ごっとさんのブログ

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「LDL吸着療法」で血液を浄化

2020-04-16 10:32:50 | 健康・医療
人工透析が必要となる原因疾患で最も多い「糖尿病性腎症」ですが、その透析導入を遅らせたり回避させる「LDL吸着療法」という治療法が一部の医療機関で行われています。

この治療法は家族性高コレステロール血症や動脈硬化症、巣状糸球体硬化症では保険適用になっています。糖尿病性腎症に対しては、2015年に先進医療に認められましたが、現在は患者の登録は終了し、有効性を検証するデータをまとめている最中です。

LDL吸着療法は血液浄化療法の一種で、体外循環によって血中から病気の原因となる因子や細胞を除去する治療法です。

LDL吸着療法は血中の低密度リポタンパク(LDL)、いわゆる悪玉コレステロールを除去するという治療法です。尿タンパクを伴う糖尿病性腎症では、高コレステロール血症の合併が多く、悪玉コレステロールが腎臓の糸球体に沈着して腎障害を引き起こします。

通常尿タンパクを伴いむくみが生じる状態(ネフローゼ症候群)の治療では、ステロイド剤を使いますが、血糖が上昇するので糖尿病患者には使えません。そのため免疫抑制剤などが使われますが、腎臓への負担などから症状の改善が難しくなっています。

LDL吸着療法が検討される糖尿病性腎症は、中等度以上の尿タンパクを伴い、薬物療法を行っても悪玉コレステロール値が改善しない症例です。

LDL吸着療法は単にLDLを除去するだけでなく、血管の炎症を抑える、酸化ストレスを抑制する、血液をサラサラにする、動脈硬化の改善など、多面的な効果が報告されています。

具体的には入院して、患者の頸部か鼠蹊部にカテーテルを留置して、専用の機器で1分間に100ml前後の速さで血液を取り出し、血球成分と血漿成分を分離した後、血漿成分に含まれるLDLを吸着除去して、綺麗になった血液を再び体内に戻します。

1回にかかる時間は2〜3時間で、医療機関によって異なりますが糖尿病性腎症の場合、これを週に2回、5週間にわたって10回行うようです。改善度は個人差が大きいですが、むくみはほとんどなくなり、尿タンパクが10分の1、LDLが半分になる場合もあります。

半数の患者は2〜3年のうち再び進行しますが、効果の出る患者では透析が避けられる可能性は大いにあるとしています。

私の友人も透析をしていますが、1回に数時間以上を1日おきにやるというのは負担が非常に大きいようです。こういった治療法で可能性があるならば、早く保険適応して透析患者を減らせるかどうかを検証してほしいものです。