内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

仕事の「仕分け」の基準を与える今回の「非常時」

2020-04-01 23:59:59 | 雑感

 今日から四月。外出禁止令が発効してから半月が経った。しかし、いまだに今後の展開についての見通しは立たないままだ。そんな状態が続けば、仮に数週間後に禁止令が段階的に解除されても、すぐに平常には復せないないから、数か月先あるいは来年の予定すべてにいわばドミノ倒しのように今から影響が出始めている。中止されても影響が比較的少ない行事等はまあいいとして、先送りや延期が難しい予定もある。
 自分に直接関係がある仕事としては、入学希望者の出願書類の審査と順位づけだ。これは延期できない。幸い一昨年に現行制度が導入されてから書類はすべて電子媒体で処理されるから、自宅でのテレワークで対処可能だ。一昨年も去年もそのために数日家に籠って作業したくらいだから、今年も同じことを繰り返すだけの話だ。
 ただ出願者側に遅れが出ているようだ。それは高校側で成績処理が遅れているかららしい。そうすると出願者である高校生たちは出願書類が揃わず、正式なオンライン出願ができない。今のところ期日の変更はないようだが、学校閉鎖が理由で出願に必要な書類が揃わない高校生が多数いれば、締切りを遅らせるという話も出てくるだろう。
 バカロレアも例年通りに試験を行うことはもう無理であろう。すべてを書類審査だけで済ませることになるようだが、大学進学希望者のレベルに関しては大した影響はないのではないかと思う。四月の段階でこちらが出願書類を審査する段階では、過去にバカロレアを取得している出願者以外についてはそもそもバカロレアの成績は考慮しようがなく、高校最終学年の成績が最も重要な判断基準になるが、それで十分出願者たちのレベル判定はできるからである。
 来年度の大学進学者に関して、バカロレアの筆記試験がなくても結果として大した影響がないということになれば、バカロレアそのもの廃止へのはずみをつけることになるかもしれない。
 それ以外にも、今回の「非常時」がいわば「仕分け」の基準となり、さまざまな業務の見直し行われることになるだろう。それは必ずしも悪いことではないだろう。特に、平常時にはここまで大規模な実験はできないテレワークが今回有無を言わさぬ仕方で全国一斉に実施されているのだから、それが期せずして「働き方改革」の促進剤になることは十分に期待できる。
 ただ、それが人員削減や賃金カットに口実を与えることにもなりかねないから、気をつけなくてはいけないが。