ごっとさんのブログ

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日本の終末医療の問題点、欧米との違い

2022-12-16 10:43:56 | 健康・医療
私の知人の親がある発作を起こし、助かったのですが意識はなく人工心肺と胃ろうの処置が行われました。

私はこの処置に疑問を持っていたのですが、意識が戻らないまま1年以上この状態が続きそのまま亡くなりました。日本ではこのように終末期の患者に点滴や人工栄養による延命措置を行うことが多いようです。

欧米では終末期に無理な延命を行わない方針が取られており、オーストラリアでは栄養状態改善のための積極的介入は倫理的に問題があると明確に指摘されています。

終末期の高齢者に人工栄養(胃ろう)を行う理由として、「自然死についての社会のコンセンサスがない」「家族の希望である」などが出てきますが、「人工栄養の差し控えは餓死させることと同じ」という医師の意識が一番大きいとされています。

現在の日本では高齢者医療に携わる医師ですら、より苦痛が少なく満足度の高い終末期医療についての正確な知識や理解がないということのようです。

日本では高齢者が元気なときに、延命治療は嫌でチューブに繋がれて生きるのは拒否するようなことをいっていても、家族や医師によって胃ろうの治療を受けるなどが多いような気がします。

例えばアメリカでは、人生最後の時まで本人の意思決定、自己決定権を尊重することが尊厳のある死という考え方があります。そのため医師と相談して治療内容を確保しておく「生命維持治療のための医師指示書」というものが活用されるようになっています。

終末期の高齢者が食べなくなるのは、死に向かうときの自然な体の変化で、死が近付くと体が食べ物を受け付けなくなるという認識は昔からありました。

それが現代の医師や介護者は食べなくなると空腹やのどの渇きで苦痛なのではないかと考えてしまい、必死で食べさせようとし胃ろうなどの開発につながりました。

終末期に至った人は、空腹やのどの渇きによる苦痛は感じなくなり、エンドルフィンやケトン体が多く分泌され自然に鎮静鎮痛効果が働くといわれています。会話もできない寝たきりの状態で、褥瘡を作りながら胃ろうで命をつなぐこというのは「虐待」に相当するという意見すら出ています。

欧米のほか歴史的・文化的な背景の近いアジアでも、台湾や韓国は25年近く前から患者本人の希望があれば積極的延命をしない方向になっており、法的にもそれが保証されてきています。

私の母も入院中食べられなくなったとき、医師からこのままではあと数日なので胃ろうを進められましたが、延命治療を拒否していましたのでこれを断り、点滴栄養としました。

この状態で3か月後に亡くなりましたが、この期間は母にとって本当に必要だったのか、尊厳死について考えさせられるところです。