ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

生命の初期段階の細胞分裂を動画で可視化

2024-06-06 10:37:54 | 自然
私は高校時代生物部に所属しており、近くの海辺まで採集に行きウニの卵などの分裂を顕微鏡でみたりしていた懐かしい思い出があります。

沖縄科学技術大学のグループは、脊椎動物の生命の初期段階である胚細胞で起こる細胞分裂を、メダカの受精卵を一定間隔で写真撮影しコマ送り動画にした「タイムラプス」で観察することに成功しました。

これまで難しかった生きたまま胚形成中の細胞を追跡できる手法を確立しました。細胞分化が比較的進んでから起こる体細胞分裂とは違う仕組みであることが分りました。細胞分裂は、皮膚細胞や筋肉細胞のような特殊な機能を持つ体細胞での研究が進んでいます。

細胞分裂装置となる紡錘体の中心的役割を担う細胞小器官で2個ある「中心体」それぞれからタンパク質線維が集まってできた紡錘糸が伸びて細胞の真ん中で染色体にくっつき、分裂の際に生じる娘細胞に染色体を均等に分配します。

その様子を描いたイラストは高校の教科書などに載っています。メスの生殖細胞に中心体はなく、これまでに「Ran-GTP」という分子が分裂に関わることが分っていました。

一方精子には中心体のもとが含まれており、受精した胚細胞は中心体とRan-GTPが存在する状態で細胞分裂を行うことになります。両分子がある状況で短期間に胚細胞が倍々に分裂していく仕組みは、体細胞とは異なるのではないかとグループは考えました。

胚細胞の分裂を観察する例としてはカエルの胚発生があるが、細胞に色が付いていて内部が見えず、分裂の段階ごとに薬品を加えて固定するため死滅した細胞を見ていくという難点があります。

そこでグループは細胞を生きたまま観察する方法を模索し、材料として透明な胚細胞を持つ魚類の中から、ミナミメダカに目を付けました。

ミナミメダカは染色体と分裂に関わるタンパク質線維を光らせる蛍光タンパク質を入れるゲノム編集を行うのにも適した比較的小さなゲノムサイズを持ちます。生存できる温度範囲も広く、室温で長時間生きたままの細胞を観察できます。

こうした点からゲノム編集技術を使って遺伝子組み換えメダカを作成し、その胚細胞の分裂の仕組みを観察しました。

タイムラプス撮影の動画を確認すると、体細胞分裂でみられるのと同様に中心体から糸のようにタンパク質線維が伸びるのに加え、細胞の中心に染色体が並んだ付近からも線維が伸びていました。

この現象には染色体の周囲で生成されているRan-GTPが関わっていることが分りました。この研究は専門的であり私もよく理解できない部分もありますが、やはり生命の初期段階はまだまだ分からないことが多いと言えそうです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿