神戸の空の下で。~街角の歴史発見~

足かけ8年、150万PV突破。「近畿の史跡めぐり」のサブタイトルも、範囲が広がったために少し変更しました。

奈良・法隆寺。

2009年03月31日 | ◆奈良県


法隆寺

(ほうりゅうじ)
奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1-1




南都七大寺・第7番札所
神仏霊場巡拝の道・第26番札所


通 称
斑鳩寺



緑に包まれた参道を抜けると、1438年再建の南大門(国宝指定)に辿り着きます。


〔宗派〕
聖徳宗 総本山

〔御本尊〕
釈迦如来像
(しゃかにょらいぞう)


 長い日本の歴史の中でも最も有名な人物の一人である聖徳太子。叔母・推古天皇の摂政として、冠位十二階の制や「和を以て貴しとし、忤ふること無きを宗とせよ。」で始まる十七条の憲法の制定や遣隋使の派遣など外交や行政に辣腕を揮い、今もなお尊敬を集めている飛鳥時代を代表する政治家です。その聖徳太子が創建したといわれているのが、世界最古の木造建築の伽藍が立ち並び、1993(平成5)年12月に日本で初めてユネスコの世界文化遺産に登録された古刹・法隆寺です。





南大門の先に並ぶ伽藍(左)と国宝指定の中門(右)。



 601(推古天皇9)年に奈良・斑鳩の地に斑鳩宮の造営を始めた聖徳太子は、宮の完成を受けて605(推古天皇13)年に斑鳩に移り住んだといわれています。その頃、疱瘡を患っていたといわれる用明天皇は自らの病気平癒を祈願して寺院を建立することを発願しますが、実現を待たずに崩御。その遺志を継いだ聖徳太子推古天皇は607(推古天皇15)年、斑鳩の地に薬師如来像を御本尊とした寺院・法隆寺を建立しました。





我が国最古の五重塔(左)と、法隆寺で最も古い建物といわれる金堂(右)。



 「法隆寺」という名前が初めて文献に登場したのは「日本書紀」。皮肉なことですが、それは670(天智天皇9)年に法隆寺が炎上したことを記した内容でした。この記述を巡り、現存する伽藍が創建当時のものだと信じる人々との間で再建・非再建論争が巻き起こりました。しかし1939(昭和14)年に行われた発掘調査の結果、西院伽藍のそば、南大門の東に広がる若草伽藍跡地に創建当時の伽藍の跡だと思われる遺構が発見されたことから、再建伽藍であるということで一応の決着を見る事となりました。





五重塔と金堂の奥に建つ大講堂(左)と、東側に立つ東室・聖霊院(右)。



 聖徳太子の没後、その息子・山背大兄王が643(皇極天皇2)年に蘇我入鹿公によって滅ぼされ、前述のように670(天智天皇9)年に伽藍が焼失するなど受難の時期を迎えますが、711(和銅4)年に西院伽藍が再建・整備され、739(天平11)年に行信僧都によって上宮王院が建てられるなど往時の華やかさを取り戻す事となりました。この頃から平安時代、鎌倉時代にかけて聖徳太子は救世観音の生まれ変わりであるとして様々な伝説が生み出されるなど、人知を超えた超人的な偉人として「太子信仰」が隆盛を迎える事となります。





東院伽藍へと続く石畳(左)と、国宝に指定されている東大門(右)。



 鎌倉時代に興福寺の支配下に入った法隆寺法相宗の影響を強く受けるようになり、さらに太子信仰真言密教との融合がみられるようになって真言宗の影響も受けるようになります。安土桃山時代には豊臣秀吉公の寺院抑制政策によって寺領が減らされるなど寺勢は衰えますが、豊臣秀吉公の没後その菩提を弔うために各地の寺社の再建・修理を進めた豊臣秀頼公によって大規模な修築が行われ、江戸時代にも徳川綱吉公によって大修理が行われるなど、法灯はしっかりと受け継がれていきました。1882(明治15)年には真言宗を離れて法相宗の寺院となり、さらに1950(昭和25)年には聖徳太子を宗祖とし、「三経義疏」を根本経典とする聖徳宗を立宗して独立宗派の地位を確立しました。





天平時代に建立された夢殿には、秘仏・救世観音像が安置されています。


アクセス
・JR「法隆寺駅」下車、北へ徒歩20分
・JR「法隆寺駅」より奈良交通バス「法隆寺門前」行き乗車、「法隆寺門前」下車すぐ
・JR/近鉄「奈良駅」より奈良交通バス「JR王寺駅」行き/「法隆寺」行き乗車、「法隆寺前」下車すぐ
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拝観料
・大人:1,000円 、小学生:500円 (西院・東院・大宝蔵院共通券)

拝観時間
・8時~17時 (2月22日~11月3日)
・8時~16時30分 (11月4日~2月21日)

公式サイト



奈良・法隆寺 (地図で旅する日本の世界遺産 7)

東京地図出版

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
四角に広がる (リン)
2013-01-28 23:35:05
こんばんは。正月と言えばここでしょうか。関連の聖徳太子は実在しなかったらしいですが。
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