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自然療法の原点3

私たちが取り組んでいます自然療法は
誤解を恐れずに言いますと“魔女のお仕事”です。

魔女(witch)は、語源的に賢い(wise)や知恵(wisdom)につながります。賢い女性、知恵ある女性・・・それを魔女と解釈します。

賢い知恵ある女性が何故に火あぶりの刑にあわなくてはならなかったのか、それについてはあらためて触れるとして

魔女がしばしば老女の姿で描かれてきたことに関して
魔女のお仕事が年季のいる仕事であることを象徴していると思います。

いまどきのお勉強のように、丸暗記すれば合格して
短期に資格がもらえるというようなものではありません。
人生の様々な四苦八苦や歓びの体験を積み重ね
自然の摂理を観察し学ぶ体験を積み重ね
少しずつ賢くなり、少しずつ知恵を身につけていく・・・

そういうのは都会のビル3階のお洒落な教室の
ホワイトボードの前でインスタントに学べるものではありません。

大地、水、光、空気、たくさんの植物、たくさんの鉱物
菌類、動物のこと・・・
それは大地のうえで森のなかで学ぶしかありません。

そして人間の心の世界のことは日々の生活、仕事を通して
その体験から学んでいくことになるのでしょう。

現代は何事もインスタントな時代ですが
自然療法の世界はゆっくりじっくりです。

以下ポメラニアンのまりちゃんについての
2003年の記事の復刻です。

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マリちゃんの生命力
2003/03/01



去年の10月くらいからまた心臓肥大による気管圧迫が再発して
激しく咳き込んで苦しむことが多くなり、急にまた薬を飲ませたりしましたが
薬も効かなくなり、とうとう駄目かなと思っていたら
最近暖かくなって、なぜかまた咳が少なくなり薬もやめています

咳き込むと僕たちが優しくなり、おいしいものを食べさせてきたので
味をしめたまりちゃんは、僕たちが食事するとき
ちょうだい、ちょうだいという表現でわざと咳き込むようになりました
自分で苦しい声をだして、食べ物を要求するわけです
そうして苦しい声をだしているうちに興奮し過ぎて
心臓と気管支を圧迫し、ついには本当に苦しくなってくることがしばしばです

そんなまりちゃんですが、もう長くないとお医者さんに言われてから
すでに3年近くなろうとしています
そのかん何度も死にかけたけれど、そのたびに復活し、今年は13歳になります
ポメラニアンで13歳は長寿だと思います

前にも書きましたが、まりちゃんの右目(向かって左の目)は失明しています
左目も白内障、素人でも白内障と判断できる目です
歯はほとんど抜け落ち、毛並みもよくない
ほとんどボロボロの状態だと思うんですが
まりちゃんは気に病んでいるふうがない

美味しい食べ物にありつけたときなんか、子供みたいにルンルンしている
ネコが食べ物に近づいてきたら、大きな声でワンッといって威嚇します
このごろは豆腐なんか食べ飽きて、「もっとおいしいものをちょうだい」
というような顔をしますが、ネコが近づいてくると豆腐でもガツガツ食べます

この生の終わりになって急に7匹のネコと同居するハメになって
まりちゃんもいろいろたいへんでしょうが異種生命体との共同生活が
彼女に活力を与えている面があるように見受けられます

ネコたちのほうも、まりちゃんを引っかいたりしたことはありません
家族の一員だとは思っているみたいです
ネコを飼っているかたはご存知だと思いますが
ネコは鼻を近づけあってあいさつします
ここのネコたちは、まりちゃんにもそうしてあいさつするんですが
まりちゃんは、そのあいさつにも怒ってワンッといいます
子供のときからネコと一緒に生活していたら
まりちゃんもネコとのつきあいかたをおぼえていたんでしょうが・・・

それでも、今日はこんな写真(下)が撮れました(香山茂樹)



病気と老齢のせいもあって毛のツヤはなくなってきていますが
食欲は目覚める一方のマリちゃんです
東京時代はどんなご馳走にもあまり飛びつかなかったのですが
たくさんのライバルの出現とともにマリちゃんの野生がよみがえってきました
同じスペースで7匹の猫ちゃんと奮闘の毎日を過ごしていますが
今日は生後7ヶ月になるミカちゃんの急接近を許し
不思議と一緒にくつろいでいました
このままみんなと仲良くなるのかどうかはわかりませんが
生の末期になって確実にマリちゃんは何かを学びつつあるようです

安定性・安全性を確保するために新しいことにチャレンジしない
そういうのが賢いと思っている人が多いようですが
マリちゃんの日々の純粋な行動は、そういう意味では賢くありません
けれどもたくさんのことを教えてくれるマリちゃんです(桂子)

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まりちゃん旅立つ


2003/05/15 雨の中、庭に穴を掘って亡骸を入れる

5月15日午前3時5分
マリちゃんが13年間住んだ肉体を静かに離れました
皆さんに愛されてとても幸せな地球の旅を終えました

東京での生活でもう余命わずかと言われてから
ここ奥豊後にやって来て心臓肥大のための発作を受け入れながら
2年7ヶ月を過ごしました

自然の中でゆったり過ごした楽しい思い出を胸に
ほぼ満月という日に跳ねながら光に帰っていったことと思います

私の旅のお供をありがとう
また、どこかで逢おうね


2003/05/15 マリちゃんを埋めた岩

小雨の降る早朝、庭の岩のあたりにマリちゃんの肉体を返しました


2003/03/15

今年3月、暖かくなってきた庭先でお散歩を楽しむマリちゃん
若いネコたちに負けない食欲が生きる意欲になっていた


2003/03/15

草の上でくつろぐマリちゃん
一晩中発作で眠れなかった朝でも
よくこの様にして大地のエネルギーを感じ癒していました

桂子 2003/05/15



2003/04/28

これが生前のマリちゃんを撮った最後の写真となりました
コタツ布団のうえでくつろぐマリちゃんの側に寄るネコのマル
マリちゃんにとって7匹のネコは強力なライバルではあったけれど
ときどきは愛情を感じているように見えました
                           
マリちゃんがいなくなってみると・・・
家のなかがたいへん静かになりました
7匹もネコがいるのに、やけに静かな感じがします
マリちゃんが騒々しかったということです

体じゅうボロボロだったのに、懸命に生きてきたマリちゃん
食べ物が欲しくて、ととととっと走り寄ってきて
ハアハアいいながら熱いまなざしを向けていたマリちゃん
どんなおいしいものも一瞬にして食べ終わり
もっとちょうだい、もっとちょうだいとねだり続けたマリちゃん

そんなマリちゃんがもっと興奮したのは
桂子が帰宅した時でした
ほんの数時間家をあけただけで
帰宅すると、マリちゃんは子供みたいにピョンピョン小躍りして
精一杯喜びを表現し、そのせいで呼吸困難になりそうなほどでした
あれほどの感情表現をするネコやウサギはいないでしょう
人間だって・・・ただいま、と帰ってきて
マリちゃんみたいに小躍りして迎えてくれる人はないでしょう

老犬マリちゃんは、いつも無邪気な子供のようでした
重病と右目失明(左目も白内障)、歯もボロボロ、皮膚もガサガサ・・・
それなのにマリちゃんは気に病まない
誰かを恨んだり、嘆いたり、未来を心配したりしなかった
気に病んでいたら、とっくに死んでいたと思います

マリちゃんは最後まで気に病むことなく
静かに肉体を離れていきました
マリちゃんの死、その解放を讃えてやりたいと思います

香山茂樹

2003/05/17