朝寝-昼酒-夜遊

日々感じたことを思いのままに書き散らすのみ。
※毎週土曜更新を目標にしています。

池袋演芸場八月上席

2009年08月08日 11時27分18秒 | 落語・講談・お笑い
昨日は、小三治が出る、ということで
後輩諸師と池袋演芸場へ行ってきた。
12時半開演だが、
10時半頃に行ったら既にそこそこ並んでいる。
平日でもメンバー次第ではこんな状況になるんだなあ。

昼の部の頭から夜の部の中トリまで見ていたのだが、
やはり小三治(昼の部トリ)が終わって
一つ客席の空気が変わった感じがする。
まあ、それまで立見、しかもギュウギュウ詰めになっていたのが、
空席もできる程度になったのだから仕方がないのだが。

何席か、思ったことを。


「漫才」(ホンキートンク):△+

ロケット団の代演もあり、昼の部・夜の部と2回出てきた。
2席目の方が面白かった。
1席目は、どうも「客いじり」や「変な動き」で
ウケを取ろうとしている感じが好きになれなかった。


「千早ふる」(喜多八):△+

細かい科白廻し(設定・竜田川の行動など)で、何箇所か違和感を持った。
全体の流れで上手く処理していた。


「漫才」(昭和のいる・こいる):○-

のいるの声が聞き取りづらい。
意図的に声を抑えている部分もあるとは思うが。
こいるの相槌は、やはり素晴らしい。
無秩序に言っている訳ではなく、相応しい適当な言葉を発しているなあ。


「二人旅」(小里ん):△

少しトチリあり。
茶屋のおばあさんの雰囲気が良かった。


「道具屋」(扇橋):△

声がほぼ聞こえない。
危なっかしい。
途中で少し科白が廻ることもあったし。
楽しげに「タコの歌」を歌っていた。それがやりたいのだろう。


「夢の酒」(伯楽):△-

正直、このネタはよく分からない。
若旦那の気持ちの中には、結局浮気心があったのか?
親旦那は「冷やは飲まない」と何度も何度も繰り返しているのに、
なぜサゲは「冷やでも良かった」なんだろう?
など。
何となく、この人の雰囲気で聞かせてくれてはいたが、
考えるとよく分からないネタだなあ。

あと、終わった後に「落語界の現状」を語ったり、
本の宣伝をするのは邪魔。うざったい。


「釜泥」(三三):○

見るのは初めて?だが、世間での評価が高いのは納得。
ちょっとした入れ事、老夫婦の雰囲気、会話のリズムなど、
若いのに達者。
「憎たらしい程上手い」というのはこういう人なんだろう。
機会があればまた聞いてみたい。


「犬の目」(小袁治):△+

無理な力が入っておらず、その脱力感が良い。
患者も「犬の目」を入れられている、と知っている設定なんやね。


「うだうだ+馬の田楽」(小三治):○

扇橋に比べて遥かに声が出ている。元気そうだ。
うだうだ、夢ともなく現ともなく、好きなことを喋り、
ネタに入るのか入らないのか分からないまま話し続ける。

ネタは(マクラで仕込んでいた面もあるが)
馬方の馬に対する愛情がベースにあって、
店の人や子どもや周囲の人と喋っている感じがして快い。
全体にゆったりした話し方・間。
リアルかも知れないが、
今時のリズムではない感じはする。


「反対俥」(金兵衛):×+

ダメ。私には合わない。
喋り方がだらしなくて聞きづらく、変な小ギャグを入れ、
ウケなければ「小三治師匠の後はやりづらい」とか言う。
心根が良くない。
二度と見たくない。


「家見舞」(馬石):△-

マクラが拙く、それを引きずってか
前半の道具屋とのやりとりや、2人の会話がハマらない。
後半の兄貴の家でのやりとりはリズムも良く少しはウケていたが、
全体の笑いの量が全く足りない。
「家見舞」としてはダメでしょう。
まあ、この人だけではなく、
夜の部のその前の2席(前座・金兵衛)が
空気を重くしてしまったせいでもあるが。


「子ほめ」(さん喬):○

マクラからして、夜の部で別格やね。
世辞のマクラできちっとウケさせ、
ネタも適度に端折りつつ、
登場人物の自然な動きの中でウケをとる。
(何気なく子どものお腹を押す、とか)


「宮戸川」(花緑):△

マクラの世間話・雑談は噺家の雰囲気でまあ悪くない。
「男は女に勝てない」という話は語り過ぎ。
マクラで喋らずに、ネタの中で表現するべきだろう、と思う。

ネタは、お花・半七の言葉遣いが今の若者風
(それも、かなり偏見が入っている)でかなり違和感がある。
走っているときに帯をつかまれて回る、というのは面白かった。
突拍子がなさ過ぎて、すぐには伝わっていなかったが。
おじさんが飲み込むときに手をつける、というのも初めて見たが、
まあ、やってもいいかな、と思う。

上へ上がってからのやり取りも、
如何せん、言葉遣い・喋り方に違和感があって
そこが引っ掛かってしまった。
男が抱きつく、というところも中途半端。
もっと早い段階や全体を通しての「女の方が強い」仕込みがないので、
単なる飛び道具・パロディとしか感じられなかった。
筋が終わった後のうだうだ(尻に敷かれてこれが…というところ)も長い。
落語の世界を損なうだけ、損だと思う。

全体には、意外に聞けた(もっと酷いと思っていた)が、
わざわざ聞きたいとは思わない、という感じ。


久し振りに長時間の寄席で疲れた。
後輩諸師と飲んで、軽く食べて帰った。
コメント
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