「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

イギリスのインフレに見る他山の山<2023年5月

2023-05-15 16:22:37 | ヨーロッパ

貧しくなる英国、G7で最大の生活水準落ち込みか-MLIV調査
John Stepek
2023年5月9日 17:38 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-09/RUDJ52DWLU6801?srnd=cojp-v2


英インフレ率、3月も2桁台の10.1%-追加利上げ観測強まる
Tom Rees、Andrew Atkinson
2023年4月19日 19:19 JST 更新日時 2023年4月19日 21:10 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-09/RUDJ52DWLU6801?srnd=cojp-v2

確かに高インフレは、世界的なものです。だから各国の中央銀行は、金利引き締め政策を取っています。しかし、イギリスのインフレの進行度合いは、他の先進国に比べて高いです。

その原因を考えるなら、やはりユーロ離脱に大きな影響があると思います。
これにより人・モノ・金の流れが細りました。イギリスを他国から見た魅力は、EU域内に立地する点です。関税なしのEUの拠点を築けるのが魅力です。そしてユーロ内にあればこそ、ユーロの金融センターであることが出来ます。外国から見れば、そのようなイギリスの魅力は、ユーロ離脱でなくなりました。つまりは外国からの投資やお金の流入が減ります。

ユーロから出稼ぎに来ていた人々は、帰りました。当然、人手不足が起こります。それをユーロ圏以外の労働者が穴埋めする構図です。ユーロ圏の労働者より質が落ちます。ユーロ離脱には、外国人労働者を排除する思惑もありました。結論、同じことでした。ユーロ圏の労働者が、それ以外の地域に置き換わっただけです。その数が少なくなり業種によっては、人手不足に陥りました。

そして、物の流通が滞ればユーロ圏からの食糧輸入で成り立ってた業界が困ることになります。税関を通す分、割高になります。

観光業界と関連業界もそうです。不自由なイギリスを避ける傾向が出てきます。観光客はイギリスでは買い物せずにユーロ圏で買い物するようになります。イギリスで免税処置がなくなるからです。正確には、それを還付する手続きはありますが、そんな面倒なことは誰もしません。そうなると観光客のトータルの数にも影響が出てきます。

以上を見ると、イギリスのユーロ離脱には莫大なイギリス国家の損失があります。

それがイギリス経済の衰退になります。輸入品が割高になります。そこに世界的なインフレが起きました。イギリスの場合は、インフレの影響が他の国以上に増幅されます。

2023年4月19日
英政府統計局(ONS)
3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比10.1%上昇
特に食品は約40年ぶりの大幅な上昇となった
前年同期のエネルギー価格急騰が統計から剥落、インフレ率に影響

消費者物価指数よりも食品やエネルギー価格の高騰は、大きいです。つまり生活者の生活のための費用は、消費者物価指数以上に大きくなっていると思います。

それが賃上げ要求となりインフレが高止まりする原因になります。

既に物価上昇率は、危機的な水準にありハイパーインフレ状態にあります。それを抑えるためには、大幅な政策金利の引き上げしかありません。今のイギリスの政策金利では低すぎるのです。4.5%では到底インフレを抑制することは出来ません。

それは、1970年代にハイパーインフレに陥った当時のアメリカが証明しています。当時のFRBのとった政策金利は、10%を大幅に超えるものです。

しかし、高金利政策を採用すれば不況になります。ハイパーインフレは、進行すればするほど制御不能になります。不況にしてハイパーインフレを抑制するか、放置して国家財政が破綻するかの二者択一になりつつあります。

イギリスの中央銀行であるイングランド銀行の認識は甘いと言わざるを得ません。

去年の段階でイングランド銀行は経済のリセッションを覚悟で大幅な政策金利の引き上げをするべきでした。去年なら7%くらいで済んだかもしれません。手をこまねいているうちに状況は悪化しました。

結局は、ユーロ離脱がイギリスの命取りになりつつあります。

日本政府と日銀は、これをよく観察するべきでしょう。安易なインフレ目標が暴走して高インフレになれば、イギリス以上に困難な状況が生まれます。1000兆円を超える国債の発行残高が金融政策の余地を許しません。インフレを放置するしかないでしょう。金利を引き上げれば、国債費で国家財政が破綻します。

つまり日本で高インフレが発生してもそれを放置するほかはなく、すぐにハイパーインフレに移行します。毎年10%以上物価が上昇していきます。それが何年も続けば通貨の価値は下落し続けます。10年後には、実質的に10年前の金銭的価値は、ほぼ無価値になるでしょう。これがハイパーインフレの怖さです。

イギリスの例を見てください。前年同月比で10.1%です。これが5年、続いたらどうなります?


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