マイスターのお道具箱

ドイツに住むピアノ技術者、ーまーのブログ

徒弟制度

2007-05-16 | ピアノ技術者の仕事

 ドイツ、中世の終わり頃の徒弟制度は大変厳しい世界だったと聞きます。
弟子はみな親方の工房に住み込んで技術を習いました。
なぜ住み込みかというと、その職業で生きていくための空気を吸うためです。
同じ時間に起き、同じ物を食べ、同じことを考え、同じことを感じ
ごく自然に技術以外のこと(とっても大切なこと)も伝えていきます。

日本の伝統技術社会もドイツと同じような感じだったと聞きます。

今は違いますね 
学校制度が確立しているので、職人の技術習得も「勉強」という形で習うことが一般的です。 
ドイツの場合、徒弟制度の大まかな流れは未だに存在しているようですが、
住み込みで生活を常に共にすることはまれです。
学校で理論を学び、マイスターの下で技術力をつける。少ないけれど給料制。
一人前の技術者になるとマイスターとゲゼレ(職人)は労使関係。
「天職を伝える」という本来土台であるべきことが何となく欠けだしているように思います。



ピアノ技術者 
音という目に見えない物を相手に、耳と指先を頼りに感覚だけで勝負する職業。
やはり学校だけでは学び切れない物が多いですね。

 そう、カナッペ、女性ピアノ技術者がーまー工房にやってきました。
しっかりとした基礎を身につけた若者です。なかなかいい仕事します。
親方に持ち合わせていない感性をいっぱい持っている 期待の新人です。
経験値が彼女のアイテムにまだ少ないのでぎこちなさはありますが、
それは当たり前のこと、時間が解決してくれます。
あまり多くを書くと嫌われるので、気を遣いながら…



ーまー工房が大事にしている信念を伝えるという、大きな仕事がひとつ増えました。
昔ながらの師弟関係の素晴らしい面を織り交ぜながら、ユニークなピアノ工房が
ゆっくりと動き始めましたよ。

ーまー