ごっとさんのブログ

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「精子濃度」の低下で人類は生殖の危機か

2022-12-29 10:41:27 | 自然
最近地球全体の人口が80億人を超えたという報道がありました。今後も100億まで増えるという予想もあり、インドが中国を抜くという可能性もありそうです。

その一方で精子数の減少に対処しなければ、人類は生殖の危機に直面するかもしれないという報告も出ています。

イスラエルのヘブライ大学から発表された研究では、1973年から2018年までの間で精子濃度の平均がおよそ1億120万/mlから4900万/mlと51.6%下がったことが示されています。この研究は153の推定値のメタ分析に基づいたものです。

同じ研究チームが2017年に発表した研究では、過去40年で精子濃度が半分以下に下がったという結果が出ました。しかし当時は世界のさまざまな場所からのデータが無かったため、研究結果はヨーロッパ、北米、オーストラリアに特化したものでした。今回の最新の研究には、53か国の最近のデータが含まれています。

精子濃度の低下は、これまで研究された地域のみならず中南米、アフリカ、アジアでも見られています。しかもその低下の速度が増しているようです。全大陸で集められた1972年以降のデータを見ると、精子濃度は平均して1年ごとに1.16%低下していることが分かっています。

ところが2000年以降に集められたデータだけ見ると、その低下率は1年ごとに2.64%になっているとしています。先行研究からは精子濃度が約4000万/ml以下になると生殖能力に支障が出ることが示されています。

最新の推定値はこの境界値を超えていますが、これは平均値でありこの境界値に届かない男性の割合は増えているだろうと指摘しています。

この研究では年齢やどれくらいの期間射精していなかったかなどの要因が勘案されて入るものの、精子の質を見るほかのマーカーは分析しなかったなどの限界もあるようです。私はこの研究結果には大いに疑問を持っています。

ひとつにはこの原因は不明で、内分泌かく乱物質やその他の環境的な要因が作用しているのではないかと推論している点です。また生殖は生命にとって最大の課題であり、それを妨げるような変化には自然に対応すると思っています。

実際に日本国内でも不妊患者が増加しているという話しも聞きませんし、特に男性が原因で不妊ということが増えているとは思えません。

この研究結果に専門家は喫煙や飲酒、肥満や偏食も関係しているかもしれず、健康的な生活スタイルが精子の数を増やすことに繋がるのではないかとしています。

まあこれはあくまでも一つの研究結果であり、その正否は今後の研究に任せるとしてあまり気にするようなことではないような気がします。