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休業手当について(1)そもそも「休業手当」とは?

2020年05月31日 17時44分12秒 | お仕事
「新型コロナ」の影響で休業した場合、
給与を支給されない従業員に対して事業主が「休業手当」を支給することがあります。

今般、「雇用調整助成金」の要件として「休業手当」がクローズアップされましたが、
「雇用調整助成金」と一緒に考えると混乱しやすい、と感じます。

そこで以下のテーマで数回に分けて、
「休業手当」について整理して説明していきたいと思います。

(1) そもそも「休業手当」とは?
(2) 「使用者の責に帰すべき事由」とは?
(3) 「平均賃金の百分の六十以上」とは?
(4) 「雇用調整助成金」との関係

今日は、(1)について説明します。

(1) そもそも「休業手当」とは?
労働基準法第26条で、以下のように規定されています。
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、
その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」

そもそも、休業と給与の関係では、「ノーワーク・ノーペイ」が原則となります。
これは、「働かないのであれば、賃金は発生しない」
(民法的な表現では、「労働に従事することとその報酬たる賃金とは対価関係にある」と言われる)
ということです。
「賃金」というのは働いたからこそ支払われるものであり、
働いていないんだったら貰えないよね、という、まあ、ある意味当然の話です。
だから、遅刻したり早退したり、欠勤したりしたら、「その分は」賃金カットする、ということになります。
(遅刻、早退、欠勤分を超えて賃金をカットすれば、それは「カットし過ぎ」ということです。)

これが原則なのですが、
労働者は使用者から支給される賃金によって生活している、という依存的な関係を踏まえると、
事情によっては
「働いていないけど、何かしら手当(賃金)を支払わなければ労働者が可哀想だよねえ…」というケースがあります。
例えば、仕事場で「労働災害」が発生し、そのために労働者が休まなければならない、という場合です。
別に、労働者は休みたくて休んでいる訳ではない。
事業主の安全対策が不充分だったため、「労働災害」が発生してしまい、労働者が休まざるを得なくなった。
これで何も払われないのは、労働者にとって可哀想だよねえ、ということです。
この場合は、労働基準法により、事業主は「休業補償」を行わなければならない、と定められています。
#実際には、事業主は「労災保険」に加入しているはずですので、
 事業主自身が「休業補償」を支払うのではなく、「労災保険」から支払われることになります。
(尚、この 「休業補償」と「休業手当」は、法的には別のものですので、用語を使用する際には注意が必要です。)

この「可哀想だよねえ…。」というケースを、
労働基準法では「使用者の責に帰すべき事由」と表現しています。

では、具体的に、どのようなケースが「使用者の責に帰すべき事由」となるのか?
こちらは、次回説明したいと思います。
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