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意外と遅い「睡眠の老化」

2020-04-07 10:18:09 | 自然
一般的に「加齢」は避けがたい不可逆的な生理現象ですが、そのスピードには大きな個人差があります。

5年ほど前の研究になりますが、米国ヂューク大学の研究によれば38歳の男女1037人を対象に、内臓や代謝、免疫機構、テロメアなどの生体指標を基に、「生物学的年齢」を調べました。

その結果38歳にもかかわらず、生物学的年齢は28歳から61歳までの大きなばらつきがあったようです。このように実年齢と生物学的年齢は非常に大きな個人差が生じるものといえます。身体機能と同様に、当然ながら睡眠にも特有の加齢変化が生じます。

睡眠医学の教科書には以下のような睡眠パラメーターの変化があげられています。1、高齢者では朝方が強まり、寝つく時間も覚醒時間も速まる。2、睡眠時間が短くなる。3、深いノンレム睡眠が減少し浅いレム睡眠が主体となる。4、中途覚醒が増加するといったところです。

実際これらの睡眠の変化は、高齢者の特徴とよく一致しています。ところが昨年新たに報告された研究によると、睡眠の加齢変化は従来考えられていたよりも軽微であることが明らかになりました。

この研究では過去に世界中で行われた169件の質の高い臨床研究で報告された健康な成人、計5273人分のデータをメタ解析して、様々な睡眠パラメーターに表れる加齢変化を分析しました。

それによると平均して10歳歳をとるごとに、1晩の総睡眠時間は約10分短縮(20代から70歳代までに1時間短縮)し、中途覚醒時間も約10分増加(同1時間増加)するなどの結果でした。

例えば20歳の時に7時間寝どこに入ってその大部分を眠って過ごすことのできた人は、健康なまま70歳代を迎えれば、寝つきはほとんど変わらず、寝床で目を覚ましている時間は1時間程度、正味6時間ほど眠れるという事になります。

これは70歳代という年齢を考えれば、十分に質の高い眠りであるといえます。また今回の研究で最も注目されたのは、睡眠の深さが加齢によってほとんど変化しないことが分かった点です。

これまで深いノンレム睡眠は加齢とともに減少するというのが睡眠医学の常識でしたが、今回の研究ではそれが否定されました。今回紹介したような睡眠データは良く整えられたコンディションで測定して得られたものです。

実生活では若者と高齢者では就床時刻も異なるし、寝室の環境も違いますが、健康でいる限り睡眠の老化のスピードは比較的ゆっくりしているといえそうです。

しかし先に述べたように、個人差は非常に大きなものがありますので、こういった平均値的なものがどの程度意味を持つのかは難しいところかもしれません。



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