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栽培困難な食用キノコ「アンズタケ」人工培養に成功 信大農学部

2014年01月09日 | きのこ ゼミ 情報メール ニュース関連
 信州大農学部(上伊那郡南箕輪村)の山田明義准教授(44)=菌類生態学=の研究室が、アンズのような香りが特徴のキノコ「アンズタケ」の人工培養実験をし、小さな株を育てることに成功した。欧米では人気のある食用キノコだが、シイタケなど人工栽培されている他のキノコと違い内部にバクテリアが共生しており、栽培は難しいとされる。山田准教授らは、キノコになる前に木の根元に菌が集まって白っぽい状態の「シロ」からアンズタケの菌を取り出して純粋培養した。

 実験では、電子部品製造のKOA(伊那市)が信大との共同研究のために上伊那郡箕輪町に設けている研究室を利用。製品の品質試験用の「人工気象器」で温度や湿度を管理しながら培養している。山田准教授によると、アンズタケの人工栽培が論文などで発表されたのは世界でもまだ数例という。「産学連携の成果」と評価している。

 山田准教授によると、アンズタケは県内でも広葉樹や針葉樹の林に生える。明治初期に諏訪地方で採取され、標本として登録。キイロタケ、ミカンダケなどと呼ぶ地方もあるが、諏訪で呼ばれていたアンズタケが和名になった。「多くのキノコを食べているがかなりおいしい」(山田准教授)といい、パスタ、油炒めなどいろいろな料理に合うという。

 同准教授の研究室は、マツタケやホンシメジなど樹木と共生する「菌根性」のキノコの人工栽培を主に研究。アンズタケもその一環で、県内などで採れた株を使って実験を始めた。組織を切り取って培養するのが一般的だが、アンズタケでこの方法を試みると、バクテリアが培養の邪魔になる。このため、シロの状態からアンズタケの菌だけを取り出して培養。アカマツとコナラの苗に培養株を植え付けて成長させている。

 今まで同一種と見られていた県内などのアンズタケと、海外のアンズタケに遺伝子レベルで違いがあることも分かってきた。今年は人工栽培に適した環境を研究する。栽培技術が確立されれば、工場などでの大量生産にも道が開ける。

 山田准教授は、山に移植して栽培することも想定。森林に手を入れ、荒廃を防ぐことにつながると考える。「山から新しい産業が生まれるかもしれない。山を生かした研究を続けていきたい」と話している。

信濃毎日新聞 01月04日(土)
http://www.shinmai.co.jp/news/20140104/KT131228FTI090016000.php


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