AM１１時 玄関呼び出し音が鳴った。
海外運送会社を名乗った。
玄関扉を開けると
スリムな２０代前後の男が
両手に段ボール５箱を抱えながら
にこやかに
「中国からの荷物です」
彼は上がり框にとゆっくりと５箱を置き
丁寧に隅に寄せた。
送り状のサインしながら、思い切って尋ねた。
「どちらの国の方」？
「ガーナです」
爽やかな喋りだ。
滑らかな喋りなので
「日本生まれ、日本育ちなんだ」？
「いいえ！１０年前に日本に来ました。
「それは凄いね」と感嘆すると
少年の面影を残す表情と瞳がはにかんだ。
彼は お礼を言って階段を下りて行った。
事務所の建物は奇数階にエレベーターがあるため
２階の事務所はエレベーターがなく
３階から上り下りするか階段になる。
届いた荷物は 蒔絵ボールペンの金属部材。
配送会社のドライバーによっては、荷物の上げ下ろしを
手伝いしても、礼も言わず、サインを貰うと
無言で下りていく者もいる。
荷物を室内に入れようと、しゃがみ
両手で５箱抱えたがビクともしない。
重量は分からないが金属ボールペン1.000本の部品。
私は力がないほうではない。
中腰で3箱は持てたが、下ろすのは難しい。
午後、○急便と○川便のドライバーが同時にやって来た。
二人にボールペン荷物を持ち上げてもらった。
丸急便は元大学駅伝の選手20代後半
細いが引き締まった筋肉質体型。
軽いと思ったのか、さあっ！と持ち上げようとしたが
上がらない。再度 気合を込めて持ち上げた。
いや～重いな！仕事だから持ち上げられるけどね。
次は○川急便の20代半ば、学生時代ラクビー選手
胸板厚くゴリラ体型。
持ち上げたが、かなり気合を入れた。
両人に午前中配達に来た青年の話をすると
「階段を5箱持って上がることは出来るが
しんどいのでやらない」
ガーナ青年のキラリと輝く瞳に軍配！