神戸の空の下で。~街角の歴史発見~

足かけ8年、150万PV突破。「近畿の史跡めぐり」のサブタイトルも、範囲が広がったために少し変更しました。

神戸・近江八幡神社。

2007年01月28日 | ■神戸市西区
五穀豊穣・家内安全

近江八幡神社

(きんこうはちまんじんじゃ)
神戸市西区押部谷町近江71




のどかな田園風景の中にある神社。普通に通り過ぎると見落としてしまいます。



〔御祭神〕
八幡大神
(はちまんたいしん)
金刀比羅神
(ことひらしん)


 「近江八幡神社」という名前の神社があります。一見すると、滋賀県の近江八幡市にある神社であるかのように感じるこの神社は、実は神戸市西区に鎮座しています。読みも「おうみはちまんじんじゃ」ではなく「きんこうはちまんじんじゃ」というこの神社は、6~7世紀頃にインドから日本に渡って来たといわれる法道仙人が646(大化2)年に開基した「近江山近江寺」の鎮守社として創建された神社です。





良く吠える犬が飼われている民家の横の山道を通ると明神鳥居の前に出ます。



 人々に仏教を説きながら行脚を続けていた法道仙人が琵琶湖の傍を通りがかった際のこと。1本の光輝く不思議な桜の流木が湖面に浮かんでいる事に気付きました。「何とも不思議な霊木よ」と、この霊木を用いて観音像を彫り上げて播磨国へと運んで寺院を開こう…などと考えていると、突然霊木は中空に浮かび、一瞬のうちに播磨国の方角へと飛び去っていきました。懸命に後を追った法道仙人は、播磨国の東端の地でこの霊木に再会します。この場所は、霊木が着いた地であることから「木津」という地名が付けられたといわれています。その後、霊木を担いだ法道仙人が観音像を安置する適地を捜し求めて歩いていると、黄色い牛に乗った一人の老人が話しかけてきました。「その霊木を譲って欲しい」という老人の願いに、法道仙人は「この木を使って観音様を彫りたいのだ」と丁重に断ります(この老人が霊木を見つけた場所を「木見」と言います)。「ならば観音像を安置する聖地をともに探そう」と、この老人は法道仙人と一緒に歩き出しますが、ある山にさしかかると山野を法華経で唱える声が響き渡りました。驚き不思議に思う法道仙人に、先ほどの老人は「我は牛頭天王である。この地に寺を建て仏教を広めよ。必ずやそなたを護り布教を援けよう」と言葉を残し、ふっと姿を消したそうです。





1662(寛文2)年の近江寺本堂再建の時に合わせて建立されたと伝えられる社殿。



 その後法道仙人は、霊木から彫り上げた千手観音像を御本尊にした寺院を建立、霊木が浮かんでいた琵琶湖に因んで「近江寺(きんこうじ)」と名付けました。この寺院は、時の孝徳天皇の保護を受けて非常に繁栄したといわれています。先述した通り、近江八幡神社近江寺を建立するにあたって、寺の鎮守社として創建されたといわれています。ただ、寺院が鎮守社を持つという神仏習合の流れは8世紀頃から見られるようになった事から、近江寺の開基時期が伝承通りだったとすると、八幡大神が勧請されて近江八幡神社が創建されたのは近江寺の創建より暫く経った後だと思われます。





現在は基壇から竿にかけての台座部分だけが残されている石灯籠。
現在、近江八幡神社は付近にある押部谷住吉神社の社務所が管理されています。


アクセス
・神戸電鉄「押部谷駅」より神姫バス「上細田」下車、東へ徒歩20分
・神戸市営地下鉄「西神中央駅」より神姫バス「上細田」下車、東へ徒歩20分
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拝観料
・無料

拝観時間
・常時開放


神戸の神社
兵庫県神社庁神戸市支部
神戸新聞出版センター

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