセーターやカーディガン。マフラーや手袋は昇降口で着脱し、規定外のジャンパーやハイネックは認められない――。例年通りの内容。教室の窓は常に全開で、生徒が閉めると叱る教員もいるため、娘は寒さに耐えながら授業を受けているという。母親は、ぜんそくがある娘を見かねて規定外の服を着るように提案したが、「誰も着ていないし怒られる」。母親は取材班に「先生たちは自由な服装のはず。コロナ禍の今は特に、子どもも暖かな服を着られるようにすべきではないか」と嘆いた。学校側の対応力の乏しさを感じている。


私はこの記事をハリー・ライムさんと名乗る人のブログで知りました。
https://ameblo.jp/yoshino0716/entry-12645312060.html?frm_src=favoritemail&fbclid=IwAR2FDHaGfxuPbw1JLfB7j5lIYSJSlt20BRsOo9H9s7fGh6s5NxtY8P0KTB4

これを読んだとき、激しい憤りがこみ上げてきました。これは教育界で公然と行なわれている「虐待」ではないか。執筆者のライムさんも、「キングオブアホ」と大書して、虐待と呼んでいます。
厳寒の季節に窓を開けっぱなしにして防寒服着用も許さずに、窓を閉めようとすると叱りつけるキ◌ガイ教師ども。いったいこいつらは、寒さでぜんそくや風邪が悪化して重症になった生徒が出たら、責任を取るのか。
前提が根底から間違っているコロナ騒動に日本人のほぼ全員が巻き込まれているのですから、おそらくこうした例は氷山の一角に過ぎないでしょう。

これはすでに何人かの人が指摘していますが、そもそも2級感染症指定は致死率の高い鳥インフルやSARSのような感染症にしか適用されないのに、インフルエンザ(5級指定)よりも死者がはるかに少ないコロナにこの指定がなされているのはまったくおかしいことです。それなのに解除の動きは一向に盛り上がりません。

しかし、いくらこうしたことを指摘しても、当分の間、人々はコロナ恐怖症から解放されないでしょう。
なぜこんなメンタルな疫病に「上下心ヲ一ニシテ、官武一途庶民ニ至ルマデ」、国民全員が取りつかれてしまったのか。しかもそれが経済と文化の自殺行為であるとわかっているのに。
この問いに明快な答えを見つけることはとても難しく思えます。
仮説①:日本人はもともと同調圧力に屈しやすい。
仮説②:日本人はもともと過度に用心深い。
仮説③:日本人はもともと理性的にものを考える力が弱い。
仮説④:日本人は欧米の流行を見て例のごとくサルマネをしている(ちなみに欧米の流行も実は大したことはないのです。ウソだと思う人は、先にご紹介したhttps://38news.jp/column/17111を参照してください)。
仮説⑤:長く続くデフレから脱却できず貧困化が深まる中で社会不安が増大している。
しかし、コロナ恐怖症は何も日本に限ったことではありません。海外渡航や国境を超えることやロックダウンなど、日々の生活行動に厳しい制限が設けられていることは世界中で起きているので、上記の仮説は全部合わせても、いまいち説得力に欠けるでしょう。
私自身の現時点での仮説は、次のようなものです。
人々は、見かけの平和と大国間の緊張外交によって保たれてきた世界秩序に倦んでいて、世界大戦、大災害、疫病の大流行のような「ハルマゲドン」的狂気の出現を心のどこかで望むようになっている。
言ってみれば、宗教に特有の非合理な破壊願望のようなものです。逆説的ですが、それが常識を否定して、過剰な生命第一、健康第一イデオロギーへのヒステリックな縋りつきとして現われている。恐れている対象は自分たち自身の中に住む仮象の魔物であり、これと理性的に立ち向かう術がわからないために、「ただ生きる」ことに固執して、「よく生きる」方途をすっかり見失っている。つまりはニヒリズムの支配です。
こんな解釈がどこまで当たっているかわかりませんので、諸家のご意見を拝聴したく思います。


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前記事「新型コロナ、10のウソ」付録

2020年12月03日 19時23分12秒 | 社会評論

神奈川県知事・黒岩氏

前記ブログ「新型コロナ、10のウソ」を掲載したのちに、次の記事に触れました。
東京女子医大感染症科の平井由児医師の、PCR検査についての見解です。
たいへん説得力があります。

平井氏は、私たちの体が膨大な数の細菌やウィルスに満たされていて、もしそれを取り除いてしまうと、たちまち体のバランスを失ってしまうこと、また、PCR検査は本来遺伝子の検出のためにあること、しかもその感度が極めて敏感で、健康体の器官にちょっとウィルスが付着していても反応してしまうこと、2019年までは、症状の軽重によって「健康」「風邪」「インフル」の三つに分類される診断がなされて、それに応じた処置を受けていた人たちが、2020年からはPCRで陽性反応が出ると、すべてコロナと診断されてしまうようになったこと、そして、PCRを開発した研究者が「診断に使ってはならない」と公言していたことなどを、わかりやすく説明しています。
https://ameblo.jp/obasannneco/entry-12641199459.html?frm_src=favoritemail
また、平井氏の記事をフェイスブックで紹介したところ、ある方から、徳島大の宮崎名誉教授が同じようなことを言っているという記事を紹介していただきました。
https://www.youtube.com/watch?v=_FR32LSLD30&feature=youtu.be&fbclid=IwAR3VGr8vfTLWh9tXS4WE06kMtIpFZXniR4DqbEEHm5v3Yi4C7AWUkvcbW-w

ちなみに12月3日、神奈川県知事から「飲食店等(横浜・川崎)の皆様は時短営業を、県民の皆様は外出控えめに!」という緊急情報が出されました。事実上の緊急事態宣言です。
このメッセージには、神奈川県内の患者(じつは陽性者)の現状が表として掲げられています。
それによると次の通り。

入院患者       450
 うち重症      61
   中等症    364
   軽症・無症状  25
療養者        901
 うち宿泊施設    204
   自宅      697
死亡         201

入院患者と療養者を合わせると、1,351人です。
神奈川県の人口は約900万人ですから、これは、全体の0.015%に当たります。
つまり1万人当たり1.5人という計算になります。
死者に至っては、0.002%、つまり5万人当たり1人です。

わずか1.5人の入院患者・療養者のために、残りの9,998.5人の人たちが、時短営業や外出規制を受け入れなくてはならないのでしょうか。
こんなバカげた(経済や文化をさらに弱体化させる)行政措置を取るより、1,351人の人たちを助けるための治療やケアに人的物的エネルギーを集中させるべきではないでしょうか。
また、もし自粛要請によってそれに見合う補償をするだけの財政的な余地がないというなら、中央政府に地方交付税交付金を増額せよと要求すべきではないでしょうか。これはどの自治体にも言えることで、何を恐れているのか、そういう毅然とした態度をとる知事はどこにもいないようです。

また、先の記事とほぼ同じものを三橋貴明氏が運営する「新経世済民新聞」に投稿したところ、
https://38news.jp/column/17111
なぜか私に「全体主義者」というレッテルを貼り(苦笑)、コロナによる医療崩壊の危機を訴える反論コメントがありました。これに対して、再反論のコメントをしてくださった方がいましたので、そちらをここにコピペさせていただきます。

<再反論>
日本の医療崩壊なんて、2000年代前半から言われてます。
医師やベッド数不足で、救急治療の必要な患者が受け入れを断られ死亡するなんて事故は、10年以上前から頻繁に起きています。
コロナのせいではなく、今回のコロナ程度で逼迫してしまうほど日本の医療制度は決壊寸前だったというだけです。
原因は1997年以降の緊縮財政以外にありません。
Amazon などの書籍サイトで “医療崩壊” で検索すると、2001年辺りから既に日本の医療崩壊を警告する書籍があり、2009年の時点で『医療崩壊の真犯人』という日本の医療が崩壊済とする書籍がヒットします。
つまり日本政府は崩壊している医療現場を10年以上放置しているわけです。(崩壊させたのが自分達なので当たり前でしょうが)
そして当時、医療制度を叩いて飯を食ってきたマスコミも、この10年間ほとんど警告を発していません。(むしろ中国人が日本の優れた医療を受けにくる!という番組作りに奔走)
今回のコロナ禍は、政府やマスコミにとっては渡りに船だったのではないでしょうか。
「コロナは日本の医療を崩壊させるほど怖い病気」と喧伝すれば、医療崩壊の責任を免れることができます。
政府とマスコミが同調して、同じニュースを繰り返すときは注意しないといけません。


新型コロナ、10のウソ

2020年11月26日 14時08分17秒 | 社会評論

WDA(世界医師連盟)が2020年11月1日に出した、ロックダウンと社会的制限に反対する呼びかけ

11月24日、夜の新橋界隈を歩きました。
以前なら道行く人々で大層にぎわっていたSL広場もまだ10時を少し回ったころなのに閑散としていて、SLの華やかなイルミネーションが空しく明滅していました。
コロナ第三波到来の情報が全国を駆け巡り、サラリーマンたちも早々に帰宅してしまったか。
コロナ強迫神経症に日本人が罹患して、もう10か月近くたちました。
おかげで経済も文化も無残に冷え込んでいます。
そろそろこの蟻地獄のようなバカげた自殺行為から這い上がろうではありませんか。
そもそも新型コロナの流行なる現象は、疫病の流行ではなくて、恐怖の流行という社会現象であり、その流行は何重ものウソによってでっちあげられたものです。

第1のウソ:陽性者と感染者の同一視
マスコミや自治体が発表している「感染者数」は、PCR検査で陽性反応が出た人の数であって、コロナの感染者ではありません。PCR検査では、マイコプラズマなど、新型コロナ以外のウィルスでも陽性反応を示します。自治体、マスコミはこのからくりを絶対に説明しません。

第2のウソ:感染者(じつは陽性者)の絶対数の増加をもって感染拡大としている
これは、マスコミや自治体が国民を煽る絶好の手段。「今日は感染者が初めて300人を超えました」などとどこやらの知事が、さあ私の出番とばかり「緊急記者会見」をやって自粛を呼び掛けます。
しかしこの知事たち(だけでなくそれをそのまま流すマスコミの記者たちも)は、そもそも割り算ができない小学生以下の知能の持ち主です。
陽性者の絶対数がいくら増えてもそれ以上に検査件数が増えれば、陽性率はかえって減ることになります。昨日の陽性者が100人で検査件数が2000件なら陽性率は5%だけど、今日の陽性者が200人に増えてもその時の検査件数が5000人だったら、陽性率は4%に減りますね。
自治体やマスコミは国民を脅かすために、絶対数だけを発表して、感染が拡大したかどうかを示す陽性率を絶対に言いません。つまり分母を示さないのです。後述しますが、しかるべき資料に当たれば、これはすぐに見つかります。

第3のウソ:PCR検査を受ければ感染したかしないかがわかる
先述の通り、PCR検査で陽性と出ても、新型コロナであるとは限りませんが、それ以外にも、この検査の信頼度を疑わせるに足る専門的知見が出されています。この検査は、検体の部位や種類、感染や発症からの経過日数によって、その感度が大きく異なることが報告されています。一般に日数が経てば経つほどその感度は落ちます。
https://jeaweb.jp/covid/qa/index.html#:~:text=%E6%95%B0%E7%90%86%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB%E3%81%AE%E7%B5%90%E6%9E%9C%E3%80%81%E6%84%9F%E6%9F%93,%E6%84%9F%E5%BA%A6%E3%81%AF62%EF%BC%85%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
だから検査を複数回行なうと、陽性だったのが陰性になったり、その逆の場合も生じます。しかし自治体やマスコミは、真相を言わず、この検査が確実であるかのように喧伝しているのです。

第4のウソ:夏に第2波が来て、第3波もこれから押し寄せる
陽性率が急増しなければ、第何波が来たなどといえないはずです。
厚労省発表のデータから計算すると、第2波が来たと言われた8月の陽性率は、4月と比べると以下のとおりです。
4月ピーク時(4月10日)  13.1%
8月ピーク時(8月7日)   7.8%
8月18日          4.3%
第2波など来なかったことがわかりますね。
では、最近はどうでしょうか。
11月22日         3.6%
なお騒がれている東京、北海道では、同じデータから計算すると、
東京11月23日       6.7%
北海道11月23日      5.6%
で、全国と比べるとやや高めであることがわかりますが、それにしても4月のピーク時と比べれば全然低いことがわかります。
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/?fbclid=IwAR2S54N_qvGv4pvErqYep9pud9caVBH44VsTj9dv0q5nXk8iq4ZnOyHd6xw
いずれにしても、大波が襲ってきたかのような報道はいかにも大袈裟です。この程度の数字で、自粛したり委縮したりする必要があるでしょうか。

第5のウソ:新型コロナは恐ろしい死を招く
それでも、もし重症になったり、死んだりしたら……と不安になるのが人情かもしれません。
しかし上の数字はあくまで陽性率です。陽性率=感染率ではありませんし、またこの感染症が子どもや若者にはほとんどダメージを与えないことはよく知られています。老人で持病のある人たちをたまに重症に追いやることがあるのですね。
そこで、これまで陽性者のうちどれくらいの割合で死者が出ているか、同じデータから、その数を計算してみましょう。
陽性者に対する死亡者の割合は、1.5%、検査件数に対する死亡者は、何と0.05%という低さです。つまり、延べ検査人数1万人当たり5人しか死んでいないのです。
しかもその5人のうち半分は80代以上、4人は70代以上です。
それくらい、どんな病気だって死ぬんじゃないですか。

第6のウソ:新型コロナは、他の病気と比べても猛威を振るう
これはまったくのデタラメです。
ここに2019年の死因別死亡者数を人口10万人当たりで示したデータがあります。
https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20200929-00199953/
悪性新生物   304.2
心疾患     167.9
脳血管疾患    86.1
肺炎       77.2
不慮の事故    31.7
自殺       15.7
肝疾患      14.0
結核       1.7
老衰       98.5
これらの数字と比較すれば、新型コロナの死者が現在2000人ですから、多めに見て年末までに3000人に達するとしても、人口10万人当たり年間で2.38となります。結核といい勝負。いかに少ないかがわかるでしょう。

第7のウソ:マスクはコロナ感染の予防に役立つ
これは日本人のほとんどがいまだに信じているようですね。でもこれも真っ赤なウソです。
よほど密閉度の高い医療用のマスクでなければ、ウィルスはマスクの網の目よりはるかに小さいので、簡単にかつ大量に通り抜けることができます。
新型コロナウイルスは、微粒子(エアロゾル)として空気中を浮遊しますから、マスクはそれを防ぐことができません。
マスクが役立つのは、あなたが感染者だとして、あなた自身が飛沫を飛ばして近距離で他人にうつす危険がある場合だけです。その場合、あなたは他人にうつさないためにマスクをする必要があるでしょう。
つまり、予防には全然役立たないのです。
GIRA BLOGというブログに面白い実験動画が載っています。どうぞ見てください。
https://ameblo.jp/djdjgira/entry-12639325866.html

第8のウソ:三密による感染を防ぐためにソーシャルディスタンスをとるべきだ
このウソはすぐに見抜けますね。なぜって、日本の家屋は狭いので、外出を控えて家に引きこもっていたら、単身世帯でない限り、密接、密着は避けられないからです。家族の誰かがどこかでウイルスをもらってきて、その後学校や会社にも行かず、テレワークしてたら、家族間でたちまちうつってしまうでしょう。
新婚さんなんて、夜の生活我慢するの? それと、道を歩いてるときはみんなマスクしてるのに、喫茶店やレストランや居酒屋では、マスク外してアハハ、オホホとやっています。でもそういう場所でコロナが大発生したなんて話、全然聞きませんよ。これおかしいと思わない人はいないでしょう。
忘れた人がいるかもしれませんが、コロナが流行り始めた頃、自粛要請を振り切って大々的なK-1のイベントが強行されましたね。三密どころか千密でした。でも、あれで感染者が出たという話を聞きません。
このソーシャルディスタンスというヤツが、どれほど町の活気を殺ぎ、あらゆるイベントを中止あるいは縮小に追いやったか、その経済的・文化的損失は計り知れません。健康イデオロギーの支配がいかに私たちの普通の幸せと楽しい生活を求める心を毀損するか、今回の経験でよく知ることができました。
マスクにしろ、ソーシャルディスタンスにしろ、憎まれるのを覚悟で言いますが、こういう意味のない自粛ムードを作り上げる人、盲従する人たち(ほとんどの日本人が該当しますが)は、同調圧力に屈していた方が気が楽なので思考停止して済ませているのだと思います。しかし、大衆社会におけるこういう空気の蔓延が、じつは全体主義の温床なのだということを忘れてはなりません。
お前はどうなんだと言われそうなので、答えておきます。一応外出時はマスクを携行しますが、ひとりの時は、店に入っても電車の中でもマスクをしません。ただし誰か特定の人に会う場面、規則で要請される場面では、いたずらに悶着をおこしたくないので、マスクを着用することにしています。

第9のウソ:コロナに罹っていた人が死亡したらコロナ死
これはあまり知られてないようですが、6月18日に厚労省が、コロナに感染していた人が死亡した場合、他に死因があっても公表せよという通達を自治体に出したのです。結果的に、他の死因で死亡しても、コロナ死者としてカウントされることになってしまいました。
厚労省のこの恣意的な通達の意図は何でしょうか。
もちろん、コロナ禍を重大視したということなのでしょうが、これはおかしいですね。つまり、現在公表されている「コロナ死亡者数」は、水増しされている可能性が大です。上記の計算では、一応厚労省統計を信用して扱ってきましたが、本当は、コロナによる死者はもっと少ないはずです。もしそうなら、疫病としてのコロナ禍を、こんなに大げさに考える必要はさらになかったことになります。

第10のウソ:欧米のコロナ禍は激甚だった。これからも……
確かに日本やアジアに比べて(中国は当てになりませんが)、欧米ではけた違いに死者が多く出ました。
しかし、たとえばアメリカは最大の死者数で、25万人を超えたなどと大騒ぎされましたが、この場合も人口比で計算すると、けっしてダントツなわけではありません。ベルギー、イタリア、スペイン、イギリスなどヨーロッパ諸国、ブラジル、アルゼンチン、メキシコなど中南米諸国などよりも下回っています。
アメリカは大統領選でバイデン陣営の前代未聞の不正が明らかとなり、争いがまだ続いていますが、選挙運動期間中、バイデン陣営はひたすらトランプにコロナの責任を押し付けるばかりで、まるでそれしか言うことがないのかという感じでした。
しかしトランプ大統領は、3兆ドルもの大型予算を組んで対コロナ禍補償策を打ち、経済のV字回復を実現しています。この方向性は間違っていなかったと思います。
また、まるで欧米のコロナ禍がまだまだ続くように思っている人が多いようですが、おおむねどの国も、死者数は5月段階でカーブが水平に近くなり、その後終息に向かっています。
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death.html
それに、ヨーロッパの人々は、日本人ほど大騒ぎせず、みんなクールにふるまっているという話をイギリス帰りの人から聞きました。またスウェーデンでは、重症者対象の治療に特化させており、在住日本人医師も、医療関係者でさえマスクをしていないと言っていました。
欧米諸国の死者数は、100万人中800人前後ですが、これも先ほど示した日本の人口10万人当たりの死因別の表と対照すれば80人くらいとなり、ふだん問題にもされない普通の肺炎死と同じ程度です。
ちなみにヨーロッパ各地では、この秋、政府のロックダウンや社会生活を制限する方針に対する、医師たち専門家を含む反対運動が高まっています(冒頭画像参照)。

以上、パンデミック、パンデミックと騒ぎ立てる日本のマスコミや自治体の強迫神経症ぶりを指摘してきました。2020年のコロナ騒動は、倒産や廃業や失業や自殺者を増やしただけの、じつに愚劣な一幕だった、と過去形で語っておきます。この世界を襲ったメンタルな病気が、来年まで持ち越さないことを切に祈ります。

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前回記事の上久保靖彦説の要約

2020年08月21日 14時11分39秒 | 社会評論
以下に掲げるのは、前回の記事「第2波は来たか」の付録です。前回記事の中で、松田学氏による上久保靖彦教授の説(「日本人はすでに集団免疫が獲得できている」)の紹介動画をURLのみ記載しておきました。
https://www.youtube.com/watch?v=ajWWHBem-r0&fbclid=IwAR2dOCBCY1Wxh_0FL24zS4W1aBaY8birz8cYao-NGR6eHfzCoTDWXmpLh7E
このほど、ある方からこの動画記事の詳しい要約が寄せられました。たいへん正確で遺漏のないものなので、ここにコピペさせていただきます。
なお前回記事の中に、「コロナ感染者が死亡した場合、死因をコロナとせよとの厚労省の通達があったという情報がある」と書かれていますが、そのソースは、この動画記事でした。Q&Aの部分を読むともっと正確な形で出てきます。




上久保靖彦 京都大学大学院教授によるデータ分析から判明した事実

<コロナウイルスとインフルエンザウイルスは逆相関の関係にある(疫学調査の結果)>

 ・インフルエンザが流行すると免疫ができるのでコロナにかかりにくくなる

 ・コロナにかかると逆に免疫物質ができてインフルエンザにかかりにくくなる

 ・日本のインフルエンザ流行曲線をみると、1月のある時点から不自然な減り方(急激な減り方)をしている。
このときに新型コロナウイルスK型が日本に入ったのではないかと思われる。

<新型コロナウイルスはスパイク部分(突起の所)の形によってS型 K型 G型に分けられる>

 ・新型コロナウイルスは、突起の部分で人間の細胞にある受容体と結合して感染するが、この突起の部分が変異して、現在S型、K型、G型の3つがある

 ・日本が新型コロナウイルスとどのように関わってきたか、経緯

  2019年12月~ 
  弱毒性の先祖型であるS型が中国で発生し、日本に入ってくると共に世界に拡散

  2020年1月13日~3月8日
  S型が変異したK型が中国人観光客を介して日本に流入、この時点で集団免疫が成立(人口比率で55%免疫獲得 T細胞免疫)
  台湾やベトナムといった中国の周辺国も日本と似たような状況で死者数が非常に少ない

  ※欧米は2月はじめに中国からの入国を全面規制シャットアウトしているので、K型による集団免疫は獲得できていない

  2020年~
  K型が変異したG型(武漢型が上海で変異したのが欧米型)が襲来。すでに強力なT細胞免疫を獲得していた日本ではT細胞免疫によって武漢型・欧米型共に撃退に成功

  ※欧米はK型が流入しなかったのでT細胞免疫ができていなかった。S型のみでK型の暴露がなかったせいでAED(抗体依存性感染増強)が生じ、G型ウイルスを強化・増強して劇症化・感染拡大を起こしてしまった

  G型が集団免疫獲得に至るには人口比率85%が感染する必要があるが、日本の場合、すでに4月の時点で達成されているものとみられる。

  今後、G型が変異したY型、H型が流行する可能性があるが、獲得したG型の免疫を維持するため、免疫を獲得できている者についてはむしろウイルスに曝され続ける方がよい

<免疫とは、自然免疫と獲得免疫がある。獲得免疫にはT細胞免疫と液性免疫がある>

 ・新型コロナウイルスの免疫で重要なのはT細胞免疫だが、現在行われている検査ではB細胞免疫が評価されているだけ

 ・現在、T細胞免疫の状態を調べる検査キットを開発中

<Q&A>

Q:中国ではS、K、Gと順序良く感染してるにもかかわらず、武漢G型で大爆発したのはなぜか?

A:発生地の武漢にかぎってはS、K、Gが時間差無くほぼ同時に発生。SやKでめんえきを獲得する時間がなかったことによるものと思われる

Q:変異したウイルスは6000種もあるっていうけど?

A:人間の細胞の受容体と結合して取り付くための突起部分の変異が重要で、その突起部分の形がS型、K型、G型の3種あると言う話。Gの後もI型H型と変異は続くが、だいたいH型で終わる。意味のある変異は1年くらいで終わる。

Q:集団免疫戦略(わざとウイルスに曝されて免疫を獲得する)をとったスウェーデンは大失敗だったじゃないか

A:世界のリスクマップをみるとスウェーデンはリスクの高い国なので集団免疫戦略はやるべきではなかった。むしろ、周辺のノルウェーやフィンランドで集団免疫戦略をやるべきだった

Q:コロナウイルスを大量保有した中国人観光客の実測値での検証がないぞ。「正常性バイアス」の議論で経済活動再開最優先主義者の好みに合う説明をしているだけでは?

A:実測値をとることは不可能(実際に当時どれだけウイルスが入ってきてたのかを見るのは不可能)。だからこそデータ見て推計(疫学調査)をおこなっている。批判をするのであれば、データをもってしていただきたい。

Q:こんなに短期間で集団免疫が達成されるはずがない

A:日本についてはK型に曝された期間が長く、集団免疫を獲得するに足る十分な時間があった

Q:抗体検査の陽性率は極めて低い。集団免疫は達成されていないはず

A:新型コロナウイルスの感染を防ぐ主な免疫であるT細胞免疫については検査されておらず、現在調べられているのはB細胞免疫

Q:PCR検査に代わる免疫検査方式を確立すべきじゃないか

A:現在開発中です

Q:BCG説や遺伝などの自然免疫で説明できるのではないか?

A:BCGについてはBCGをうっていても死者が多い国もあれば、BCGをうたなくても死者が少ない国もあるので、BCG説についてはどうか分からん。

Q:陽性でも暴露なら、自身が重症化しない、他者に感染させないのか

A:
感染者数が増えていると言うけれど、正確にはPCR陽性者数です。
集団免疫が達成された現在の日本では、すでに感染して免疫ができている所に再びウイルスがやってきているということ。
なので、免疫細胞が再度侵入してきたウイルスをすぐに駆除するので、自分も重症化しないし、他にうつすこともほとんど考えられない

Q:集団免疫が達成されたはずのいまでも高熱のコロナ患者が発生し、今までに感じたことのない症状がでている

A:
新型コロナの検査では新型コロナしか検出できない。肺炎球菌を培養した検査であれば肺炎球菌が検出される。鼻孔の黄色ブドウ球菌を培養した検査では黄色ブドウ球菌が検出される。
新型コロナが検出されても、発熱などの症状は他の菌やウイルスによるものである可能性がある。
新型コロナに似た症状を起こす細菌やウイルスはたくさんある。

Q:数字を見ると、重症者が再び拡大しているのではないか

A:
6月18日に厚生労働省が各都道府県に「コロナウイルスに感染したことがあり、その後死亡した人については、死因を問わず新型コロナで死亡したとして公表せよ」という連絡が通達されている。
この通達があった後から死亡者数が増えている
たとえ、死因が別の病気によるものだとしても、過去にコロナウイルスにさらされたことがある者については全てコロナで死んだということにされている
注意して見てほしいのが、感染者数の推移とPCR検査数の推移は連動しているが、死亡者数の推移はまったく連動していないというところ

Q:安倍総理はどうして上久保教授による分析結果を国民に語らないのか

A:安倍総理も、菅官房長官も加藤厚労大臣もこれらのことは知っている。ただ、政治力の強い専門家会議の意見の方を尊重しているだけ

Q:後からG型に感染した35%の人は免疫がなかった状態での感染なので、欧米並みに死者が出るはずではないか

A:欧米はAEDで重症化してしまった。欧米で起きていることと日本で起きていることでは全く違う


<2020年7月9日の新型コロナ国内感染状況と他の死因との比較>

 ・2018年の日本の死亡者比較

  交通事故 3532人(人口10万人当たり2.94人)
  インフル 3323人(人口10万人当たり2.77人)
  肺炎  94654人(人口10万人当たり78.88人)
  餅の窒息 1300人(人口10万人当たり1.08人)

  コロナ陽性者数1936人(人口10万人当たり1.61人)
  重篤患者数    31人(人口10万人当たり0.03人)
  コロナ死亡者数 981人(人口10万人当たり0.82人)

 ・年間の世界の死者数:約7千万人

  2月~7月で世界では約3千5百万人の死者数、この内、新型コロナによる死者数は60万人

  例年のインフルエンザによる死者数は50万人~100万人

  日本は半年で新型コロナ関連の死者は約1000人

 ・平成30年厚生労働省による死因の統計(1位~5位の原因で年間約90万人が死亡している)

  1位 癌     年間37万3547人
  2位 心疾患   年間20万8210人
  3位 老衰    年間10万9609人
  4位 脳血管疾患 年間10万8165人
  5位 肺炎    年間9万4654人


<上久保靖彦 京都大学大学院教授による提言>

 ・暴露しただけなのと感染はわけないといけない。正確にPCR検査陽性者数と表現すべき(ウイルスには曝されていても免疫があるので感染はしていないという人でも陽性にはなる)

 ・日本はS型、K型のスパイク変異からしっかりスタートした。スパイクの変異には限りがあるので1年程度で終わる

 ・死者数の43%が院内感染。PCR検査は7割程度の精度で本当は陽性なのに陰性と判定されている人が普通に入院していると感染が広がってしまう

 ・新型コロナ肺炎が原因の死亡者数は約45%で、本当は他の原因で死亡している人が多い。

 ・東京都のコロナ死亡者の平均年齢は79.3歳(男性の平均寿命は79.64歳)他の死因と比較してリスクは低く、普通の生活を営むべし

 ・秋には第二波が来る可能性があるが、欧米のように自粛してしまうとAED(抗体依存性感染増強)でかえって重症者を増やしてしまう可能性がある。集団免疫を達成している日本はむやみな自粛は避けた方がいい

 ・上久保教授によるデータとその解析結果に対し、英語にして世界に発信し、データによる検証を行ってほしい(因みに日本の学会には疫学に関する査読ができる人がいないらしい)

 ・小川栄太郎さんと、日本の免疫学のパイオニアであり権威である順天堂大学の奥村さんが新型コロナについて記者会見をしたところ大手メディアが何故か全く来なかったそうな

 ・順天堂大学の奥村康さん曰く「日本が集団免疫という状態になければ現状を説明できない」と発言

 ・日本の免疫学の権威も上久保教授とおなじ結論に達している

 ・コロナに医療資源を割き過ぎて、診るべき人が診られることなく死亡しているケースが多い、このあたりも考えて

 ・専門家や政治家は利権なのか何なのか、変に合意形成を妨げるのではなく、国民のために真実を言ってほしい

第2波は来たか

2020年08月20日 14時08分30秒 | 社会評論


しつこくしつこくコロナ話題です。

巷では、第2波が来たとか、第2波の最中とか騒がれていますが、本当に第2波は来たのか。
確実に来ました。
おっと申し訳ない。これは疫病・新型コロナ(covid-19)の流行の話ではありませんでした。日本経済の落ち込みの話です。
言うまでもなく第1波は、昨年10月1日の消費増税によるGDPが、年率換算で▲7.1%を記録した時点、そして第2波は、8月17日発表の4月~6月のGDPが年率換算で▲27.8%を記録した時点です。
予想された結果でした。7月~9月はさらに落ち込みが予想されます。コロナ禍が続いているという不安が国民からなくならない限りは。
そして、狂気の殺人集団・財務省に牛耳られた今のだらしない政府では、この経済の落ち込みから回復することはできないでしょう。もちろんどんな野党勢力でも無理です。およそ右から左まで、間違った経済観から抜け出せていないのですから。

すみません。ちゃんと疫病コロナの第2波が来たのかどうかに話を戻しましょう。
使う資料は例によって以下の通り。
●東洋経済ON LINE 新型コロナウイルス 国内感染の状況
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/?fbclid=IwAR2S54N_qvGv4pvErqYep9pud9caVBH44VsTj9dv0q5nXk8iq4ZnOyHd6xw

●都内の最新感染動向
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

初めに、全国版。
PCR検査による陽性者数、検査数、死亡者数、実効再生産数(一人が何人にうつすか)はそれぞれ次のようになっています。
まず当たり前ですが、陽性者数は、検査数によって変わります。検査を増やせば、当然、陽性者の絶対数は増えます。つまり陽性者の絶対数が増えていることだけを発表して、検査数との割合を知らせなければ、その発表はインチキということになります。後述しますが、この間、マスコミは一貫してこのインチキ報道を自ら疑うこともせずに垂れ流し、国民を終わることなき不安に陥れてきました。

そこでインチキ報道から逃れるために、第1波の時のピーク時、8月のピーク時、最新データ、における陽性者数/検査数をそれぞれ見てみましょう。
A(ピーク時4/10)陽性者数    708
B(ピーク時4/10)PCR検査数  5,389
A /B=13.1%
C(8月ピーク時8/7)陽性者数  1,595
D(8月ピーク時8/7)PCR検査数22,698
C/D=7.8%
E(最新データ8/18)陽性者数    904
F(最新データ8/18)PCR検査数 21,130
E/F=4.3%
以上でわかることは、陽性者数/検査数が、第1波の時に比べて激減しているということです。

次に、死亡者数を、ピーク時前後の2週間と直近8月5日~8月18日の2週間で比べてみましょう。
(ピーク時5/8前後の2週間)  278名
(8/5~8/18)          106名
ここ数日、たしかに死亡者がやや増える傾向にありますが、それでも、ピーク時の38%です。
ちなみに、8月に入ってからの熱中症による死者は東京23区だけで103人に上っています。多くは屋内での死者です。
https://www.youtube.com/watch?v=_338Kwc2Zao
コロナを恐れて籠っている老人が冷房をかけずに亡くなってしまったとしたら、シャレにならない話です。おそらく孤独で貧困な境遇の人が多いのでしょう。エアコンがないか、あっても電気代を節約するためにかけなかったのではないでしょうか。熱中症死者もまた、社会問題、政治問題である可能性が大きい。

実効再生産数は、4月3日がピークで、2.27、8月16日時点では、0.86と激減しています。あっという間に感染が広がるこの疫病の性質からして、感染はほぼいきわたったと考えられますから、想定外の変異が起こらない限り、今後もゆるやかに下がり続けるでしょう。
また、年代別死亡者数の割合は、8月12日時点で80代以上が55%70代以上が82%を占めます。80代以上が過半数ということは、ほぼ平均寿命(84歳)と変わらない年齢で亡くなっているわけですから、他の病気による死者と特段の相違がないことを意味します。

では次に東京版。
東京では、陽性者数/検査人数は、ピーク時が4月17日で、206名/329名で、62.6%、8月の陽性者数のピークが8月1日で、472名ですが、検査人数が3539名ですから、13.3%という少なさです。
死亡者数は、ピーク時が5月2日、その前後9日間(4/24~5/11)で102名、8月に入ってから18日までの18日間で9名です。10分の1以下ですね。
連日記者会見を行って今日は「感染者」が200名だの300名だのと、ナントカの一つ覚えのように危機を煽ってきたKY知事は、自分のおひざ元で発表されているこういうたしかな数字情報を1度でも確認したことがあるのか。いや、KY知事はまさにKY(空気を読む)にかけては天才的なお方です。ですから、そんな数字の検証などは無視して、「大事なのは雰囲気づくりよ」と言わんばかりに、「感染者数」だけを発表して、都民や国民をあおり続けているわけなのでしょう。

また実効再生産数は、ピーク時が3.62、最新情報8月16日時点で0.87です。陽性率の東京都データでは、ピーク時が4月11日で31.7%、まあこれは検査人数が極端に少ない頃のものなので、あまり一般化できません。緊急事態宣言解除後は1%代から2%代で推移し、6月下旬から7月にかけてやや上昇しましたが、その後8月13日までずっと6%台、最近では5%台にまで下がっています。陽性率が先に示した陽性者数/検査人数に比べて低いのは、あるピークの日だけでなく、7日間平均値を採っているからでしょう。そして、こちらの方が実態に近いと言えます。
全国版では、検査人数の累計が8月18日時点で1,097,033名、陽性者数の累計が57,366名と出ていますから、陽性率5.2%となり、この間の東京の陽性率とほぼ見合っていると言えるでしょう。

以上、統計的に推定できることをできるだけ正確に記載してきました。これだけでも、コロナの第2波が来ているという俗説は、すこぶる疑わしいことがお分かりいただけると思います。
日本人にとって、コロナはもともと大騒ぎするような話ではなかったのです。

ところで、これまで根拠としてきた統計的前提を覆すような印象を持たれるかもしれませんが、じつはPCR検査というのは、その結果にあまり信用が置けません。理由はいろいろあります。
一つは、この検査の陽性反応はウイルスが体内で曝露したことだけを示すもので、疫病に「感染」したことを示すものではありません。だから陽性反応者の中にあれほど無症状の人が多いのです。そこで、陽性反応が何名出たからと言って、それを「感染者」とするのは間違いです。マスコミは「感染者何名、感染者何名」と騒ぎ立ててきましたが、正しくは「陽性者」と呼ぶべきです。マスコミはそのへんの配慮がまったく足りず、もちろんKY氏もその配慮不足を存分に悪用してきました。
実は筆者自身もメルマガや自身のブログでこの二つを混同して使ったことがあるので、これを機会に訂正してお詫びいたします。
もう一つは、PCR検査は、何も新型コロナウイルスにだけ反応を示すのではなく、旧型コロナによるふつうの風邪、A型、B型インフルエンザ、アデノウイルス、クラミジア、マイコプラズマなどにも反応を示すそうです。そうだとすると、陽性者の中には、新型コロナに反応したのではない人もたくさん含まれる可能性があります。きわめてあり得る想定ですね。ますます陽性者=感染者と決めつけるマスコミは、大罪を犯していることになります。
さらに、PCR検査の精度の問題ですが、これはよく知られているように、100%精確とは言えません。ある時陽性だった人が、次の検査で陰性になったり、逆もあります。これは検査キットや検査方法の精度、その時々のウイルスと体細胞との関わりの仕方、などによるものでしょう。
何ごとであれ、医療技術や科学技術を盲信するのは避けたいものです。

さらに言えば、死因確定にも曖昧さが残ります。死因は医師の診断書によるわけですが、コロナ死亡者とされている人たちは、高齢で基礎疾患の持ち主が多いため、それが悪化して死んだ可能性もあります。志村けんさんの場合などは、もともと仕事や野放図な遊興のために相当体が弱っていたので、必ずしも死因をコロナと特定できない可能性が残ります。これは死因が普通の肺炎とされている場合でも言えることです。
また、厚労省が、コロナ陽性者が亡くなった場合には、死因をコロナとせよという通達を出したという情報もあります。これが事実とすれば、厚労省は流行の事態を重く見過ぎたために、結果的に不安を誘発する情報操作を行ったことになります。あるいは、もし意図的にそういうことをしたのだとすれば、許し難い欺瞞です。
もっと広げて言えば、死因の特定に限らず、検査で陽性とされた人が発熱しているからといって、それがコロナによるものとは断定できないわけです。

次に、マスクの問題ですが、日本人のほとんど全員がたちまちマスクを着用するようになった光景は、まことに不気味なものがあります。マスクは厚労省自身も言っているように、感染者が咳やくしゃみなどによる飛沫を飛ばさないためには有効ですが、健康者がマスクをしても予防効果はありません。
この暑いさなかに、夏休みを早く終わらせて学校に通うようになった子どもたちがマスクをしているのを見ると、何とも無意味でかわいそうに思えてなりません。統計によれば19歳以下で陽性を示したのは、検査人数全体の6%未満に過ぎませんし、軽症者も重症者も死者ももちろんゼロです。未成年の陽性者は、新型コロナによるものではない可能性が大です。
このマスクについては、漫画家の小林よしのり氏が面白い指摘をしています。
https://www.youtube.com/watch?v=lizHEl0ZKQs
コロナウイルスの大きさは、0.1㎛しかないのに、家庭用マスクの網目は10㎛から100㎛なので、大量に網目を通り抜けてしまうというのです。これもマスクすることの無意味を表しています。
また、スウェーデン在住の医師・宮川絢子氏は、スウェーデンでは医師さえマスクをしていないのに、はるかに死者の少ない日本ではなんでマスクをするのか、窮屈でかわいそうだと述べています。
https://www.youtube.com/watch?v=2VAQGJCvKVo&pp=wgIECgIIAQ%3D%3D&feature=push-fr&attr_tag=KyEH2RjgJHsEZMQr%3A6&fbclid=IwAR2DhudaVYn4KSpZtEOSUPLNOD1CB1EookBFHhY6ISwKV66dRXzavHU8u9Q

猫も杓子もマスクをしてソーシャル・ディスタンスとやらを取る、この日本人の強迫神経症的な反応を筆者は少し前の拙稿で全体主義と呼びました。
https://blog.goo.ne.jp/kohamaitsuo/e/0dc6465388521731c8286a8d4ad8eb1f
特にコンサートやスポーツ大会などのイベントで、相次ぐ中止をしたり、観客を半分しか入れないといった措置は、経済の毀損はもとより、文化破壊にもつながるので、ちょっと許しがたいところがあります。ソーシャル・ディスタンスをとるとか、三密を避けるなどをしても、それ自体は何の意味もありません。なぜなら、新型コロナの感染は、飛沫による感染なので、お互い黙っていれば距離を詰めたところでうつるはずがないからです。レストランで複数で食事をしている人を見ていると、ふだんマスクをしていても外さざるを得ませんから、食べながら近距離でおしゃべりをしまくっています。あれあれ、ヤバいんじゃないの? だったら道を黙って歩いている時に何のためにマスクをしているのかな。

この全体主義的空気、どうも嫌だと思っていたら、案の定、自粛警察、マスク警察、東京から実家に帰った人に村八分的な貼り紙をするなどの、最もしてはならない賤しい傾向が出てきました。戦中に、少しでも戦争反対の意思をほのめかすと、一部の国民が自ら進んで「非国民」呼ばわりして袋叩きにしたのと同じです。人間の品性なんて状況次第でいくらでも下劣になる。昔から変わらないものです。

それにつけても驚いたのが、次のようなNHK意識調査の結果です。この調査は、8月8日から3日間、電話で行われ2163人の回答を得たものです。
https://note.com/shinsakuitou4708/n/n1794f24e2c97
新型コロナウイルスへの感染が新たに確認された人が、全国で1000人を超える日が相次いでいます。国が再び緊急事態宣言を出すべきだと思うかどうか聞いたところ、「出すべきだ」が57%、「出す必要はない」が28%でした。
「感染者1000人を超える日が相次いでいる」という前提からして、ひどい印象操作を行っています。これが間違いと情報不足に満ちていることは、これまでの記述で明らかでしょう。NHK自身が事態をまったく誤解しているわけですが、それにそっくり誘導されている回答者もまた、どうしようもありません。何と6割近くが緊急事態宣言の復活に同意しているのです。あれほど経済的ダメージをもたらした自粛要請が復活したら、日本経済は終わりだということに気づこうともしない。大衆とはそんなものさと切り捨てるのは簡単ですが、自粛によってひどいダメージを受けたのが外食産業や観光業だけでなくあらゆる関連産業に及んでいることをつい先ごろ痛感させられたはずなのに、それと結びつけることすら思い及ばない思考停止状態と健忘症。
先ほどの宮川医師も、「いのち、いのちというけれど、経済もいのちです」と静かに述べていました。その通りです。こうして抽象的な「いのち絶対主義」イデオロギーは、自分たちの暮らしをどうしていくかという、誰にとっても切実な具体性のある課題について考えることも蝕んでしまうのです。恐ろしいことです。

いま世界では、欧米先進国が終息状態にあり、南米や南アフリカ、オーストラリアなど南半球の国々(冬であることが関係しているでしょう)やインド、サウジアラビアなど発展途上国で死者が増えつつあります。
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death.html
世界的にはこの先、どうなるかわからない部分を残していますが、日本では、奇跡と言われるほど死者が少ないですね。これはなぜなのかという問いには諸説がありますが、最近、日本はすでに集団免疫が獲得できているという京都大学大学院特別教授・上久保靖彦氏の説が注目を集めています。
https://www.youtube.com/watch?v=ajWWHBem-r0&fbclid=IwAR2dOCBCY1Wxh_0FL24zS4W1aBaY8birz8cYao-NGR6eHfzCoTDWXmpLh7E
これについて、筆者は当否を判断する資格がありませんが、なかなか説得力があります。
いずれにしても、少なくとも日本では、コロナ禍は、大したことのない流行病を過大視して、そのために国民ぐるみ自殺行為に走った愚劣な人災です。おそらく1年後か2年後には、私たち日本人は、きちんとした総括もなされないままに、「あれはいったい何だったのか」という記憶喪失現象の中に置かれるでしょう。ますます没落してゆく経済的・文化的環境に抗うこともできずに。

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女帝・小池百合子のあくなき野望

2020年07月24日 00時27分45秒 | 社会評論


しつこくコロナの話題です。
別にそんなにこだわっているわけではなく、ほかのテーマもあるのですが、向こう(小池都知事)が毎日のようにテレビに顔を出していて目障りですから、この際彼女がどういうインチキな印象操作で、コロナについてのデマを垂れ流しているのかをはっきりさせておきたいと思うのです。
合わせて、この女がこれまで失敗に失敗を重ねてきたにもかかわらず、あくなき権力欲に取りつかれ、民衆がそれに応えて三百三十万票の期待を寄せた、その不死鳥のごとき秘密に迫ってみたい。
といっても、この記事は「小池百合子」ドキュメンタリーではありません。
筆者は彼女の私的人生になど何の関心もありませんし、評判になった石井妙子著『女帝 小池百合子』も読んでおりません。
問題は、彼女の政治活動がきわめて内容空虚なものであり、そのつどの政局や世間の動きを敏感に察知して自分の上昇志向を図るだけのものだということです。
同時に、この特徴こそ、この高度情報社会・大衆社会の時代の全体主義者のあり方をきわめてよくあらわしていると言いたいのです。
彼女はいわば、現代日本女性版「なにがし」として、いま最も危険視しなくてはならない政治家なのです。
混乱を極めた今の時勢もまた、彼女のような空虚なヒロインを求めている風がうかがえます。

前置きが長くなりました。
まず忘れないように、小池都知事が失敗した例の主なものを列挙しておきましょう。
・2017年9月、希望の党代表として野党糾合を目指し自民党に対抗するも、民進党・前原らと折り合わず、野党を混乱させただけに終わった。その綱領は、他党からのパクリが多く、右にも左にもいい顔をするパッチワークのようだった。希望の党は選挙で大敗、11月小池は代表を辞任し、翌年5月解党。
・初めの知事選の時に掲げた「七つのゼロ」公約は、ペット殺処分ゼロ以外、一つも果たせていない。
・築地市場の豊洲移転の方針を二転三転させ、根拠のない理由から1年半延期させ、膨大な経費を費やした。築地跡地再開発計画も全く進展していない。
・東京五輪マラソン札幌実施は、IOCの要求に何の抵抗も示さず、突然札幌市を混乱させた。

まあ、こんなところです。
さて今回のコロナ騒動に際しての小池都知事の態度には、目に余るものがあります。
3月下旬、東京五輪の延期が決定するまで、五輪実現のために、PCR検査実施を極力抑え、
東京ではコロナ感染者がほとんどいないかのような見せかけを作っていました。
ところが五輪延期が決定するや否や、にわかにあたかも日本で突然パンデミックが始まったかのように記者会見を行い、オーバーシュート、ステイホーム、ロックダウンなどの得意の横文字で視聴者をはぐらかし、中央政府を突き上げて、「緊急事態」の雰囲気を作りだしました。
この早業はさすがです。
マスコミは連日感染者数を報告し、トップニュースは来る日も来る日もコロナばかり。
この都知事の変化(へんげ)ぶりが機縁の一つとなって、中央の専門家会議でほどなく全国一律接触8割制限という要請が出されました。
ところが、この8割制限というのは根拠薄弱であったことがいまでは常識となっています。

ここで、新型コロナについての基礎知識を復習しておきます。
①人から人への感染力がきわめて強い
②密室、密集、密接によって感染しやすい
③潜伏期が長い
④高齢者や基礎疾患のある人は重症化しやすい
⑤8割は軽症で回復している
⑥無症状感染者の数が多い
ここでは、④~⑥が大事です。
軽症者と無症状感染者がほとんどであるにもかかわらず、まるで世の中は火がついたように集団ヒステリーに襲われました。
マスコミは、感染者数(陽性者数)が増えた減ったと騒いでいますが、感染者数の変化は、検査件数に依存して変わります。
さらに、PCR検査は打率7割と言われていて、検査サンプルは皮膚の表面だけなので、陽性反応を示しても、ウイルスが内部に侵入していないことがあり、だから陽性になったり陰性になったりするのです。
こういう不完全な検査結果が全国に報道されて、国民は大騒ぎしてきたのです。
このほか、次のことを知っておく必要があるでしょう。

1.欧米の死者数と日本及び東南アジア諸国のそれとを比べると、2桁から3桁の違いがあり、これは生活習慣などでは説明できず、免疫機構の違いに未解明の何かが存在するとしか考えられない。
2.中南米など、死者が上昇している国もあるが、世界全体ではすでに終息に向かっている。
3.欧米では、外出制限を厳しく取っていたのに、死者数はうなぎ上りだったが、スウェーデンでは規制を厳しくしていなかったにもかかわらず、そのカーブの具合は、ほかの国と変わらなかった。
4.発症者から採ったウイルスのサンプルは、8日間以上は培養に耐えなかった。
5.台湾の研究で、100例の確定患者とその濃厚接触者2761人を調べたところ、後に発病したのはわずか22人、すべて確定者患者とは発症前もしくは発症後5日以内に接触した者で、発症後6日以降に接触した者には発病者はゼロだった。
6.2018年のインフルエンザ死者数は3000人以上だったが、この年に今回のような騒ぎには一切ならなかった。
7.普通の肺炎の死者は年間12万人で、これをこの4か月間に換算すると4万人が死んだ計算になるが、これも騒がれたことは一切ない。
8.第2波、第2波と騒がれているが、これには100年前のスペイン風邪の経験を今に引き移しているだけで、何の理論的根拠もない。スペイン風邪は、コロナとはまったく違う特性のウイルスである。

これらの事実は、コロナが感染力だけは猛烈でも、大した病気ではなく、毎年やってくるようなウイルス性の感染症に過ぎないことを示しています。

小池氏が感染者数と検査件数との関係や、死者、重症者が高齢者に特化していることを知らないはずはありません。
それなのに、都知事に再選されてからは頻繁に記者会見に顔を出し、やれ今日は感染者が200人を超えたの、数が更新されたの、20代、30代の感染者が多いのと、ひたすら都民(国民)を煽り続けていますね。
おまけに検査対象を新宿の風俗街やその周辺に特化して、感染者が出やすい地域を狙い撃ちしています。
そして新宿区内で感染者が出たら10万円支給するなどという珍奇な《支援策》を講じています(区長の決定ということになっていますが、知事が関与していないはずはありません)。
そのため金のない若者が陽性になることを覚悟のうえで、わざわざ検査を受けたりもするそうです。
さもありなん、それにしてもひどい施策ですね。
陽性者をお金で買って増やしているわけです。

最近特に、この煽りがひどくなっていますが、これはなぜだと思いますか。

その前に、次のグラフをご覧ください(都内の最新感染動向)


https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

これは、東京都が自ら発表している、陽性者数と検査人数との比を表すグラフです。
横軸は月日、縦軸左目盛は人数、棒グラフの色分けは、下から、PCR検査陽性者数、抗原検査陽性者数(ほんのわずかですので見えにくいですね)、PCR検査陰性者数、抗原検査陰性者数です。
また折れ線グラフは、点線が検査人数(7日間移動平均)、実線が陽性率(右目盛り%)です。
このグラフで注目すべきは、4点あります。
一つは、五輪延期まではほとんど検査をやっていなかったこと、もう一つは、5月7日の緊急宣言延期以降、検査人数を急に増やしていること(といっても1000人前後でたいしたことはありません)、三つめは、都知事選の前後で、検査人数が急激に増え、ピーク時は4500人に達していること、そして最後に、これが最も重要なのですが、最近の陽性者数(感染者数)の検査人数に対する割合が5~6%に過ぎないことです。
ところが小池知事は、毎日の感染者数だけを発表して、マスコミもそれをいちいち大げさにニュースで伝えています。
しかもこの5~6%の感染者数のうち、ほとんどが軽症か無症状で済んでしまうだろうことは、コロナの場合、すでに世界的に認められているのです。
さらに言えば、この間、東京都の死亡者数の推移はどうなっているでしょうか。


https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/?fbclid=IwAR2S54N_qvGv4pvErqYep9pud9caVBH44VsTj9dv0q5nXk8iq4ZnOyHd6xw

ピークは5月2日で15人、一番右は7月20日で1人です。
なぜ今日は死亡者はありませんでした、とか、今日は死亡者は1名、84歳(?)の男性でした、とか正直に言えないのでしょう。

さてみなさん、いかがですか。
これでも、第2波の危険が迫っているとか、緊急事態宣言が再び必要になるかもしれないとか、不要不急の外出は控えた方がいいとか、根拠を持って言えますか?
つまり小池知事は、日本人の生活の存亡(と言っても経済的な面でですが)がかかっている問題に関して、こういう隠蔽と欺瞞と煽動を平然とやりまくっているのです。
ついでですから、もう一つデータをお見せしましょう。
以下は、7月21日における各都道府県の感染者数の分布です(資料元は先と同じ)。



図の、グレーの県は、感染者数がゼロの県です。
これまで岩手県だけが感染者ゼロと言われてきたのに、ご覧のように、宮城県を除く東北全県、新潟、静岡、福井、鳥取、島根、山口、四国全県、大分、宮崎と、17県にもなっています。
「感染者が増えている」という印象だけを国民に植え付け、不安を増大させ、これからまだまだ第2波、第3波がやってきそうだと信じ込ませようとしている、小池都知事は、いったい何をやろうとしているのでしょうか。

国民の多くがひどい経済的な落ち込みで、これからどうやって生きていこうかと悩んでいる時に、さらに別種の不安をますます増大させる――このデマゴーグは、そこにつけ込んで政府を動揺させ、政府の経済回復方針を妨げようとしているのです。
もちろん、いま話題のGO TO トラベルなるアイデアなどは、ばかげ切ったものです。
こんなものは、経済回復に役立つわけがありません。
これはもともと、全国旅行業協会会長を務める二階自民党幹事長が、コロナが問題になり始めた初めに、対策の中に盛り込んでいた利権がらみのトンデモ案の一つです。
本当は、ようやく成立した第二次補正予算をさらに発展させて、もっともっと大規模な国債発行による粗利補償と、消費税ゼロを目指すのでなければ、予想される大恐慌に向き合えるはずがありません。
しかし、いま第二次補正予算を成立させた政権の足元はかなりぐらついています。
その安倍政権の緊急事態解除後の足元に噛みついて、あえて再びコロナ危機を煽ってその政府のコロナ対策方針を変更させることは、中央政界進出を狙う小池氏にとって、小さくはない賭けを意味しているでしょう。
もちろん、権力意識に取りつかれた彼女にとって、国民の経済危機など念頭にないことは明らかです。

ノンフィクション作家の窪田順正氏によれば、二階・石破・小池の三人は、もともと旧新進党時代のトリオとして親密な仲にあるそうです。
https://diamond.jp/articles/-/242608?page=5
安倍政権がガタガタになって自信を無くしている時、政府のコロナ対策にゆさぶりをかけ、二階氏を後見人として一番人気の石破氏を総裁に立てるたくらみではないかというのです。
考えられるシナリオの一つと言えそうですが、いずれにしても、小池百合子というこの全体主義者にとっては、国民も政府も不安と恐怖に攪乱されているいまこそ、自分の権力基盤を固めていく絶好の機会なのです。
初めに書いたように、今一番恐れなくてはならないのは、何度失敗しても恬として恥じないこの緑のタヌキなのです。
皆さん、簡単な統計のトリックに騙されないように、自分で資料を探しましょう。
すぐ見つかります。

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情報全体主義

2020年03月28日 15時20分57秒 | 社会評論


小池東京都知事が23日、新型コロナウイルスの大規模な感染拡大が認められた場合は、首都の封鎖=ロックダウンもあり得るとして、都民に対し、大型イベントの自粛などを改めて求めました。
また25日には、感染が爆発的に拡大する「オーバーシュート」の重大局面との認識を表明しました。
さらに26日には47人が新たに新型コロナウイルスに感染したことが確認されたと発表しました。
小池氏は同日夜、安倍首相と会見、首相に「国の大きな力強い協力が必要だ」と要請しました。
首都圏3県もこれに応じて、ただちに協力体制の表明と自粛要請の指示を出しています。

これ、なんだか変だと思いませんか。

東京五輪の延期決定が24日、小池知事の「ロックダウン」発言はその前日で、もちろん彼女はすでに延期決定を知っていたはずです。
まさに間髪を入れず、というより延期決定をとうに見越して、決定の発表前に先手を打っているわけです。
23日は月曜日でしたが、それまで月曜日は検査実施件数が30件前後だったのに、5週連続で陽性反応はゼロでした。23日には、実施件数77件、陽性反応16件とどちらも急に増えています。
そして24日には、86件中17件、25日には108件中41件、26日に100件中47人、と続きます。
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
こういう邪推はしたくありませんが、五輪が延期になるや否や、「今度の都政の最大テーマはこれ!」と彼女が選んだのではないかと疑いたくなるのは筆者だけでしょうか。
都知事選も近いことですしね。3年前の「希望の党」騒動、2年前の豊洲問題に続いて、ポピュリスト・小池劇場の再来?
それにしても、なぜこの大東京で、月曜日ばかり5週連続陽性ゼロが続いたのでしょうか。
何らかの隠蔽操作があったとかんぐりたくなりませんか?
ちなみに2月半ばから検査実施件数は毎日100件前後行なわれていますが、他の曜日も陽性反応はおおむね一けた台にとどまっています。

この国難の時期に、なぜこんなひねくれたことを言うかというと、「ロックダウン」「感染爆発」「重大局面」「首都封鎖」などのセンセーショナルな言葉が、単に国民の不安を掻き立てるだけの情緒的なものに過ぎず、事態を冷静に見極めたうえで発信されているとは思えないからです。
首都封鎖? 一大首都圏をなしている周辺の自治体との連続性をどのように確保するのか、想像もつきません。
しかも小池知事は、疫病蔓延の危機を訴えるだけで、過剰自粛がもたらすにちがいない経済の激しい落ち込みについては、何ら言及していません。
都の財政面からもあきらかに責任ある発言が伴うべきなのに、それは政府に丸投げの体です。
しかもその政府の「緊急対策」なるものは、すでにその大枠が報じられていますが、後述するように、情けなくなるほど貧しいものです。

未来は誰にも見えないので、予断は控えなくてはなりませんが、それでもあえて言わずにはおれません。
現状を見る限り、わが日本にとって、新型コロナ禍そのものは、そんなに大した危機でしょうか。

では、新型コロナが日本をどれくらい侵襲しているか、詳しく見ていきましょう。
それに先立って、次のような原則を立てておきます。

感染件数は、国や地域によって検査を受信したかどうかが大きく異なるので、当てにならない。
中国の統計は当てにならない。
これはGDPなどあらゆる面でさんざん言われてきたことですが、今回に限って言えば、27日のテレ朝「情報ミヤネヤ」で、武漢に遺骨を取りに来た人たちが大群衆をなしていて、とても全国で3000人クラスの死者にとどまっていたとは思えません。
また最盛期には武漢市内の全火葬場が文字通り火の車で、どのように処理したのかわからないという情報もあります。
③統計がしっかりしている国では、死者数に関してはある程度信用が置ける。
④死者数は絶対数でなく、人口当たりで見なくてはならない。

さて、下のグラフをご覧ください。



出典:札幌医大:https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death.html

このグラフは、1月下旬から3月24日まで、G20 諸国のの新型肺炎による人口100万人当たりの累積死者数を時系列で追いかけたものです。
ちょっと読み取りにくいですが、原本に当たると、ポイントごとにどの時点で何人累積死者が出たかがわかるようになっています。
なおイタリアと共に相当な被害に見舞われているスペインが載っていませんが、これは同じ資料でヨーロッパ篇に当たると、ちょうどイタリアとフランスの真ん中を貫くように急上昇しています。

それで、主要国の100万人当たり死者数を直近(3月24日)で並べてみると、次のようになります。
 イタリア    124.13
 スペイン    73.45
 フランス    20.39
 イギリス    6.22
 アメリカ    3.17
 韓国      2.56
 ドイツ     2.36
 中国      2.29
 カナダ     0.93
 トルコ     0.70
 日本      0.36
 オーストラリア 0.31

何と日本は下から2番目、イタリアの345分の1です。
統計が当てにならないと言った中国でさえ、日本の6倍以上の数字になっています。
しかも以下の記事によれば、イタリアの新型肺炎死者の99%が基礎疾患を抱えており、平均年齢は79.5歳と報告されています。
https://www.sankei.com/world/news/200320/wor2003200050-n1.html
日本では、毎年11万人が肺炎で死に、死因の第4位を占めています。毎日300人が死んでいる計算。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii09/deth8.html
おそらくこの場合も、基礎疾患がある高齢者が多いのでしょう。

次のグラフは、インフルエンザによる死者数(日本)の年次推移です。
https://president.jp/articles/-/33053?page=2



これでわかるように、通常のインフルエンザだけでも、ここ7年間で、毎年平均2000人近くの死者が出ています。
しかしこれまで、インフルエンザが流行しているからというので、これほどの自粛が要請されたという話は聞いたことがありません。
結局、ワクチンができていないという未知の不安がことを大きくしているのでしょう。
それはそれでもっともな話と思います。
それにしても、連日コロナ、コロナで、まるで世界にはそれしか心配事がないかのような集団ヒステリー状態は何とかならないものでしょうか。
筆者は、こういう状況を情報全体主義と呼びたいと思います。

交通事故死者は2019年で3200人、1日10人近く死んでいる計算になります。これでも激減した方で、1970年には17000人、1日46人が死んでいました。
疫病の蔓延とは問題の筋が違うと批判される向きもあるでしょう。
しかし、なぜこういう例をあえて挙げるかというと、人々は、日々の生活のなかでじつに多様な困難や課題と闘っているので、何も新型コロナだけが闘う相手ではないということを示したかったのです。
もちろん、他の例を出すことはいくらでも可能です。

むろん、イタリアやアメリカの現状を見れば、コロナが問題ではないなどと言いたいわけではありません。
しかし、昔から清潔好きで律儀な生活習慣を身につけ、ウチとソトとを明確に分ける文化伝統をもつ日本人のことですから、よく言われているように、手洗いや消毒を励行し、密閉、密集、密接をなるべく避けるようにして、粛々と日々のやるべきことをこなしていけば、大災害に至ることはまずないでしょう。
遅れはしたものの、水際作戦や感染者対策も徐々に進みつつあります。
したがって、次々に続くイベント中止、外出自粛などを、これほど徹底させる必要はほとんどないと筆者は考えます。

さてこうした情報パニックがもたらしている過剰自粛が、経済に計り知れない打撃を与えることは、言うまでもありません。
新型コロナ騒ぎがまだ起きていなかった昨年10~12月のGDPの落ち込みは、▲7.1%という恐ろしいものでした。理由はもちろん、絶対に避けるべきだった消費税の値上げです。
そこに新型コロナによる過剰自粛が追い打ちをかけているわけですが、この分で行くと、1~3月期の落ち込みはさらに2ケタになるのを避けられないでしょう。
ただでさえ25年もデフレ脱却できていない日本経済は、トリプルパンチを食らって回復不能に陥る可能性がきわめて大きい。

政府をはじめとした行政機関は、これだけ自粛を煽ったからには、経済の落ち込みに対する責任を取ってもらわなくてはなりません。
小池都知事にその構想などないことは明らかです。
中央政府はどうか。
ここに25日にヤフーニュースに掲載された、「緊急経済対策」の大枠なるものがあります。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200325-00000223-kyodonews-bus_all&fbclid=IwAR3AfIZolBVOeG_Q3YodKPDnq0-CCjsF7aKMiCdxeNjE9syfsQBbIx82a8w
これには次の項目が列挙されています。

①収入が減少した世帯への現金給付
②企業や個人事業主への特別融資枠拡充
③マイナンバーカードのポイント付与率を倍増
④感染終息後の旅行代金を半額補助
⑤雇用調整助成金の給付率引き上げ

一見して気づくことが二つあります。
この中に消費減税または消費税の凍結と、金額を明記した大規模な国債発行が盛り込まれていないことです。
この二つを盛り込むことで、国民の安心を得られるのは確実なのに、どれもこの二つを避けて、緊縮財政を維持したままでセコイ対策を打とうとしていることは明らかです。
①の現金給付は、収入減少の線引きをどこに引くのか明らかではありません。来年の申告時期まで待つのでしょうか。
②は粗利補償ではなく、融資です。
負債を抱えた中小企業がほとんどなのに、さらに返済が必要な融資を受けるでしょうか。
融資は申請が必要で手続きや時間もかかるので、わざわざ申請してくる企業などまずないでしょう。それを見越してこういう策を立てているに違いありません。
③は倍増されてもその金額は雀の涙。換金手続きも面倒です。
④に至っては、その子供だましの方法に思わず笑ってしまいます。
いつ終息するかもわからないし、旅行などにのんびり出かけるどころではないかもしれない。おまけに半額補助とは!
大事なことは、いま所得の大幅ダウンに苦しんでいる国民をすぐに救済できる手を打つことです。
⑤雇用調整助成金は事業主に対して給付されるものであり、それが各従業員の懐に収まるかどうかは、事業主の意向にかかっています。
しかも給付率引き上げとあるだけで、どれだけなのかさっぱり分かりません。
つまり中央政府は、口先だけで「今までとは根本から発想を転換して」などと息巻いていますが、実際にはほとんどやる気がないと言っても過言ではありません。
総じて、現在進行中の経済危機に対して、その危機感の欠落にはあきれ果てます。

この記事の本文には事業規模の総額56兆円、財政支出は15兆円(これでも少なすぎますが)とありますが、金額の大きさに騙されてはいけません。
先の補正予算の時にも、総額26兆円と謳いながら、半分は民間、残りのうち9.4兆円が国と地方の歳出、3.8兆円が財政投融資で、結局補正予算は、例年と大して変わらない4.3兆円でした。
https://38news.jp/economy/15140
今度も、国民の難局を救うことなど天から考えていない狂人たちによる緊縮路線死守のために、妙なからくりを使ってごまかすに決まっています。

しかし、消費税凍結によって20兆円、最低30兆円の国債発行によって(MMTを学べば、「国の借金」を心配する必要はまったくないことがわかります)、すぐにでも50兆円(GDPの1割)の経済効果が得られます。
消費をしない人はいませんから、10%を支払わなくて済む人は、その分だけ可処分所得が増え、しかもそれは間違いなく消費に使われます。結果、生産者、流通業者をも直接潤すことになるのです。
しかし政府は、間違いを認めたくないというただそれだけの理由から、絶対に消費税に手を付けることをしないでしょう。

コロナ騒動は、こと日本に関する限り、欧米の状況に煽動された政府、有力自治体によるマッチポンプです。
しかしマッチをつけたはいいが、それを適切に消火するだけのポンプの用意がないのです。
コロナ騒動は、1年も経てば、「あの騒ぎはいったい何だったんだ」となるでしょう。
ただし同時にその時、日本経済の悲惨な廃墟を見ることになる……
筆者の悲観的な予想が外れることを祈ります。


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結婚が危ない!

2019年03月07日 17時28分08秒 | 社会評論
厚労省の統計詐欺が国会で問題になっていますが、今回の記事では、厚労省が出しているデータのお世話になるしかありません。
皆さんは、現在、成人男性の四人に一人が一生結婚できないという話をご存知ですか。
この話については、のちほど詳しく述べます。
まず、婚姻件数(婚姻率、人口10万人対)の推移を見てみましょう。



棒グラフが件数(左目盛り)、赤い折れ線が婚姻率(右目盛り)です。
いずれも今世紀に入ってから減少の一途ですね。
少子化が言われてから久しく、すでに若者の絶対数が減っているので、これはある意味では当然でしょう。

では次に離婚件数(離婚率、同前)の推移を見てみましょう。



離婚全盛期には急激に増えていたのに、今世紀に入ってからピークを過ぎて今度はかなりの勢いで減っていることがわかります。
一見、喜ばしいことのように思えますが、これも、そもそも婚姻数が少なくなっているのですから、絶対数も対人口割合も減るのが当然でしょう。ただ、婚姻率の減少に比べれば、離婚率の減少がやや少なくなっていることはたしかです(違うグラフなので、カーブの緩急に惑わされないようにしてください)。
また、ここには掲げませんが、再婚率も少しずつ増えていますので、婚姻している世帯がそんな急激に少なくなっているわけではありません。

ちょっとややこしい話をしますが、どうかお付き合いください。
よくアメリカでは二組に一組が離婚し、日本もそれに近づいて三組に一組(60万組対20万組)が離婚するようになったなどと言われますが、この言い方は正確ではありません。
まるで、これまで結婚していた夫婦の三分の一がみんな離婚してしまう印象を与え、たいへん誤解を招く言い方です。
この3対1という比は、あくまで、ある年の結婚数と離婚数とを並べて比較したものです。
実際には、それまでに離婚しないできた夫婦がたくさんいるわけですから、累積夫婦数に対して離婚する夫婦の割合がどれくらいかを年次別に見なければ、正確な趨勢はわからないのです。
そこで、次のグラフと先の離婚のグラフとを大ざっぱに比べてみましょう。



このグラフで、②③⑤が、ほぼ夫婦数の推移を表していると考えられます(厳密には、⑤の中には、片親二世代と未婚の子どもという形態が含まれますが、これはそんなにいないでしょう)。
平成13年(2001年)の全世帯数が約4500万世帯、そのうち64%弱が夫婦世帯ですから、約2800万世帯、一方、平成25年(2013年)の全世帯数が約5000万世帯、そのうち60%弱が夫婦世帯なので、約2900万世帯となります。
各年の離婚数 対 夫婦数の割合を求めてみると、2001年が約1%、2013年が約0.8%です。
すると、近年の離婚数(率)の減少が夫婦世帯数の増加に反映している可能性があります。

家族を大切に、と思っている人は、なんだ、問題ないじゃないかと感じたかもしれません。
しかし、問題は別にあるのです。

たとえば離婚数の減少の理由は何でしょうか。
これは推測になりますが、貧困家庭が増え、女性の経済力が落ちたために、離婚したくてもできない人が増えたためではないかと思われます。

もう一つの深刻な問題は、やはり少子高齢化です。

出生率には、合計特殊出生率(一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均)と、有配偶出生率(結婚した女性が何人子どもを産んだかの平均)があります。
前者は、年齢を見てもわかる通り、現代では不自然です。
それでも統計の連続性の確保のために、これを使って、減った増えたと一喜一憂しているわけです。
本当は、後者の推移を見て、かつ、晩婚化の傾向とを合わせて、それらが何を意味するかを考えなくてはならないのです。



右目盛りで、結婚している女性は、2.5人くらいは産んでいることになります。
では未婚率のほうを見てみましょう。





この両グラフを見ると、女性では30代後半で24%、男性では、なんと35%の人たちが未婚です。女性も30代前半だと35%近くが未婚なのです。
まず押さえておくべきなのは、日本が欧米と違う大きな点として、婚外子を非常に嫌う傾向があるということです。
子どもを作るなら、ちゃんと法的に婚姻関係を結んで、というのが日本の伝統なのですね。
だからこそ、「できちゃった婚」というのもかなりあるわけです。

そうすると、有配偶出生率がいくら高くても、生まれる子どもの数が少なくなってしまうことは当然だと言えるでしょう。
一つは、晩婚化それ自体のため、もう一つは、高齢出産には危険が伴うので、たくさんは産めないためです。
有配偶出生率のグラフで、一人の女性が2.5人くらい産んでいると言いましたが、これは現代の若い女性ばかりでなく、昔、子どもを産んだ中高年女性も含まれています。
ですから、現代の若い奥さんは、たいてい子どもがいないか、いても一人か二人です。

では、どうしてこんなに急速に晩婚少子化が進んでしまったのでしょうか。
理由はいろいろあるのですが、ここでは特に経済的な理由を強調しておきます。
ほとんどの若者は、将来結婚したいと考えていて、その割合はそんなに減っていません。
ところが所得が低いために結婚できないのです。
特に非正規社員は、正規社員との間に、大きな賃金格差があります(男性)。



そして、両者の間には、未婚率にも大きな差があります(女性の場合は逆転していますが、これは家計の主たる収入を男性に依存することができるためでしょう)。



男性30歳代の非正規社員では、何と四人に三人が結婚できていないことになります。
40歳代でも半分近いですね。

さて、はじめに「成人男性の四人に一人が一生結婚できない」と言いました。
一生結婚できないのかどうか、それはわかりませんが、統計上は、50代まで一度も結婚したことのない人の率を「生涯未婚率」と呼ぶことになっています。
データで示しましょう。



ご覧のように、男性の「生涯未婚率」はうなぎ上りで、2015年にはついに23.4%に達したのです。

しかし考えてみれば、「生涯未婚率」とは、ふざけた言葉ですね。
いまや平均寿命は男性でも80歳に近づき、人生100年時代とさえ言われています。
本気になれば、50歳を超えても結婚のチャンスはいくらでもあります。
一生涯結婚できないかどうか、それは50歳を超えてみなければわからないのです。
これもまた、合計特殊出生率と同じで、昔の感覚で概念を決めているのですね。
ですから、初めの「成人男性の四人に一人が一生結婚できない」という文句は、ちょっとショックを与えようと思ってわざと書いたので、本当はそんなことはありません。
50歳以上の未婚の方、どうもすみませんでした。

ただ、未婚化・少子化が今後も進むことは明らかなので、結婚したいなら、積極的に「婚活」しなくてはなりません。
しかし個人の婚活努力など実を結ぶかどうか、ほとんど当てになりません。
本当は、結婚できるだけの経済的余裕をみんなが持てるような社会にしなくてはならないのです。
そういう社会にすることを阻んでいるのは、言うまでもなく、安倍政権の緊縮財政です。

少子高齢社会の問題点はいくつもありますが、何と言っても、数少なくなってゆく現役世代が、当分生き残るであろう高齢世代を、細腕で支えていかなくてはならないという点です。
その意味でも、私たちは、一刻も早く、緊縮財政の過ちを改めさせるように、働きかけていかなくてはならないのです。

先に、全世帯数が増えていることを示しましたが、これは、単身者世帯が増えていることと、子どもが自立したのちの高齢者夫婦が増えていることが主な理由です。
そして、単身者世帯の増加も、若者が実家から自立したというのではなく、独り暮らしの高齢者(特に女性)が増えているためです。
高齢者(65歳以上)世帯のものすごい増え方を見てください。



グラフから上に述べたことが読み取れると思います。
この人たちは、多く年金暮らしや生活保護を強いられており、低所得者層に属するはずです。

安倍政権は、その社会保障費も削減する政策を取っています。
財務省が国債償還という、不必要な、何のためにもならない財政政策のために巨額のお金を使い、社会保障費を削っているためです(藤井聡氏の記事https://38news.jp/economy/13285参照)。
消費税の増税分は全額社会保障に回すという真っ赤なウソを平然とつきながら。
繰り返しますが、私たちは、この緊縮財政というとんでもない悪政をやめさせるよう、あらゆる手段を使って、政治に働きかけなくてはなりません。


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・消費増税に関するフェイクニュースを許すな
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・先生は「働き方改革」の視野の外
https://38news.jp/economy/12617
・水道民営化に見る安倍政権の正体
https://38news.jp/economy/12751
・みぎひだりで政治を判断する時代の終わり
https://38news.jp/default/12904
・急激な格差社会化が進んだ平成時代
https://38news.jp/economy/12983
・給料が上がらない理由
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・「自由」は価値ではない
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いま、日本の公教育で何が問題か

2018年11月04日 00時40分40秒 | 社会評論


いま日本の公教育で、真っ先に為すべきことは二つあります。
一つは、教師の過重負担をなくすこと、もう一つは、全国の小中学校にエアコンを設置することです。

日本の小、中学校の先生の労働時間は世界でも突出して長く、小学校教諭の33%、中学校教諭の57%が残業時間80時間を超えています
これは「過労死ライン」を上回っています
先生の多忙というと、平教員の忙しさをイメージしがちですが(それももちろんあるのですが)、なかでも多忙を極めるのは、副校長、教頭で、調査報告書の作成、休んだ教諭のフォロー、会計業務などあまりの激務に疲れ果て、教諭への降格を願い出るケースが跡を絶ちません。

小中学校教師の忙しさは今に始まったことではなく、昔から部活の顧問として土日・夏休み返上で駆り出されるとか、テストの採点は家に持ち帰って深夜までとか、年間いくつもある学校行事の指導とか、たいして意味のない研修会への参加強制とか、問題生徒の管理監督やいじめ防止への配慮などなど、とにかく息つく暇もないようです。
ところが、世間の視線は意外とこうした実態に対して冷ややかで無関心です。それはなぜでしょうか。

第一に、教師は公務員で、給与もそこそこ高く安定しているという点が挙げられます。
世の中にはもっと貧しい人やきつい仕事に耐えている人がいる、贅沢な悩みだといったルサンチマンに根差すまなざしを受けやすいのですね。
ことにデフレ下の今日では、こうした声が高まっていると思われます。
しかしある職業が所得面や雇用面で安定しているという事実と、その職に固有のきつさがあるという問題とは別です。
教師のきつさとは、授業をこなすという本業のほかに、生活指導や文書作成などの一般事務や部活動顧問など、本来の職務ではない仕事で埋め尽くされることからくるストレスなのです。
いわば多種の肉体労働と神経労働がどっと重なってきて、それを毎日捌かなくてはならないところに、このストレスの原因があります。

第二に、教師という職業に対する世間の期待過剰があります。
どの親にとってもかけがえのない子どもの教育と生活をあずかるのですから、教師が大切な仕事であることは確かです。
しかし教師も能力や包容力に限界のあるただの人間です。
何もかも教師に背負わせて、ちょっと学校で問題が起きると、担任の責任、校長の責任と大げさに騒ぎ立てる風潮を改めなくてはなりません。

大事なことは、今の学校に何ができて何ができないか、一人の教師の職分と管轄範囲はどれくらいかということをはっきりさせて、その認識をみんなができるだけ共有することです。
ちなみに、教員志望者は年々減少の一途をたどっています。
また教員志望者の中でさえ、こんなに忙しい日本の教員にはなりたくないと思う人が6割を超えているというデータもあります。

小中学校の教師の残業時間が他の職業に比べて一番多いというのも、統計上明らかになっています。
しかも、1971年に決められた給特法という悪法がいまだに改正されていません。
これは、教師の場合は地方方公務員の基本給に4%を上積みするというものです。
月給25万円の教師なら、プラス1万円ということですね。
過労死ラインを超えるほど残業しても、残業手当はまったくつかず、1万円もらえるだけです。
もう半世紀近くもこの状態で、事態は悪化するばかりなのです。

これでは教員志望者が激減するのも当然ですね。
すると教員の質も低下します。
これも当然です。
この事実を差し置いて、日本の教育がどうのこうのと高みに立った議論するのは、意味がありません。

ではどうして日本の小中学校教師はこんなに忙しいのでしょうか。
最大の理由は、国が教育にお金をかけていないからです。
日本の公教育支出は、GDPの3.5%で、OECD諸国の中で、6年連続で最低なのです。
日本人の多くは、教育が大事だ、教育が大事だと口癖のように言います。
でも、もし本当に教育が大事だと考えているなら、まずはこの恐ろしく貧困な教育投資の実態を何とかしなければなりません。
そして投資をどこに差し向けるか。
もちろん、まずは人材投資です。
教師の数を増やすだけではなく、前述のような教師本来の仕事ではない部分を担える人材を雇用して、先生が余裕をもって本業に専念できるような環境を整備すること。

物理的な意味での環境整備も非常に大切です。
前にも書きましたが、公立小中学校のエアコン設置率はようやく五割弱です。
それも地域間格差が激しく、首都東京は100%ですが、暑いはずの九州では二割に満たない自治体もたくさんあります。
今年の猛暑は夏休み前からやってきました。
来年もその次も、近年の気候変動を考えれば、ずっと続くでしょう。
大人たちが冷暖房の効いたオフィスで仕事をしているのに、子どもたちに毎日こんなかわいそうな目に遭わせてよいのでしょうか。

文科省は二流官庁ですから、予算が十分に取れない苦しさもあるでしょう。
緊縮財政にひたすら固執している財務官僚は、日本の将来を担う世代のことなどに関心がなく、文科省の管轄事項を、それが火急の課題ではないという理由で、無意識に蔑んでいるのだと思います。
いま公立の小中学校教育に投資するとしたらどこにお金を使うべきか。
小3から英語教育を、など、百害あって一利なしの施策にではありません。
基礎学力を徹底させるために、ゆとりある人的物的環境を整えることに集中させるべきなのです。


*参考:由紀草一の一読三陳
https://blog.goo.ne.jp/y-soichi_2011


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今こそ英語教育の大転換を

2018年06月11日 16時10分52秒 | 社会評論


日本人の英語能力が他のアジア諸国に比べて極めて劣っている事実は、しばしば問題になります。
しかしそのこと自体を恥じる必要はありません。
アジア諸国はずっと欧米諸国の植民地でしたから、公の場面で現地語を使うことが許されず、欧米語(特に英語)の使用を強制されたのです。

また、そもそも日本語は、その文法構造が欧米語とまったく異なっています。
ドイツ人やフランス人が英語を習得するのとは、その難易度の差に雲泥の相違があります。
日本はむしろ、その地政学的な好条件も手伝って、長きにわたる文化的・経済的独立性の維持を可能としてきました。
その結果、欧米列強による言葉の侵略から免れ、自国語による近代化に成功したのです。

東南アジアの人たちの中には、この事実を羨ましがり、日本にあこがれを抱く人がたくさんいます。
先ごろ92歳で首相再選を果たしたマレーシアのマハティール氏は、今から37年前に首相に就任した時、日本の高度な近代産業の達成の秘密がその勤勉精神とチームワークの緊密さにあることを見抜き、「Look East」の掛け声の下、日本に学ぶことを提唱したのです。

さて、日本の最近の体たらくを見ていると、そう己惚れてばかりもいられなくなりました。
日本人の英語能力の低さには、それなりの理由があり、それがかえって自国の発展のためには利点としてはたらいたとしても、やはり近年の国際関係の変化に向き合うとき、もっと英語能力の向上が図られるべきだということは否定できないように思われます。
しかし、どのような意味で、またどのような仕方でそれが図られるべきかについては、大いに議論がわかれます。

先ごろ、必要があって言語社会学者・鈴木孝夫氏の『日本人はなぜ英語ができないか』(岩波新書・1999年)を読みました。
20年近く前の本ですが、ここに書かれていることは、今でも深い共感を呼び起こします。
この本の最も重要な主張を要約すると次の通り。

日本は明治期までの弱小国から戦後の高度成長期を経てGDP世界第二位(当時)の超大国になったのだから、英語教育の方法を根本から改めなくてはならない。
幕末から明治にかけて、日本では西洋文明の圧倒的な力の前に、これを吸収・咀嚼することに懸命な努力を注いできた。
そうした状況下では、西洋各国の技術や文化や生活スタイルを自分の身に合わせるという受け身的な方法によって果たされるほかはなかった。
英語教育もその例外ではない。
それはそれで近代化に貢献したのだから当然である。

しかし欧米列強に対して弱小国であった時代に身につけたこの習慣は、大国になってもずっと残り続けた。
今でも中学・高校・大学の英語教育の中身は、単なる国際通用語としての英語を学習させるのではなく、同時にイギリスやアメリカの文化様式を習得させようとしている。
それは教科書の内容によく表れている。
そこには、大国としての矜持は見られず、相変わらず西洋に対する憧れとコンプレックスが拭いがたくまとわりついている。

大国にふさわしい英語教育とは、自国の文化を国際発信できるように、日本の生活や文化や歴史を主題として取り上げて、それを英語で発信できるようにすることである。
これなら、身近な話題、よく知っている話題を英語に直すという自然な形が取れるので、学習者にとっても関心を呼びやすいだろう。
また、日本を知りたいと思う外国人に、それを英語で知らせることができ、「黙っているので何を考えているのかわからない」というよく聞かれる日本人に対する悪評も払拭できる。

そのためには、日本語を各国語に翻訳する作業の体制(たとえば和英辞典の充実)を確立させることがまず必要である。
後進国(文化植民地)として英独仏のトロイカ方式に特化した外国語教育を施す時代はもう終わったのである。


だいたい以上のようなことが書かれているのですが、この主張にはもう一つ副産物があります。
長年にわたる西洋かぶれの結果、日本人は自国の文化や歴史について深く知ろうとしなくなってしまいました。
これまで日本人はその事実を知っていながら、見て見ないふりを決め込んできました。
日本人の生活スタイルや文化や歴史を英語で表現するような教育を浸透させるなら、こうした困った事態を克服するためのきっかけになります
英語で自国のことを表現しなければならないという風に日本の英語教育が変われば、学ぶ意欲のある学生たちなら、日本についての自分たちの無知を乗り越えようとして、自国のことについても必死に勉強するようになるでしょう。
英語に超堪能な鈴木氏ですら、若い頃、トルコの教授に幕末維新のことを聞かれて、よく知っているはずの参勤交代、外様、関所、駕籠などという言葉がうまく説明できずに困ったことがあるそうです。

外国人に自国のことを説明できないのは、実際にそういう場面に直面した立場の人にとっては、やはり恥ずかしいことです。
それだけではなく、世界には、自国の国益や考え方を強引に押し付けて来る国もあれば、一方では、「奇跡の近代化」を成し遂げた日本に学びたいとする国もたくさんあります。
これらに適切に対処するには、まず何よりも、日本人が自国の文化伝統に自信を持ち、認識を深め、その上でそれをきちんと説明する必要があります。
国際舞台で大国にふさわしい主張と責任を果たすためにも、日本人は、「われわれは自国の文化伝統にもとづいて、このようにする、このように考える」と、はっきり表明できなくてはなりません。
そうでないと、強引に膨張を続ける国や反日を叫び続ける国に押しまくられて、政治的にもビジネス的にも負けてしまうでしょう。

この場合の外国人とは、欧米人だけを指すのではありません。
かつてイギリスやアメリカの植民地だったアジア、アフリカ諸国、カナダ、オーストラリアなどは、否応なく英語を公用語としてきました。
こうした国々とのコミュニケーションは、近年ますます重要視されてきています。
その場合、ネイティブスピーカーの英語や異文化理解のための英語ではなく、国際通用語としての英語を用いざるを得ません。
鈴木氏の強調するのも、そうした発信型の英語です。

しかし文科省を初めとした英語教育の基本方針は旧態依然たるもので、鈴木氏の提言が活かされたようには見えません。
現在の義務教育、準義務教育、大学の教養課程における英語教育は、その内容がただネイティブの猿真似をやっているだけで、鈴木氏の説くような、日本人の生活に即した語彙、主題、よく知っている事実(たとえば日本で起きた事件、日本人が成し遂げた偉業)などを取り上げるようなものではありません。
相変わらず、国際理解と称して、とにかく異文化理解を深めようという精神でやっているのです。
これではいつまでたっても、英語に対する関心が刺激されず、結果として日本人の英語能力は上達しないでしょう。

ただし、鈴木氏の提言は、上記のように、実際に英語を使わなければならない立場にある人たち向けのものです。
ここを読み違えてはなりません。
英語と関係のない仕事に就いている人や国内の人間関係に取り巻かれている人にとって、高度な英語の習得は、いままでどおり、別に必要のないものです。

文科省は、「グローバル時代に乗り遅れないように」などと称して、英語教育の低年齢化を実施しつつあります。
しかしこれは、次の点で、まったく見当はずれです。

①ほとんどの日本人は英語を使う職業などに就かないのだから、早期義務教育ですべての子どもに英語教育を強いることには意味がない。
②早い時期から英語教育を義務化すると、語学の苦手な子は、日常生活に関係がないので、かえって英語嫌いになり、得意な子との間に格差や差別関係を生むもとになる。
③現在の公教育における英語教育は、「使える英語」という名目の下に、文法学習をおろそかにして会話中心にシフトしている。しかし日本で生活していて、大勢の生徒を対象とした週数時間程度の授業で会話力が身につくはずがない。基礎学力の習得も阻害されるので、あぶはち取らずである。

鈴木氏が『日本人はなぜ英語ができないか』を書いたのは、まだ日本の経済力が世界に大きな存在感を示している時期でした。
それから20年近く経って、政治、ことに経済政策の拙劣さのために、いまや日本はいろいろな意味で先進国から発展途上国の地位に転落しつつあります。
大方の日本人はこのことに気づかず、見かけの図体のデカさに惑わされて太平楽を決め込んでいるようです。
しかしもう十年もすれば、そのことが誰の目にも歴然とするでしょう。
そうなってからではもう遅い。
日本の生活文化、伝統、歴史の紹介を、国際通用語によって本気で行わなければ、日本は没落を早めるだけです。
危険水域にある今だからこそ、鈴木氏の提言が活かされるべきなのです。

国家的事業か法的正義か

2018年03月13日 18時45分02秒 | 社会評論


 「これが談合といわれるなら、もうリニアには手を出しづらくなる。大成と鹿島が徹底抗戦したくなる気持ちは分かる」。リニア工事を受注した準大手のゼネコン関係者は、戸惑いを隠せない様子で語る。別のゼネコン関係者は「JR東海は積算や設計をゼネコンに手伝わせていた。工法の研究対象が重ならないよう情報交換をしてもいけないのか」と嘆いた。(中略)
 一方、検察幹部の一人は立件の意義をこう強調した。「9兆円の国家事業でなれ合いをしていたことが信じられない。こんなことをしていたら社会が腐り、日本企業の競争力が損なわれてしまう」

(以上、産経ニュース2018.3.2)

両者は完全に対立しています。
談合(話し合い)はなぜいけないのでしょうか。
しかも記事によれば、この場合は受注業者決定のための談合ではなく、工法の研究対象が重ならないための情報交換を月に一度行っていたというにすぎません。

3月3日付のヤフーニュースによれば、容疑を否認している大成建設は、ガサ入れの前に技術関連資料を移動させており、これが検察の目に証拠隠滅と映ったようです。
再捜査を受けた時に、大成側は、秘匿義務のある技術資料だったと弁明しています。
一方、検察は役職員を社長室に呼び出したうえ「ふざけるな!」と怒鳴りつけたそうです。
またある検察幹部は、「われわれが技術資料を漏らすわけがなく、証拠を移す理由にはならない」と決めつけたそうです。
しかし先の検察の言い分のうち、「社会が腐り」というのは抽象的で意味不明です。
すると、言い分の根拠は、「企業の競争力が損なわれる」という一点にあるようです。
完全な競争至上主義ですね。

最近の傾向として、公取委や検察は、以前まで定着していた指名競争入札さえも違法視するようになってきました。
一般競争入札という単なる形式的な純粋性を守ろうとして、それに抵触するものは、何でも切り捨てようとする硬直した思想。
ここには、取り締まる官庁の融通性のなさと、ヨーイドンの競争こそ最高善だとするアメリカ式新自由主義のイデオロギーとが重なり合っています。

指名競争入札には、ある特定の事業に対して経験豊富で投資力も十分な企業に参加者を絞ることで、公共事業を迅速かつ円滑に進められるという大きなメリットがあるのです。
もちろんデメリットが皆無とは言いませんが。

また上記産経記事では、検察幹部が「「9兆円の国家事業でなれ合いをしていたことが信じられない」などと子どもみたいなことを言っていますが、リニア新幹線のような巨大な事業であればあるほど、受注企業間の緊密な連絡や話し合いの機会が必要になってくるはず。
日本列島全体の経済成長に結びつくこの事業に、せっかく大手ゼネコンが協力し合って取り組んでいるさなか、幼稚な正義感をタテに口ばしをはさんで協力関係を分断する。
このほうがよっぽど信じられません。
検察は、現場の具体的な事情をどこまで知った上でこうした挙に出ているのでしょうか。

2017年4月、公取委は、東日本大震災後の農地復旧工事を舞台にした談合疑惑で、工事を発注した農水省東北農政局と、ゼネコン約二十社を立ち入り検査しました。
これも信じられない摘発です。
災害で荒廃してしまった農地は、被害に遭った農家の方々のために一刻も早く復旧させなくてはなりません。
工事を少しでも遅らせることは絶対禁物。
早く的確に着工にこぎつけるために、談合によって現地事情に詳しい適切な業者を絞り込む必要があります。
そういう「話し合い」解決がただ法律の文言に多少抵触するからといって、どうして「法の正義」を振りかざす必要があるのか
この場合も、現地の事情を何も考えない取り締まり官庁のリゴリスティックな競争至上主義が見事に露呈しています。

2017年12月、スパコン開発の第一人者、齋藤元章さんが逮捕されました。
逮捕容疑は、技術開発助成金を得るのに、報告書を他の研究目的に書き換えて四億円程度の水増し請求をしたというもの。
この件はこのブログでも一度取り上げました。
https://blog.goo.ne.jp/kohamaitsuo/e/4f822dc62138f6d7e46b7d39cbfd7ca8
政府はとかく技術開発投資をケチります。
ですから、助成金を得るために、報告書を他の研究目的に書き換える程度のことは日常茶飯事なのです。
取り組んでいる仕事の重要性に鑑みれば、注意勧告して書き直させれば済む話でしょう。
第一、まだ請求の段階で、どうして検察が水増しであることを知ることができたのか
齋藤さんはアクの強い方のようですから、内部に「敵」がいてチクられたのかもしれません。

このように一連の流れを見てきますと、最近の取り締まり官庁は、国家や国民生活にとって重大な意味を持つ事業に次々に水を差して、純粋正義派お坊ちゃま君を演じているという按配です。
物事の優先順位を完全にはき違えているのです。
ここには、日本国民のために仕事をするという、公共精神のかけらも見当たりません
また、摘発するにも、現場の事情を斟酌するさじ加減というものがあることをまるでわきまえていません。
秀才の大きな欠陥と言うべきです。
この純粋お坊ちゃまの振る舞いが、ただの正義派を演じているだけならば、まだしも許せる部分がないではない。
しかしその背後には、こうした正義派ぶりを利用して、日本の高度な技術を盗んで国力を貶めようと企んでいる某勢力(複数)の影がちらつきます。
よく指摘されるように、日本はスパイ天国です。
こう考えると、先の検察幹部の「われわれが技術資料を漏らすわけがない」という言葉も信用がおけなくなってくるのです。

このぶんでは、世界で唯一の建設候補地として北上山地に指定されている国際リニアコライダー(高速線型加速器を内蔵した研究施設)も、予算がどうのと言ってまごまごしているうちに、さまざまな邪魔が入っておぼつかない状態となり、中国あたりに取られてしまうかもしれません。
日本の内部崩壊の危機を何とかしなければなりません。
課題は山積しています。


【小浜逸郎からのお知らせ】
●『福沢諭吉 しなやかな日本精神』(仮)を脱稿しました。
出版社の都合により、刊行は5月になります。
中身については自信を持っていますので(笑)、どうぞご期待ください。
●『表現者』75号「誤解された思想家たち第28回──吉田松陰」
●『表現者』76号「同第29回──福沢諭吉」
●月刊誌『正論』2月号「日本メーカー不祥事は企業だけが悪いか」
●月刊誌『Voice』3月号「西部邁氏追悼」
●『表現者クライテリオン』第2号「『非行』としての保守――西部邁氏追悼」
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バニラ・エア問題を冷静に考えてみる

2017年07月01日 20時31分26秒 | 社会評論
        





6月5日、奄美空港で、関西空港に向かう超格安航空バニラ・エアの搭乗の際、下半身不随の障害を持つ木島英登さんが、車椅子ごと同行者に担いでもらってタラップを昇ろうとした時、バニラ・エアーのスタッフから止められたため、腕の力でタラップを這い上りました。これに対してもスタッフは制止したそうですが、木島さんはそれにかまわず昇ったそうです。 バニラ・エアは、「不快にさせた」と謝罪し、今後車椅子でも搭乗できるように設備を整えると発表したとのこと。

私はこのニュースを、たまたま6月28日の夕方、カーラジオを通してNHKの報道番組で知りました。その時は、アナウンサーを含めNHKに出演していた三人が、障碍者差別解消法などを持ち出して、バニラ・エアを総攻撃するような調子でした。
ただし、車いすで搭乗する場合は前もって連絡することになっているというバニラ・エア側の言い分については一応報じていたように記憶しています。
私は現場のやりとりなどを直接見たわけではありませんので、その時は明確な感想を抱いたわけではありませんが、何となく事の成り行きについて、NHK出演者の発言だけでは割り切れない違和感を抱きました。

さてこれを書いているのは、7月1日の深夜ですが、この二、三日の間に、このネタ、だいぶ炎上しているようですね。
テレビ局でも取り上げられ、木島さんご本人も出演しているようです。
FBを通して以下のメルマガを読みました。個人的な印象では、かなり信頼のおける記事です。
http://netgeek.biz/archives/98767

この記事によると、木島さんは、事前連絡が必要なことを知っていたらしい。しかも過去に四回も事前連絡なしで搭乗拒否された経験を持ち、「面倒くさいから連絡しない」と豪語していたそうです。
また木島さんは、自分が「プロ障害者」であると認めているとのこと。

厄介な問題ですね。

ところで、御存じない方も多いと思いますので、お伝えしておきます。
不肖私は、18年前に『「弱者」とはだれか』(PHP新書)という本を書いて、いわゆる「社会的弱者」と呼ばれる人々の一部が、弱者であることを特権として利用している問題を批判的に取り上げました。
この人のように、迷惑をかけながら名前を売ってビジネスにつなげるというのは困ったものだと、当時から感じていたからです。
これを組織的にやってきたのが、一部の団体です。それについても詳しく書き込んでおきました。
また、乙武洋匡氏の『五体不満足』(講談社)についても、そのいいところは認めつつも、おおむね批判的に論説いたしました。
しかし一方では、これらの人々を批判するだけではなく、特権を特権として受け入れてしまう側にも問題があるということも指摘したつもりです。
「弱者」という記号を振りかざして理不尽な要求がなされたときに、その「権威」に怯えて、きちんと反論せずに要求に従ってしまう「事なかれ主義」はおかしい、と。



問題は変わっていないようですね。それどころか最近では、欧米における過剰な「人権」尊重によるPC(ポリティカル・コレクトネス)のように、その窮屈さ、硬直ぶりは深まっているように思われます。日本もその波を大いにかぶっていますね。

異種の人々どうしのトラブルはなるべくないほうがいい。それは誰もが認める所でしょう。
では、社会的にカテゴライズされた人々とその「しるし」を持たない人々との間のバリアをできるだけ低くするには、どうすればいいか。
何かと言えば「人権、人権」と騒ぎ立てる人や団体が力を持った時、PCのような政治的な建前による意思決定でこの解決を図ろうとするのはよい方法ではありません。なぜなら、人々の現実の生というものは、たとえカテゴライズされていなくても、ひどい被害に遭っていることがありうるし、逆にカテゴライズされていても、何の被害感覚も感じていないことがありうるからです。
政治的な建前の言葉は、けっして人間の生の複雑多様な局面を覆い尽くすことができません。
そのため、政治的な建前が過剰にはたらくと、必ず、これに対して表ざたにできない不満や怨念の感情が蓄積してゆきます。

こうした問題を少しでも軽くするには、次の心構えが大切と思われます。

①各人が日常生活上で接触体験を深め、「慣れと親しみ」の関係が自然にできるようにすること。
②「弱者」と呼ばれる人々の多様性を、できるだけ個々の現実に即して理解すること。障害者の場合ならば、どこが不便でどういうサポートや技術が要請されるかを、なるべく多くの人がクールに認識すること。
感情的対応は、正負いずれの場合にも、何も解決を導きません。

ちなみに私は、大学で乙武洋匡氏の『五体不満足』(完全版)を読ませて感想を書かせていますが、批判すべきところを探せと事前に言い渡してあるにもかかわらず、素朴に感動してしまう学生が多くて、毎年やれやれと感じています。大学のレベルの問題もあるのですが(笑)。