させぼ moonlight serenade

自身の取扱説明書です
きっと

わたしを束ねないで

2015-03-07 08:20:51 | 日々のこと



ひさしぶりに

ガツンと

ココロを

揺さぶられる

詩に

出逢った



生きる指針が

近しい

オンナトモダチに

お借りした

新川 和江さんの

詩集


「わたしを束ねないで」


表題作は

1966年に

発表されたそう

だけれど

時代は

移ろいでも

変わらない

女性道を

現代にも

通ずる

言の葉で

表現している


女に生まれても

妻になっても

母になっても



ヒトとして


個として


歩んでいきたい


生き抜いていきたい


そんな


ココロ綴り


烈しくも

深く

染み込んでいく


あぁ

染み込んでいく






わたしを束ねないで ~新川和江~



わたしを束ねないで

あらせいとうの花のように

白い葱のように

束ねないでください


わたしは稲穂

秋 大地が胸を焦がす

見渡すかぎりの金色の稲穂


わたしを止めないで

標本箱の昆虫のように

高原からきた絵葉書のように

止めないでください


わたしは羽ばたき

こやみなく空のひろさを

かいさぐっている

目には見えないつばさの音


わたしを注がないで

日常性に薄められた牛乳のように

ぬるい酒のように

注がないでください

わたしは海

夜 とほうもなく満ちてくる

苦い潮 ふちのない水


わたしを名付けないで

娘という名

妻という名

重々しい母という名で

しつらえた座に

坐りきりにさせないでください

わたしは風

りんごの木と

泉のありかを知っている風


わたしを区切らないで

, や . いくつかの段落

そしておしまいに

「さようなら」があったりする

手紙のようには


こまめにけりをつけないでください

わたしは終りのない文章

川と同じに

はてしなく流れていく

拡がっていく 一行の詩
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