よーへー君の意外な発言はピアノ工房の親方の心を弾ませた。
「そしたらボク、おにぎりとか作りますわ。ソーセージとかも焼いて…
ボク、そう言うのんやってみたかってん、家族でピクニックみたいな感じ」
フランクフルトの楽器メッセがあった3月末のこと、
電車を何回も乗り継いで一番安い方法でメッセに行くというよーへー君とカズビー。
我々ピアノ工房は車で行くので、便乗すれば電車賃も時間も節約できるのでいかが?
とお勧めしたときに出たよーへー君のあの言葉が嬉しかった。
なかなかあいつも気が利く奴やなぁ。
当日、朝ご飯も食べずに車に乗り込んだ。 だって、よーへー君のおにぎりあるもん。
ところが、
「親方、おにぎり作れませんでした」やて。
それどころか前日しこたまお稲荷さんを作ったのにもかかわらず(本当はカズビーが作ったらしい)その晩に完食してしまったという大胆な奴。
おにぎりを持って来るつもりがなくなってんやったら、
事前電話するなり、せめてお稲荷さんの2、3個持ってきいな!
道中、車の中でジリジリと責められたのは言うまでもない。
腹が減ると腹が立つ。
当然のことながらその後も、会えば必ず「おにぎり、お稲荷さん」といじめられ、
会わずともメールでチクチクいじられ、食い物の恨みの恐ろしさを痛感していることやろう。
今回、よーへー君にチャンスが到来した。
工房パーティーでお稲荷さんを作って持ってくれば
金輪際その嫌みな攻撃から解放されることになる。
Akkocahnの「おふくろ石狩鍋」や「高級オリーブオイル和えマグロのカルパッチョ」、
ゆきちゃんの「柔らかイカもやし」、
カズビーの「なるほど豆腐ちぢみ」や「にんにく沢山にんじんとクルミサラダ」、
カナッペの「繊細海老さんサラダ」、
のだめママの「贅沢アスパラ蟹さんサラダ」、
おかみさんの「醍醐味アスパラつくね」、
親方の「いつもの豚大根」…
大御所一品の行列にひけをとらない話題性ある「よーへー君のお稲荷さん」がテーブルの中央に鎮座した。
よしよし! やれば出来るやん! 味も上品やし、やっと社会人の仲間に入れたなぁ。
今後一切、このネタでからかうことはやめてあげよう。
よーへー君、これから君を「工房パーティー御用達、お稲荷さん係」に任命する。
以上
ーまー