神戸の空の下で。~街角の歴史発見~

足かけ8年、150万PV突破。「近畿の史跡めぐり」のサブタイトルも、範囲が広がったために少し変更しました。

神戸・松尾稲荷神社。

2006年08月21日 | ■神戸市兵庫区
商売繁盛・家内安全・縁結び

松尾稲荷神社

(まつおいなりじんじゃ)
神戸市兵庫区東出町3-21-3





〔御祭神〕
稲荷大明神
(いなりだいみょうじん)



 神戸ハーバーランドから住宅地へと入っていくと、神戸市中央区と兵庫区の区境の兵庫区側に松尾稲荷神社があります。創建時期ははっきりしませんが、楠木正成公にまつわる伝説から、14世紀頃にはすでに祠があったと考えられており、600年近くの歴史を持つ神社だと推測されます。




商店街に隣接して建つ境内。けっこう奥行きがあります。



 兵庫区を流れる湊川湊川神社の名前の由来となったこの川は、楠木正成公が活躍していた南北朝時代には、現在の荒田町から湊川神社西側を通ってこの地の脇に流れ出ていたそうです。松尾稲荷神社(といってもお稲荷さまを祀った祠ですが)はその湊川の堤防の上にありました。

 戦いを前にした楠木正成公は、この地に建っていた大きな松を目印に一族郎党を集め、みんなが身に着けていたお守りの護符が血で穢れてしまうのを避けるために、この松の根元に祀られていたお稲荷さまの祠に納めたという話が伝えられています。残念ながら、この松の大樹は枯れてしまったため、1914(大正3)年に社殿が建てられたときに伐られてしまって残されてはいませんが、「松尾稲荷」という名前にその名残りが残されています。 




赤が鮮やかな社殿。このなかに拝殿や摂社、ビリケンさまがいらっしゃいます。



 戦前まではこの近くまで福原遊郭が広がっていたため、そこに集まる人々から「商売繁盛の神さま」と崇敬をあつめ、賑わいを見せていたそうです。また、社殿の中にたくさん吊られている提灯にちなんで「ちょうちん持ちのお稲荷さん」と呼ばれ親しまれていたそうです。




地域のみなさんに親しまれているビリケンさまの像。



 ビリケンさまは、1907(明治40)年にアメリカの彫刻家が神さまの姿をイメージして作ったものだそうです。「幸運の神さま」として世界的に流行したビリケンさまですが、ここに祀られているものは大正初期にアメリカの水兵によって神戸に持ち込まれたものを、元町の洋食屋のご主人が見よう見真似で作ったものだそうです。

 このビリケンさまの像は、新しいもの好きの神戸っ子の中でたいへん評判になって洋食屋の入口が見物客で大混雑するようになり、「こんなん商売にならへん」ということで松尾稲荷神社に奉納されることになったそうです。

 ご近所の方に話を伺ったのですが、昔は「ビリケンさま」ではなく「ピリケンさま」と呼んでいたそうです。「足が悪かったので、ビリケンさまの足を撫でて願をかけていたんや」という話から、地元の方々からずっと愛され親しまれている像なんだと実感させられました。




伊勢神宮を拝む遥拝所。赤いガラスは太陽神・天照大御神をあらわしています。




アクセス
・JR「神戸駅」下車、南へ徒歩10分
・神戸高速鉄道「高速神戸駅」下車、南へ徒歩12分
 松尾稲荷神社地図 Copyright (C) 2000-2006 ZENRIN DataCom CO.,LTD. All Rights Reserved.

拝観料
・無料

拝観時間
・常時開放

神戸の神社
兵庫県神社庁神戸市支部
神戸新聞出版センター

このアイテムの詳細を見る