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ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

新型コロナ治療薬の開発

2020-04-15 10:29:33 | 
新型コロナウイルス感染症の治療薬を、まずは既存の感染症薬の中から見つけ出そうとする動きが加速しています。

このブログでも可能性がありそうとする薬剤についていくつか紹介していますが、なかなか抗ウイルス薬というのは難しそうです。

まずウイルスについて簡単に説明しますが、ウイルスはタンパク質でできた外套膜という殻の中に遺伝子(コロナはRNAです)が入っているだけの非常に簡単な構造です。この外套膜上の受容体で細胞表面のタンパク質を認識し、結合して細胞内に侵入します。

こうしてウイルスに侵入された細胞は、通常の活動をすべて止め、ウイルスの部品を作る作業に専念するようになります。つまりRNAをどんどん複製して、外套となるタンパク質を合成していき、それを組み合わせて新たなウイルスを作り出すことになります。

ウイルスは自身で増殖することはできませんが、細胞内に入れば数多く増殖され、細胞を壊して外に出ていきまた新たな細胞に侵入することを繰り返すわけです。

ここに抗ウイルス薬の難しさがあります。病原菌などを薬で殺す場合は、増殖するための酵素や原料となる部品の取り込みを阻害しますが、ウイルスはこういったものはすべてヒトの細胞由来のものを使っています。

酵素を阻害するとしても、それはもともとヒトの酵素であり、それを阻害することは正常細胞の機能も止めてまうことになります。ですからウイルスの増殖を止めることはできるのですが、非常に重篤な副作用が出てしまう可能性が高くなります。

現在国立国際医療研究所などで臨床研究が始まっているようですが、こういた研究にも難しさがあります。

これは単純に私の推測だけですので、何の確証もありません。例えば200人のやや重症(軽い肺炎を起こしている)の患者をアビガン投与群100人と、プラセボ投与群100人に分けたとします。

これを14日継続した後、プラセボ群は70人回復し(患者自身の免疫で治ります)、アビガン投与群が76人回復したような場合、アビガンに治療効果があると判定するかという問題になります。

もちろん100人すべてが回復すれば問題なく効果がありとなりますが、実際はそんな結果はまず出ません。この例のように本来回復しない人の2割(この場合6人)が回復したのでたぶん効果ありと判定することになります。

通常の医薬品では有効率60%ぐらいになりますが、抗ガン剤では20%でも有効としていますので、ウイルスでも似たようなものと思います。

これは最低ラインの推定ですが、治療薬といってもこの程度しか効かないものと考えるべきでしょう。これはあくまで私の推測ですが、抗ウイルス薬というのはこういった難しさが存在するものです。

健診前の禁酒・運動に意味があるのか

2020-04-14 11:12:00 | 健康・医療
会社が新年度を迎える4月になると、今年も健康診断の時期が来たとして、慌ててジムに通ったり禁酒禁煙をして少しでも数値を良くしようと奮闘する人も多いかもしれません。

普通に考えると、そんなことをしても全く意味がないと思われますが、何となくやりたくなるのは分かります。

実際問題としては、短い期間でも禁酒すると肝臓のGTPはかなり下がりますし、ひと月前ぐらいから節食すると、体重は少しは落ちるようです。

やや太り気味でメタボだといわれている人は、BMIを25以下に落とそうとしますが、この25という基準が問題とする説もあります。男性の場合30以上あるとややまずいようですが、25以上のほうがかえって死亡率が低いというデータもあるようです。

欧米ではBMI30以上が肥満となっていますが、日本では25が基準値で、これは30以上にすると日本人は肥満が3%しかいなくなるためという説があります。25以上だと30%ぐらいになりますので、これを肥満だ病院に行けというためという陰謀説もあるくらいです。

血圧にしても昔は上が180以上ならば病院にといわれていたものが、降圧目標値はどんどん下がり、一昨年までは140/90だったのが、去年から130/80にまた下がっています。

この基準値の決め方は、「健康な人」の1万人分ぐらいの検査値をグラフ化し、低い方と高い方の2.5%を切り、釣り鐘状の残り95%から決めています。もともと健康な人の平均値みたいなものですので、基準値から少々外れても病気という事にはならないものです。

さらに高血圧、高血糖、コレステロールなどの生活習慣病にいたっては、統計学的な決め方はされていません。専門家たちが集まって、これ以上はおかしいことにしようと決めているようなものです。

本当に製薬会社の意向が入っているかは分かりませんが、一部の人が「基準値決定権」という打ち出の小槌を握っているような形といわれています。

現在の血圧の基準値から行くと、高齢者の7割が異常値となり薬が処方され、降圧剤の売り上げが年間1兆円を超えるというと、基準値ビジネスの闇といえるのかもしれません。

私はもともと健康診断不要論ですが、これを裏付けるような研究がフィンランドで行われました。

生活習慣病になりやすい危険因子を持つ40〜55歳の男性1200人を選び、2班に分け片方は「放置群(本人に自由にさせる)」、片方が「医療介入群(医師が生活習慣をこまめに指示)」として15年間全員の生死を調査しました。

その結果、総死亡数は放置群が45人、医療介入群が67人という数字が出ました。日本人は世界一長寿で、なにもしないと患者が病院に来ないため、自分は病気だと自覚させる手段が健康診断という意見に納得しています。

親の収入頼みの中年無職

2020-04-13 10:25:07 | 時事
無職で独身の40〜50代の子が親と同居し、生活費を親に頼っているとみられる家庭が増加しているようです。

立命館大学や新聞社が、国の統計情報から試算したところでは、2013年の時点で推計約57万所帯あり、1995年からの18年間で約3倍に増えていたことが分かりました。

このうち40代の家庭は推計約38万所帯で、50代の家庭の約2倍となっていました。こうした家庭は、ひきこもりなどの課題を抱えて社会から孤立する「8050問題」に陥りやすいとしています。

またこの調査から7年後の現在は、事態はさらに深刻化している可能性が高いようです。8050問題の公的な定義はありませんが、無職で独身の子が高齢の親の収入に頼って同居する中で、ひきこもりや介護、貧困などを抱えて孤立しがちになる問題です。

これは2000年代に「ニート」という用語が使われはじめ、一部のひきこもりに対して継続的に大規模な調査が行われるようになりました。このころは15〜34歳と若年層の問題としていましたが、2010年代に入りひきこもりを抱える家族が全国的に高齢化したことで猶予が無くなってきました。

内閣府の調査では、中高年のひきこもりが61万人と推定され、このまま放置して2020年代に入ると「9060問題」とより深刻になるといわれています。

今回試算に使ったのは厚生労働省の審査を経て提供された国民生活基礎調査の匿名データ(1995、04、13の各年版)です。13年版が最新で、家族構成や就業、健康年金受給など約10万人分の情報を含んでいます。

8050問題の特徴を踏まえ、このデータから無職(または家事従事)で独身の40〜50代の子と、60代以上の親が同居し親の所得(年金を含む)が子より高い世帯を抽出しました。これを8050問題に陥るリスクを抱えやすい家庭と位置付けて集計しました。

13年はデータ上の3万8882世帯のうち440世帯(1.1%)が該当し、厚生労働省の計算方法に従い該当世帯数に人口比ベースの係数をかけると、推計約56万8000世帯となりました。これは1995年データを基にした推計世帯数の3.2倍、04年の1.6倍となっています。

このように8050問題は確実に悪化していますが、私はこのような状況にした親の責任であると思っています。しかし親を悪者にしただけでは全く解決の糸口となりませんので、どんな施策が必要なのか地方ではなく国レベルで検討してほしいと思っています。

これは少子化問題の1局面ですが、多分手当が一番遅くなる部分と考えられます。解決にはどんな方策があるのか、私も全く思いつきませんが、放置してはいけない問題だと思っています。

前立腺ガン 治療を行わない療法

2020-04-12 10:37:44 | 健康・医療
前立腺の病気というと、中高年男性には悩みの種となっているようです。

その割には前立腺の構造や働き、病気の原因、治療など知られていないことも多いのが実情です。私の友人知人にも前立腺ガンは多く、高齢者ですが4人が発症しそのうち3人が手術をしていますが、やはり手術後の後遺症のようなものに悩まされているようです。

排尿障害とまではいかなくても、尿漏れなどは大体出ており、そのための防御法など苦労しているようです。ここでは前立腺ガンが見つかっても治療しない方法について紹介します。

まず「PSA(前立腺特異抗原)監視療法です。前立腺ガンは進行が緩やかなものが多く、直ちにガン細胞を取り除かなければならないとは限りません。そうした症状の患者に対し、何も治療を行わずガンの進行状態を経過観察するのが、この治療法です。

前立腺ガンを発見する検査として大きな役割を果たすのがPSA検査ですが、この検査で値が高めだったことから詳しい検査をして、ガンが見つかっても悪性度が低い小さなガンの場合は、PSA監視療法による治療を行うケースが多いです。

ガンがあることが分かったのに、何もしないことに不安を持つ人もいるかもしれませんが、何らかの治療が患者の生活に支障をもたらすこともあります。手術でも放射線療法や化学療法でも、何らかの副作用や後遺症など出る可能性があるためです。

私の友人も前立腺がんが見つかり、医師から監視療法を進められたのですが、かなり悩んでホルモン療法を選択しました。彼の場合はお父さんが前立腺ガンが原因で亡くなったこともあり、不安が大きかったようです。結局手術を選択し、若干の後遺症があるようですが元気に暮らしています。

PSA監視療法は、3〜6か月ごとにPSA検査やMRI、直腸診を、さらに1〜3年ごとに針生検で、それぞれガンの状態を確認します。ガンに進行が見られたときや生検によるスコアが上昇した時は治療を開始します。

この監視療法が適しているのが、TNM分類の病期「T2」(ガンが前立腺の中のみにある)までの限局ガン、PSA値が10以下、グリーソンスコア(悪性度を示す分類)なら6以下などがあげられます。

ガンによってはほとんど進行せず、体に変調をきたすほど大きくなる前に寿命を全うできることもあります。監視療法は病気を放置しているわけではなく、ガンの性質が変化することもあるため、必ず定期的な検査を受け、経過を観察する必要があります。

最近の治療法には、前立腺ガンだけでなくガンと共存するという治療法もあるようです。特に前立腺ガンは、治療をしない選択肢が有効なガンといえるのかもしれません。

認知症予防ワクチン開発

2020-04-11 10:22:37 | 健康・医療
京都大学などの研究チームは、アルツハイマー病の原因とされる物質が脳内にたまるのを防ぐワクチンを開発したと発表しました。

認知症になる動物を使った実験で、脳の変化や行動の異常を抑えられ、将来認知症の予防や治療の選択肢になる可能性があります。

認知症の中にはアルツハイマー病のように、脳内に「タウ」というタンパク質の異常な蓄積がみられる種類があります。これをタウオパチー型認知症と呼んでいますが、発症した時には脳内の病変の進行が進んでいるため、予防法の開発が必要とされています。

さらに加齢がこれらの認知症を罹患するリスクになりますので、今後高齢者の増加とともに認知症が増加することが予想されています。

これまでタウオパチーを呈する認知症のカギ分子であるタウタンパクを標的とするワクチン開発は、タウタンパクを注射する方法やタウタンパクに対する抗体を作製する方法が研究されていますが、どちらも何度も注射することが必要で、抗体は高価であることも知られています。

研究チームは変異型タウタンパクを細胞外に分泌するように設計した遺伝子治療用のセンダイウイルスベクターを作製し、タウオパチーモデルマウスにおける点鼻ワクチンの効果を検討しました。

この点鼻ワクチンにより、モデルマウスの脳において、抗タウ抗体価の上昇、タウタンパク蓄積の減少、グリア炎症の改善が示されました。

また脳MRIで観察される脳萎縮の改善と、PETを用いた分子イメージングによる脳炎症反応の改善、さらに行動試験による認知機能障害の改善も示されました。これらの結果からタウに対するワクチンは、モデルマウスの病態抑制に有効であることが示されました。

具体的にはワクチンを投与したマウスでは、認知症で脳が委縮する面積を、無投与のマウスと比べて3分の2程度に抑えることができ、健康なマウスに近い行動をとるようになりました。またマウスを飼育した8か月間では、問題となるような副作用は見られませんでした。

このようにウイルスの場合と同じように、タウタンパクを作り出す遺伝子を投与すると、タウタンパクに対する抗体ができ、ワクチン効果が出るというのは興味深い結果です。

このタウオパチー型認知症は、国内に300万人程度いると推定されていますが、症状を改善する薬はあるものの、根本的に治す方法はありません。

このワクチンをヒトに応用するには、安全性をはじめ臨床試験まではまだ多くの課題が残っていますが、新しい予防・治療法として期待が持てるような気がします。