「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

インドの中東経由欧州との貿易路構想とハマスの襲撃事件<2023年10月

2023-10-14 12:06:56 | 東南アジア~西アジア

コラム:中東経由で印・欧州結ぶ貿易回廊構想、情勢緊迫でもろさ露呈
2023年10月11日午前 8:21 GMT+99時間前更新
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/NOGE5R3AN5OBNMV5ROG2PS6XBE-2023-10-10/

今回のハマス大規模襲撃事件を引き起こした遠因です。この構想がアメリカのイスラエルとサウジの国交樹立を後押ししました。それに危機感を抱いたハマスが暴発した構図があります。サウジがこの構想に参加すれば、事実上のパレスチナ切り捨てになるからです。パレスチナの生存権をかけた暴発とも言えると思います。

この構想ですぐ分かるのは、計画性のなさです、いわゆる机上の空論の類です。
計画の概要は、インドを起点にしてサウジ、イスラエルを経由してヨーロッパとの貿易路を建設しようと言うものです。
ところが地図を見ると誰にでも分かりますが・・・
インド~インド洋~イエメン~サウジ~イスラエル~地中海~ヨーロッパ
このルートには、海が二つ入ります。それなら単純に海路にした方が安上がりだし、何かの施設を建設する必要もありません。二番目に紛争地帯のイエメンとイスラエルを通ります。サウジとイランがもめれば、即イエメンは通行が滞ります。反政府派のフーシ派も攻撃を試みるでしょう。今回、イスラエルの方でリスクが現実化しましたが、ルートの二か所で火が吹く可能性のあるリスクを考えるならほぼ使えないと言えます。

わざわざ「インドの中東経由欧州との貿易路構想」などとぶち上げてもほぼ無意味です。正式には「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」と呼ぶのだそうです。

そもそも発想の出発点から政治ありきで経済的合理性は、ほぼ無視されていると言えます。動機は『中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する』ことです。インドの自分の経済圏構想にアメリカが賛同して計画が動き出しました。
その言い分は?
『「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」の支持者らは鉄道や航路で結ぶ貿易回廊の高い潜在性を強調してきた。バイデン米大統領は「画期的出来事」と称賛し、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は「大陸と文明をまたぐグリーンでデジタルな架け橋」と強調。インドのモディ首相も「今後数百年にわたる世界貿易の基盤」と評した。IMECは、2027年までに6000億ドルを世界のインフラに投融資するという主要7カ国(G7)の計画の一部を成す。』

ほぼ貿易路としては無意味だと言えます。目的は中国外しと6000億ドル=約90兆円の税金のバラマキでしょう。ほぼ無駄なインフラ投資に90兆円をつぎ込んで関係国が分け合おうと言うことだと思います。

どう見ても政治的野心とバラマキにしか見えません。21世紀最大の無駄なインフラ投資をインドと主要7カ国(G7)主導で行おうと言うことです。イスラエルの北部ハイファ港の管理権を今年、インドの新興財閥アダニ・グループが獲得しています。大体、利権の構図は見えますね?90兆円のインフラ投資には関係する各国の企業が参加するでしょう。巨額の税金を分け合う構図しか見えません。

よく考えなくても「インド~インド洋~紅海~スエズ運河」で、既にルートはあります。大した貿易量も期待できない新ルートに90兆円の資金を投入することは、最初から利権ありきのように見えます。インドから欧州にそれほど大量の貨物があると思いますか?その反対も同じです。大した量は、ないでしょう?

中国の「一帯一路」ルートはすでに完成していて、現在は東西に膨大な量の貨物を輸送しています。

つまりインドの構想した貿易ルートは、インド以外に利用者はいないと思います。海が二つはいれば、そもそも海路だけにした方が安いし合理的です。このような無意味と言える構想に飛びついたアメリカは、中国封じ以外に考えはないと思います。

その無思慮なアメリカの参加が、サウジとイスラエルの国交樹立を半ば強引に推し進める外交になりました。

そのリアクションが、今回のハマスの暴挙を招きました。

その愚かな外交を、バイデン大統領は「画期的出来事」と称賛し、フォンデアライエン欧州委員長は「大陸と文明をまたぐグリーンでデジタルな架け橋」と強調したそうです。

それが何を引き起こしたか?
巨額の税金の分け合いと言う醜い構図が引き起こしたのですよ。


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