ごっとさんのブログ

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人間の顔からなぜ「毛」が消えたのか

2020-04-20 10:26:09 | 自然
哺乳類の中でヒトだけが身体から体毛を消えたのかは、進化を考えるうえで興味深い事実です。

これを特に顔から毛が亡くなったのは、視覚の進化であるという説が出ました。典型的な哺乳動物の顔や肌は柔毛で覆われており、霊長類の祖先もやはり毛むくじゃらで、一部の霊長類だけが顔のかなりの部分がむき出しになっています。

人間は生理的状態が変化すると、体のさまざまな部位に送られる血液の量が変わることが多くなります。

その結果肌の色などに変化が出て、人間は肌の内側の血液を感知されるようにデザインされた独自の特別な装置を蓄えており、それが窓となって私たちは他人の心を読むことができるとしています。

この特別な装置が人間の眼の中の色受容器、一般的には色覚と呼ばれています。つまり人間や一部の霊長類にはこの色の変化を見極める色覚があるために、他人の微妙な顔色の変化を読み取ることができるわけです。

人間の眼は血液の二つの変数(酸素飽和度と量)を、肌の色を感知することによって測定できるわけです。この仮説によると私たち人間の肌がむき出しの理由について説明できるのかもしれません。

色覚を持つ霊長類がむき出しの部分を持っているのかもしれませんし、むき出しの部分は色によるシグナリングのためにあるということかもしれません。

私たちは完全に裸ではなく、普遍的に毛が残っている場所は、裸の部分が色彩のために合うという考え方とうまく合致します。なぜ色で感情をシグナルするように進化したかは、色々な理由が考えられます。

色は筋肉の活動を全く必要としないため、たとえばチンパンジーは発情期の期間中その意思表示ができるわけです。また色のシグナルは胸や尻のように、身振りができるような筋肉の無い体の部位でも示すことができます。

筋肉を使った表現と比べて、色によるシグナルにはまだ重要な利点があります。筋肉はその性質上、動物が意識的に操作しなくてはなりませんが、血液の酸素飽和度や血管中の量は、意志作用から切り離されています。

つまり顔や肌の色による表現はごまかすことはできず、無意識や寝ているときにも表れるものなのです。このあたりは、「互恵的利他主義」という概念からも進化にとっては必要なこととしていますが、ここでは省略します。

色覚によって顔や肌の色を判断するという事、つまり他人の無意識の顔色を読むことが進化にとって本当に重要かどうかわかりませんが、これがあるためにヒトの身体から毛が亡くなったとしています。

何となくこの説では身体全体から毛が亡くなる必要はないような気もしますが、面白い仮説ではあると思われます。