気のせいかも知れないが、ストラスブールの街中の樹々の紅葉は例年よりも美しく見える。コロナ禍で人の移動が制限され、大気がその分清浄化されたことがその理由なのであろうか。
春から夏へと向かう、外光を求めて体が自ずと動こうとする時期に家の中でじっとしていろと強制されるのは、天気が良ければ良いほど、苦痛である。秋から冬へと向かうこれからの季節、特に冬時間に切り替わる十月最終日曜日以降、日没が日毎に早くなるのが感じられる。それは毎年のことだが、外出が著しく制約され、ノエルのマルシェもないこの冬は、その日の短さがそれだけ辛く感じられるかも知れない。
外出禁止令発効前日の今日、注文してあった本を本屋に取りに行き、少し遠くまで出かけないと買えない食材などの買い物を済ませておいた。食料品を扱うスーパーその他の店は、外出禁止令中も営業を続けるから、慌てることは何もないのだが、自転車でわざわざ遠くまで買い物に行くのは、多分気が進まなくなるだろうと、今日のうちに少し遠出をしておいたのである。
三月中旬から八週間続いた外出禁止令のときは、その前にそろそろ散髪に行こうかと思ってはいたのだが、先延ばしにしているうちにカットサロンはすべて閉鎖になってしまった。四月後半から髪の毛がかなり鬱陶しくなってきたが、その時点ではいつまた再開されるかわからなくて、気分まで鬱陶しくなってしまった。それで今日、いつものカットサロンで思いっきり短くしてもらった。これで少なくとも二月は鬱陶しい思いをしなくて済む。
水泳にも行った。明日からは、当然、プールは閉鎖である。少なくとも十二月一日まで続く外出禁止令下、前回の外出禁止令期間中と同様、毎日一時間ウォーキングする。家の中でもできる運動はあるが、私にはそれではどうも気分転換にならない。
他方、それと矛盾するようだが、家の中で長時間じっとしていることはあまり苦にならない。一日の大半を机に向かって過ごし、ときどき窓外の色づいた樹々を眺めながら思索に耽ることができるのは、贅沢でさえあると思う。
今年の冬は長い。その長い冬を「実りの冬」にできたらと思う。