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読書感想文 - 噂

2013年06月10日 | 読書
全然知らない作家さんの長編ミステリーだったが、読みやすい文体に、続きが気になるストーリー展開で、予想外に面白かった。

人間の噂、というものを題材にした点が新鮮で、噂が女子高生たちを通して特定の範囲にのみ広がり、その噂を操る者と振り回される者がいる状況を巧みに描いている。

ハンバーガーの肉がミミズの肉である、という噂について書かれたくだりがある。

現実に自分もよく耳にしたものだが、こういう話がどうやって広がっていくのか、を説明しながら、事件の核心を明らかになっていく。

いかに自分たちが根も葉もない「噂」で一喜一憂し、それがいかに思わぬ社会的影響を与えるか、その威力を痛感させられる。

WOM(word of mouth)なんて言葉があるのもこの小説で初めて知った。

事件解決の糸口が男性では気づかない女性の目線で見つかるところにある、というのも面白い。

警察が男中心では解決しない事件がこれからたくさん出てくるのでは?と思わせるほどの、男では想像しえない証拠で事件の解決を迎えている。

しかしこの作品で一番衝撃なのは、事件の解決では無い。

最後の章はある女子高生たちの会話のみで構成されるが、何気なく読んでしまうと危うく誤った理解のまま読み終えてしまう。

本当の最後の一文、たった6文字の文章だが、これが猛烈な破壊力を持ち、思わずマジかっ!とうならせられた。

このラストは急に表に出てきた感じだが、このラストに至るまでの経過が気になるので、再読の必要があるなぁ。


東京の地名や公園などが実名で出てくるので、事件現場や会話がなされている場所をイメージしやすかったのが、読みやすさの理由の一つかも。

また時代背景が今と近く、現実味あふれる話であったことも、読書意欲を切らすことなく読めた要素かな。

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